ユギオII - その37
投稿者: k_g_y_007_naoko 投稿日時: 2009/05/10 15:09 投稿番号: [55436 / 73791]
投稿者:大介
<その37>
20xx年6月18日午後、東京
カン老人は、検察庁舎裏庭の片隅にある古びた小さな建物の最上階にいた。部外者の出入りはほとんどなく、それでも外部からの出入りは厳重に監視されていた。榊原は、危機管理室分室の責任者であると名乗る男に出迎えられ、最上階の部屋に通された。部屋は、以外と広かったが、かなりのデスクが空いており、人員も十名に満たないようであった。
「目下、急ぎ準備中です」
とその責任者の男は言った。榊原がそうかとばかりにうなづくと、
「申し遅れました。私は、防衛省調査第○室の香坂と申します。昨日、急遽ここに呼び出され着任したばかりですが..」
榊原は、男の精悍な顔つきと訓練されたと思われる動作から、自衛隊制服組からの出向であろうと推測していたが、案の定、彼は暗号通信の専門家で階級は一佐(大佐)であった。
「カンは?」
榊原は聞いた。部屋にカンの姿が見えなかったからである。
「どうぞこちらへ..」
香坂は、部屋の奥のドアのひとつへ案内した。この部屋の壁側にはいくつかドアがあって、それぞれ別室になっているようであった。
部屋に入ると4、5人の男たちに交じって、車椅子のカンがいた。カンは目ざとく榊原を認めると、車椅子で近づいてきた。
「先生、待ちくたびれてすっかり首が長くなりましたよ。ほれこのとおり..」
カンは、首筋を手でさすりながら、ニヤッと笑った。
「ん?
来たくはなかったんだが、ま、しかたなかろう..」
榊原は、苦笑した。
カンは、急に真顔になると、
「やっと、北の同志と連絡が再開できるようになりました..」
そう言いながら、カンは奥の壁側の通信機器の前に座って何やら作業している一人の男のところへ榊原を誘うと、
「先生、紹介します。彼が私の右腕です」
そう言われた男は振り返りざまに榊原を見上げると、恐縮したようにすぐにイスから立ち上がり、深々と礼をした。
「そうか、君がそうだったか..」
榊原には見覚えがあった。
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