先人たちの無念さ生かせない憲法草案
投稿者: sawayakanikoniko 投稿日時: 2006/01/04 12:43 投稿番号: [66455 / 95793]
http://www.sankei.co.jp/news/seiron.htm
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このように、急ごしらえ憲法の底の浅さと生煮え加減を、とりわけ前文について批判した良識の声が、改正の機会には当然生かされるはずだった。前文は「雄健明朗」な内容になって国民の高朗な志が表明され、「英文直訳体としては文句なしの模範文」などと皮肉られた現行前文と違って、豊かに蓄積された日本語の伝統の粋が示されるかと思った。
今度の自民党案ではその期待がかなえられたか。否。「象徴天皇制は、これを維持する」などと、現憲法からの事務引き継ぎ風の投げやりな文言を含んで、依然として総体にぎこちなく、生気がない。起草者たちの声が響かず、国づくりの感激が伝わらない。各章各条の要点を掃き寄せた“ご用とお急ぎ”向け便覧を、コンピューターの作った声が伝えるような無感動なものだ。六十年昔の先人の批判に応える英知の重みや味わいを感じない。
新憲法起草委員会の素案では、前文で日本の国土、自然、歴史、文化など国の生成発展に言及し、格調ある文章にすると目指していたはずだが、聞けば党大会での発表前に排除されてしまったという。前文が無色無味化したことの苦しい弁明か、「各国に共通の普遍の原理を掲げるのだから日本的な色合いは不要」といった説明も聞かれた。“普遍の原理”の根本議論に立ち入る紙幅はないが、仮に普遍の原理にせよ日本人が日本語で謳(うた)うのである。
国際人・新渡戸稲造の表現を借りるなら“民族の音色(ねいろ)”が、静かな裡(うち)にも凛(りん)として響き、みずみずしい日本文になるのが自然である。
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