パレスチナ分離壁と“工業団地”
投稿者: light_cavalryman 投稿日時: 2004/07/01 03:46 投稿番号: [6978 / 17759]
http://www.diplo.jp/articles04/0406-3.html
パレスチナ分離壁の陰の工業団地
メロン・ラポポート特派員(Meron Rapoport)
ジャーナリスト、在エルサレム
訳・近藤功一
(一部抜粋)
ヨルダン川西岸地区トゥルカレム近郊の村イルタハの農民は、丘の上に建つ自宅から今も自分の土地を眺めることができる。しかし、そこに行くことは1年前からできなくなった。溝、壁、有刺鉄線といった「分離」の障壁に阻止されているからだ。しかし、それだけではない。イスラエル軍は、失われたこの500ドゥナム(1)の農地を接収すると脅しをかけている。いずれにせよ、ほぼ確実なことがある。この土地の運命は決せられた。イスラエル当局とパレスチナ実業家の協力の下、分離壁をはさんで工業団地が建設されるのだ。土地を奪われた農民は、工場で働くほかない。彼らの最低賃金は、イスラエル国内の3分の1ほどでしかないだろう。
◇ ◇ ◇
それでなくても非常に高かったパレスチナの失業率(ヨルダン川西岸で45%、ガザで60%)は、この分離壁によってさらに悪化した。2000年までイスラエルで合法的に、あるいは非合法で働いていた12万人のパレスチナ人は、向こう側に行くことができなくなった。そのうえ数千人、ことによると数万人の農民が、分離壁の「イスラエル側」にある自分の土地に入れなくなってしまった。彼らは事実上、仕事を失った。身も蓋もない言い方をするならば、イスラエルとパレスチナ共同の工業団地の成功に必要な2つの要素が、壁によって実現されたのだ。ひとつは安全(イスラエルの実業家にとって)、もうひとつは雇用(パレスチナの労働者にとって)である。
◇ ◇ ◇
これははたして利他主義、あるいは平和への願いなのか。「エレズ工業団地には、テロ攻撃にもかかわらず200の工場が残っていますが、一体どこに魅力があるからだと思いますか」と、産業省のバル局長は問いかけた。「最大の動機は、労働者の低い賃金にあります。最低賃金はイスラエルで4500シェケル(約10万9000円)、しかしここでは1500シェケル(約3万6000円)ほどです。それに雇い主はイスラエルの労働法の規制を受けることがありません」。とはいえ、彼はイスラエル領内に「パレスチナの飛び地」を創設しようという計画もあると語った。そこではイスラエルの労働法が適用されることはない。
◇ ◇ ◇
確かにもっともだ。国連食糧農業機関(FAO)の報告によると、2004年3月以来、パレスチナ人の約40%が食糧不足に苦しんでおり(言い換えれば、飢えており)、60%が国際機関によれば1日2.10ドルとされる貧困ライン以下の暮らしをしている。つまりパレスチナ人は家族を養うために、働けることを喜ぶに違いないというわけだ。しかし働くといっても、一体どんな条件が待ちかまえていることか。
◇ ◇ ◇
新しく生まれた左派の運動組織、パレスチナ・ナショナル・イニシアティヴを率いるムスタファ・バルグーティ博士は、はるかに懐疑的である。「この計画はオスロ合意に続く時期でさえうまくいかなかった。それが今うまくいくはずがない。この計画は、恐ろしい現実を隠蔽しようとしているにすぎない。あのパレスチナの実業家たちが心配しているのは、パレスチナ人の働き口ではなく、自分の働き口だけだ。この計画はイスラエルの視点でのみ考えられている。なぜならば、それはアパルトヘイトを強化するだけであり(6)、その中でパレスチナ人は奴隷でしかなくなるからだ。しかし、それが成功することはないだろう」
パレスチナ分離壁の陰の工業団地
メロン・ラポポート特派員(Meron Rapoport)
ジャーナリスト、在エルサレム
訳・近藤功一
(一部抜粋)
ヨルダン川西岸地区トゥルカレム近郊の村イルタハの農民は、丘の上に建つ自宅から今も自分の土地を眺めることができる。しかし、そこに行くことは1年前からできなくなった。溝、壁、有刺鉄線といった「分離」の障壁に阻止されているからだ。しかし、それだけではない。イスラエル軍は、失われたこの500ドゥナム(1)の農地を接収すると脅しをかけている。いずれにせよ、ほぼ確実なことがある。この土地の運命は決せられた。イスラエル当局とパレスチナ実業家の協力の下、分離壁をはさんで工業団地が建設されるのだ。土地を奪われた農民は、工場で働くほかない。彼らの最低賃金は、イスラエル国内の3分の1ほどでしかないだろう。
◇ ◇ ◇
それでなくても非常に高かったパレスチナの失業率(ヨルダン川西岸で45%、ガザで60%)は、この分離壁によってさらに悪化した。2000年までイスラエルで合法的に、あるいは非合法で働いていた12万人のパレスチナ人は、向こう側に行くことができなくなった。そのうえ数千人、ことによると数万人の農民が、分離壁の「イスラエル側」にある自分の土地に入れなくなってしまった。彼らは事実上、仕事を失った。身も蓋もない言い方をするならば、イスラエルとパレスチナ共同の工業団地の成功に必要な2つの要素が、壁によって実現されたのだ。ひとつは安全(イスラエルの実業家にとって)、もうひとつは雇用(パレスチナの労働者にとって)である。
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これははたして利他主義、あるいは平和への願いなのか。「エレズ工業団地には、テロ攻撃にもかかわらず200の工場が残っていますが、一体どこに魅力があるからだと思いますか」と、産業省のバル局長は問いかけた。「最大の動機は、労働者の低い賃金にあります。最低賃金はイスラエルで4500シェケル(約10万9000円)、しかしここでは1500シェケル(約3万6000円)ほどです。それに雇い主はイスラエルの労働法の規制を受けることがありません」。とはいえ、彼はイスラエル領内に「パレスチナの飛び地」を創設しようという計画もあると語った。そこではイスラエルの労働法が適用されることはない。
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確かにもっともだ。国連食糧農業機関(FAO)の報告によると、2004年3月以来、パレスチナ人の約40%が食糧不足に苦しんでおり(言い換えれば、飢えており)、60%が国際機関によれば1日2.10ドルとされる貧困ライン以下の暮らしをしている。つまりパレスチナ人は家族を養うために、働けることを喜ぶに違いないというわけだ。しかし働くといっても、一体どんな条件が待ちかまえていることか。
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新しく生まれた左派の運動組織、パレスチナ・ナショナル・イニシアティヴを率いるムスタファ・バルグーティ博士は、はるかに懐疑的である。「この計画はオスロ合意に続く時期でさえうまくいかなかった。それが今うまくいくはずがない。この計画は、恐ろしい現実を隠蔽しようとしているにすぎない。あのパレスチナの実業家たちが心配しているのは、パレスチナ人の働き口ではなく、自分の働き口だけだ。この計画はイスラエルの視点でのみ考えられている。なぜならば、それはアパルトヘイトを強化するだけであり(6)、その中でパレスチナ人は奴隷でしかなくなるからだ。しかし、それが成功することはないだろう」
これは メッセージ 6977 (light_cavalryman さん)への返信です.
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