ユギオII - その53
投稿者: k_g_y_007_naoko 投稿日時: 2009/05/12 22:21 投稿番号: [55643 / 73791]
投稿者:チー
<その53>
中尉の車は軽であったが、なんと薄いピンク色である。
「こりゃ、目立つな..」
と思いながら、三枝は苦笑した。
中尉の家は、基地からそう遠くない、いかにも下町といった小さな商店街の細路地を入った奥にあった。古びたレンガ造りのこの辺ではありきたりの家であったが、家の前はきれいに清掃されチリひとつなかった。チェが出迎えに出ていた。
玄関を入ると、30ばかりの女が出迎えた。中尉は兄嫁であると紹介した。
「すみません、先程爺が祖母は元気だと申し上げましたが、持病がおもわしくなく、奥で伏しております..」
中尉は、申し訳なさそうな顔をした。
「どこがお悪いんですか?」
カンが心配そうに聞くと、
「いえ、どこと言うか、もう齢ですから..」
「……」
「お医者さんは、まだまだ長生きできますよって言ってくださってますから、そんなにご心配なさらなくてもいいんです..」
そう言って、中尉は三枝たちを居間へ案内した。
「奥様〜、お坊ちゃまがお見えになりましたぁ、すぐにご案内いたします」
チェがカンを早くとばかりにせき立てていたが、カンは三枝を見て何か言いたそうであった。
「どうぞ、水入らずで..、私はここにおりますから..」
するとカンは、申し訳なさそうに三枝に目礼すると奥へ入って行った。
祖母は、病身にもかかわらず朝鮮伝統の服に身を包み、髪をきちんと後ろに纏め、布団の上に姿勢を正して座っていた。しかし、頬には大粒の涙がつたわり、全身を小刻みに震わせ、濡れた目がカンをしっかり見定めようと大きく見開いていた。
<失礼いたします>
これは メッセージ 1 (may7idaho さん)への返信です.
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