ユギオII - その38
投稿者: k_g_y_007_naoko 投稿日時: 2009/05/10 15:17 投稿番号: [55437 / 73791]
投稿者:大介
<その38>
20xx年6月18日午後、ソウル
三枝たちが基地の宿舎に戻ると、例の女中尉が部屋の花瓶に花を飾っていた。彼女は、部屋に入ってきた三枝たちに気付くと、満面に笑みを浮かべた。
「おかえりなさいませ」
本当にうれしそうな表情をである。
「なんだ、我々が戻るのを知っていたのか?」
三枝がわざとそう尋ねると、
「ええ、ハン次官さんからお聞きしました。当分ここにお泊りになると..」
三枝にそう言いながら彼女はそっとカンに視線を移すと、すぐに恥らうように目をそらし、視線を三枝に戻した。
「三枝様のお名前はハン次官さんからお聞きして存じ上げておりますけど、こちら様のお名前はまだ..」
するとカンは、
「キゴです..、キゴ ノブヒトと言います。よろしく」
「私、イ ユリです、イ ユリと申します」
彼女は、カンに向かいながらも、視線を床に落とし、次の言葉が出ないようであった。三枝は「どうも妙な女だ。今朝、我々を尾行してきた女とは思えん。これも手かも知れない。しかし、ハン次官とも懇意らしいし、どうも分からん女だ..」と思った。
「あのう、三枝様はハン次官さんとはお古いんですか?」
「ん?」
「あ、すみません、つい出すぎたことを..」
彼女は、また下を向いた。
「イ中尉さん、ハン次官とはどういうお知り合いかな?」
三枝は逆に聞いてみた。
「え?
ああ、私の兄とハン次官さんの息子さんが同級生なんです。士官学校もいっしょなんです。空軍ですけど..、パイロットなんです..」
「そうですか..、そうでしたか..」
三枝は、少し考える素振りで、
「それで、あなたはここにお勤めですか?」
「えっ?
いえ、違います。ここには特別なお客様がいらっしゃるときだけまいります。普段は別のところなんです」
なんとも妙だと三枝は思った。
「中尉さんにしては、お年がお若いようだが..?」
三枝は、わざと皮肉っぽく聞いてみた。中尉にしては若すぎていた。
「特進したんです..、つい最近..」
中尉はそう言って、はにかむ素振りであった。
そのとき、部屋の電話が鳴った。電話には彼女が出た。
「ん?
昨夜は切断されていたが..」と思っていると、
「三枝様、ハン次官さんからです..」
「そうか..?」
彼女は、三枝に受話器を渡すと、
「お昼食のご用意をいたします」と言って、部屋から出て行った。
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