捕鯨とクジラ保護

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ザトウクジラとビートルズ

投稿者: discover_300 投稿日時: 2008/06/21 03:32 投稿番号: [32694 / 63339]
http://www5.ocn.ne.jp/~report/news/whalelovesong.htm


過去の知識を伝える

  すると、今回のラブソングの話に限らず、どうしてザトウクジラなどが、互いに学びあって、文化を形成するという行動をとるのかという疑問がわいてきます。文化が生まれてくるのには、環境などの急激な変化などに対応するために、文化の必要性が出てくると一般に考えられています。しかし、ザトウクジラなどの場合、陸上より環境の変化が小さい、海の水の中という環境の中で生活をしています。

  しかし、そんな海の中でも大きく変化するものが一つだけあるのです。それはエサの変化です。だから、エサが急激に減るようなことがあったら、過去の知識を共有することによって切り抜ける必要がでてくるのです。さもないと、以前のようなガラパゴス沖での超エルニーニョ現象などがおこると、そこにいるクジラの群れは絶滅してしまうおそれがあります。しかし、過去の知識があれば、そんなときに他にエサがいるとこれへ移動すればいいというわけです。

  クジラの文化の形成に影響を与えていると考えられる点がいくつかあります。

  海洋での環境というのは、水という媒体のおかげで、音が遠くまで伝わり、認識したり学んだりするのに理想的な環境だともいえます。実際にメスのザトウクジラは、オスのザトウクジラのラブソングを聞き分けることができたのです。このように、水という優れた音の媒体は、文化の形成に影響を与えていても不思議ではありません。

  さらに、他の動物と比べても、クジラというのは長い寿命をもっています。人のように、子供を産んでからも長い間、メスのクジラが生きているため、文化を次の世代に伝える時間があるといえます。


  文化は、人が他の動物と区別される根拠で、自然の対極として捉えられることがよくあります。しかし、クジラを専門とする生物学者の中には、そうとは考えずに、文化は他の動物の中にも見られ、生物の適応の一種だと考えているのです。


  そして、それぞれのグループの行動の多様性が、先ほど出てきた群れごとに異なるラブソングのような文化になっていくのだと考えています。そうやって、文化を共有することで、より生き延びる確立が高くなり、次の子孫へと遺伝子を伝えることにもなるというわけです。

  そう考えると、遺伝子と文化も非常に密接に関わっていると考えることができますよね。それが長い間続けば、地域ごとにまったく違うラブソングを歌うクジラたちの説明もできるわけです。

  実際、いろいろな地域のザトウクジラのDNAを調べた科学者もいます。その調査により、DNAの違いは大きなものではなかったが、まったくランダムに違いがあるのではなく、ある規則を持って、違いが生じていることが分かりました。こうして、ザトウクジラはますます、地域ごとにある種の特徴をもった文化を形成していくというわけです。

  そして、長年の間、別々に育ってきた異なった文化が、互いに触れ合うとき、今回の新しいラブソングの大流行というような現象がおきるのだと考えられています。クジラたちにとっては、まさにビートルズがアメリカに上陸したときのようなインパクトがあるのでしょう。もしクジラに文化というものがあるのなら、海の中でも絶えずこのような文化のふれあいがあるわけで、なんとも不思議な気になりませんか。
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