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ユギオII - その105

投稿者: k_g_y_007_naoko 投稿日時: 2009/06/10 22:21 投稿番号: [56723 / 73791]
投稿者:拓

<その105>

カンは、川嶋と一緒に入ってきた男を凝視した。
「李さん、こちらが私の上司の三枝管理官です。そしてこちらが..」
「李信仁です」
カンは川嶋をさえぎって、自らを紹介した。
「え?」
瀋陽の李は目を大きく見開き、カンを凝視した。
「私の叔母がお元気で、あなた様がいらっしゃることを今の今まで知りませんでした..」
カンの言葉に李は口ごもっていた。
「お探ししていたのです、もう30年以上も..、まさか..?   本当ですか?」
そう言いながら李が差し出した両手をカンは固く握りしめた。李の目にはうっすらと涙が浮かんでいた。
「こんなこととはつゆ知らず..。ああ、母を連れてくればよかった..」
「叔母様はお元気ですか?」
「ええ、ええ、元気です。私を覚えておられますか?」
「今、お写真を拝見したのですが、あなた様のことはあまりよく覚えていないのです..」
カンは申し訳なさそうな顔をした。
「そうでしょうね、あなたは小さかったですから..」
李は、少し記憶を辿るような仕草で、
「私と一緒に木に登ったことを覚えていますか?   あなたが落ちてケガされたことを覚えていますか?   川で遊んだことを覚えていますか?」
カンは、少し考えていたが、
「あっ、なんとなく思い出しました。確かあなた様は私の母からとても怒られていませんでしたか?」
すると李は涙顔に笑顔を浮かべて、
「ええ、ええ、そうです。そのあと私の母にはもっと怒られましたが..」

「陛下、つもるお話がありそうですから、どうぞあちらのテーブルでごゆっくりお話ください」
三枝が窓際の小さなテーブルを指差し言った。
「あ、ありがとう」
カンの心は、少年のように高揚しているようであった。

やがて、話しに夢中になっている二人へ川嶋がコーヒーを運ぶと、
「川嶋さん、それから三枝様も、どうぞこちらに来てお座りくださいませんか?   ご遠慮はいりません..」
「ん、そうですか?   では..」
三枝が二人の横の椅子に座ると、
「李さんが、いえ従兄がナム少将のことを多少ですが、知っているそうです..」
カンがふいに言った。
「ん?」
三枝は、李を見た。
「ナム少将は父親が行方不明になってから、母親の実家で育っています。母親は満州族ですが、父親は朝鮮族です。なんでも父親は北で政治犯収容所に送られたという噂ですが..。金日成にです..」
李は言った。
「……?」
「それ以上のことは知りません。私の妹の夫にそれとなく聞いてみましょうか?   妹の夫は朝鮮族ですが、人民解放軍におります。少佐ですが..」
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