ユギオII - その18
投稿者: k_g_y_007_naoko 投稿日時: 2009/05/04 21:28 投稿番号: [55077 / 73791]
投稿者:拓
<その18>
そこには、日本海に面した北朝鮮の港の名と時間が記されていた。
「ん?」
榊原は一瞬いぶかしがった。
「先生、今の北朝鮮の状況はご存知ですかな?」
榊原は、金正日が再度倒れたこと、急遽最高幹部会が開かれたことは、すでに知っていた。
カンは、孫娘に命じて車椅子を榊原の傍に寄せた。
「軍に不穏な動きがあります」
「ん?」
カンは、榊原の耳元で小声で北朝鮮の党と軍幹部の派閥を手短に説明した。それによると、金正日に絶対忠誠を誓う忠臣派、親中派、親露派、そして親韓派/親米派を含む中間派があるという。この中で絶対的な勢力を維持しているのが忠臣派と親中派であり、少数派の親露派と中間派の党や軍幹部は地方勤務を余儀なくされており、不満が鬱積しているとのことであった。しかしカンの話の要点は、中間派の中の数名の党/軍幹部が極秘に、それも至急に、日米と李政権に接触したいとのことであった。ついては、漁船に偽装した工作船が明朝、日本の領海を侵犯するから、海上自衛隊の艦艇で追跡してもらいたい。工作船は海自艦に追われると反転して逃げようとするが、そのとき工作船から一人の男が海に落ちる。ぜひこの男を救助してもらいたい。工作船はそのまま逃走させていただきたい。そして、救助した男を至急に李政権の信頼できる筋に引き合わせてもらいたい、ということであった。
「重要か?」
「ええ、大勢の人々の命がこれにかかっている申しても過言ではないでしょう。これ以上は、私にも分かりかねますが..」
自衛隊と米軍監視衛星がカンのメモに記された港から一隻の船が時間通りに出航するのをキャッチした。カンの情報が正しかったのである。榊原老人から報告を受けた武原首相は、危機管理室を動員した。そして、榊原老人が推薦する李政権に通じた敏腕の調査員を舞鶴の自衛艦隊に急遽派遣した。すべては極秘扱いであった。
武原首相は、ホットラインを通じて韓国の李大統領にこの旨連絡した。
<ではまた>
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