“平和ボケ”のお部屋

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続き

投稿者: dorawasabi5001 投稿日時: 2006/10/20 22:04 投稿番号: [15086 / 17759]
  大岡さんの『俘虜記』を雑誌で最初に読んだのは、まだ終戦直後といっていい時代だったのであり、私はその文章力と、人間を正確にみつめようとする目に感動したのであるが、それとは別の一種の爽快感を味わった。


それは、今後の自分の進む道がはっきりしたということである。


  多分、私は、大岡さんと同じ状況に置かれたならば敵を撃たないだろうと思った。そこから進んで、私は、撃たれる側に立とうと思うようになった。


  これは不戦の誓いというような勇ましいものではなく、私はその種の運動に参加したことはない。


しかし、撃つよりは撃たれる側に廻ろう、命をかけるとすればそこのところだと思うようになつたのは事実ある。具体的に言えば、徴兵制度に反対するという立場である。・・


『日本よ国家たれ』と清水幾太郎先生は言う。国を守れと言う。

  その場合の国家、日本国とは何であろうか。国家を代表するものは日本国政府である。日本国政府とは、すなわち自由民主党である。自由民主党を操る者は田中角栄である。田中角栄のために命を捨てろと言われても、私は厭だ。私は従わない。


  日本人を守れと言う。しからば日本人とは何であろうか。・・・



「古今東西、国家間に、鍔(つば)ぜり合いとでもいうような緊張した均衡があって、それで平和が可能になっているのが通例である。無気味な兵器の整備と配置、死を覚悟した多くの人間の組織と活動、それが二つ以上の国家のそれぞれに存在するというのが平和の裏面である。真実である。明るいソフトな表面は、暗いハードな裏面と一体のもので、裏面が崩れれば、一夜にして、表面は何処かに消えてしまう」(『日本よ国家たれ』)


  卑怯者である私は、「ハードな裏面を持ちましょう」という提案に与(くみ)することはできないし、怖気(おじけ)づいてしまう。それに、第一に、これ、金がかかる。・・・


しかし、日本が侵略されるというのは、ただ国土が敵軍によって占領されることではない。国民が気高く死んで行くことでもない。敵兵によって掠奪(りゃくだつ)が行われ、男たちが虐殺され、妻や娘が暴行されるということである」(同)

  ああ、聞いた聞いた、これも聞いた。これも、あの時の声とそっくり同じである。


社会学の大先生に向って、こういうことを言うのはどうかと思われるが、私の乏しい知識と貧しい頭脳からすると、こういうのがデマゴギーということになる。

      *

  何か、ずっと、わかりきったこと、当りまえのことばかり書き続けているようで、気恥ずかしくなってくる。


それに較(くら)べれば、清水先生の論文は、まことに勇気ある発言だと思わざるをえない。げんに、利口な人たちは、清水論文について何も言わない。それが当然だろう。


  しかし、マッチ一本火事のもとということもあるじゃないか。戦中派コムプレックスの権化としては黙っていることができなかった。


私は小心者であり憶病者であり卑怯者である。

戦場で、何の関係もない何の恨みもない一人の男と対峙(たいじ)したとき、

いきなりこれを鉄砲で撃ち殺すというようなことは、とうてい出来ない。


「それによって深い満足を得る」ことは出来ない。卑怯者としては、むしろ、撃たれる側に命をかけたいと念じているのである。


http://www.japanpen.or.jp/e-bungeikan/guest/essay/yamaguchihitomi.html



↑はほんの一部です。

是非全文を読んでください。
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