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法律行為上の錯誤は存在せず――J株事件

投稿者: steffi_10121976 投稿日時: 2005/12/21 00:21 投稿番号: [13899 / 17759]
今回の誤発注事件について、これを違法もしくは法的に無効とする主張は、業界・学界・政界・官界・マスコミ等いずれにおいてもまったくなされていませんし、インターネット掲示板でも私の見た限り、そのような論調の書き込みはこのトピ以外にはほとんど見たことがありません。
その理由は単純にして明瞭。
表意者であるみずほ証券自身が、民法第95条に基づく「錯誤による意思表示の無効」を主張しなかったからです。

(錯誤)
【第九十五条   意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。】

同条が定める「要素の錯誤」に基づく意思表示の無効は、そもそも表意者を保護するための規定です。
従ってこれを主張できるのはあくまでも表意者自身、つまり今回のケースにおいてはみずほ証券のみであって、それ以外の、取引の相手方や第三者が表意者の意思に反して錯誤無効を主張することは認められません。
そしてそのみずほは結局、錯誤無効を主張しないまま市場での反対取引というアクションに出たのですから、この段階で「1株1円で61万株」の売り注文は法律上有効な意思表示となり、錯誤無効の議論は今回の問題から完全に排除された形となっています。
ゆえに、その売り注文に応じて買いを入れた個人投資家や機関投資家の行為も完全に有効・合法な意思表示であることは疑問の余地がなく、投資家の「善意・悪意」の議論そのものがまったく意味をなさないことになります。
つまり彼らがJ社の発行済み株式総数を知っていたか否かなどは、まるっきり問題ではないということです。

ここから先は「IF」のお話。仮にみずほ証券が誤発注後のいずれかの段階で、市場に対して「発注は錯誤によるものであり、無効だ」と主張したとしても、途中経過はどうあれ、結果的には資本市場取引のプロである証券会社や金融機関が錯誤無効を理由に免責される、つまり意思表示が無効とされる可能性はほとんどゼロだと思います。
これについては、12月18日付の朝日新聞に掲載された野村修也・中大法科大学院教授のコメント、「異常を知らせる警告を無視して発注したみずほに重過失がある可能性が高く、無効が成立するのは難しい」につきます。
http://www.asahi.com/business/update/1218/004.html
市場における資本取引のプロである証券会社や金融機関は取引に当たって一般投資家の何倍もの善管注意義務を負うことは当然であるにも拘らず、常識では考えられないケアレスミスを犯したうえ、異常警告まで無視したとあっては、「重過失」の謗りを免れ得ることなどおよそ考えられないからです。

余談ながら、私の勤務先ではフロント(ディーリング、トレーディング部門)とバック(事務・決済部門)の中間にミドル(管理・監督部門)というオフィスがあって、異常な注文や不自然な取引を人間とコンピュータ両方の目によって厳しく監視しています。
市場取引を行なっている金融機関ではどこもこのようなセクションを設置しているはずですので、みずほも例外ではないと思いますが、こうしたミドルオフィスの存在がまったく報道されていないところを見ると、設置はされていても機能していなかったということでしょうか?
同業者としては非常に疑問に思うところですが、だとしたらなおさら組織としてのリスク管理体制が問われる話となり、「重過失」の非難はますます重いものとなるでしょう。

錯誤無効が認められないもうひとつの理由として考えられるのは、民法第192条の「即時取得規定」との関連です。
これは私の個人的な見解ですが、論じると長くなりますので、また機会をあらためて書かせていただきたいと思います。


最後に民法第94条の「虚偽表示」について。

(虚偽表示)
【第九十四条   相手方と通じてした虚偽の意思表示は、無効とする。
2   前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない。】

条文を素直に読めばすぐにわかるとおり、これは表意者が取引の相手方と「共謀して」真意と異なる意思表示をすることです。
民法第93条の「心裡留保」が表意者のみがウソをつくことであるのに対し、こちらは言ってみれば表意者とその取引の相手方の双方が通じ合ってともにウソをつくことですから、より悪質とも言えます。「通謀虚偽表示」とも呼ばれる所以です。

さて、今回の事件において、みずほ証券と投資家はともにグルになり、あらかじめ示し合わせて不当な意思表示による取引を行なったのでしょうか?
「虚偽表示」という法律用語がこの事件において論じられる余地があるかどうかは、
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