「イラクの戦場で学んだこと」岸谷美穂
投稿者: imonoyamashotengai 投稿日時: 2005/10/06 05:06 投稿番号: [81738 / 118550]
「イラクの戦場で学んだこと」岸谷美穂(岩波ジュニア新書)
「「人道」を基準として、中立を唱えるNGOでも、現実はその支援自体が
紛争を助長したり紛争当事者に利用されたりということもあり」
「政治的駆け引きの「駒」にされることもありました」
湾岸戦争後の国連による経済封鎖と、フセイン政権による物理的な封鎖という
二重の経済封鎖の為、クルド自治区の経済は壊滅的な打撃を受けました。
中産階級から一挙に貧困層へと転落した人々も多かったのです。
自治区人口四百万人の60%が貧困層であり、その内20%は年間200ドル以下
という極貧層を強いられました。
「政党は土着の部族によって構成されています。特定地域を支配する部族同士が
抗争や同盟をくり返し、政党というものが成立しています。
クルド人の内戦は土地を接収することにより支配権を獲得していくという
傾向を持っていて、その地域に住む人々は生活のため、好むと好まざるとに
かかわらず地域を支配する部族を支援しなければなりませんでした。つまり、
国内避難民とは、敗北した部族や政党の支持者ということになるのです。
その支援は、敗北した部族・政党の基盤を修復させ更なる紛争を生む可能性も
あったわけです」
トルコ国境地域を支配するクルド労働者党(PKK)、ハラブジャ以北のイラン
国境地域を拠点としていたクルド・イスラム運動(IMK)の支配地域から逃れて
きた国内避難民への支援は、KDPやPUKによって監視・制限されていました。
PUKからは敵対派の村民を懐柔する為に、わざとゲリラ組織から奪回した
地域で支援活動をするように要請されることもしばしばだったそうです。
「クルド人の男性は日本人と違って、嘘をつくことや敵を前にして逃げることを
男性としてまったく恥ずかしいこととは考えません」
「男性医師が女性患者を診察することはほぼ不可能。
特に農村部ではその傾向が強く、女性医師ですら、患者の夫もしくは
父親の同意がないと女性の体に触れることもできないという状況でした」
「イスラム社会では、結婚前に性的交渉を持つことは死罪にあたり、
一族の恥とみなされるので、父親や兄弟といった男性親族が彼女を殺すことが
認められているのです」
「クルドでは、あまりにも政党の影響が強く、家柄やコネのない人間は
勉強も出世もできず、優秀な人材が育ちにくい状況でした」
「イラクの法律下では、子どもでも九歳以上は刑事処罰の対象になり、
保護や更正といった考えは非常に乏しい状態です。
店先で鍋ひとつ盗んだだけでも、半年から一年の服役が科せられます」
「ミサイルの下には市民がおり、人からの伝聞程度の情報で右往左往し、
食糧と寝る場所の確保に狂奔している。その中に身をおいていると、
戦場とは、人間が殺されていくところではなく、人間が生き抜くために
奮闘しているところだということがよくわかります。
そしてなにより、その苦労を強いているのが彼ら一般市民ではなく、
アメリカなどの外部の一握りの政府役人なのです」
武装NGOという批判も受けたそうですが、現状のイラクでは、
ソフト・ターゲットも狙われていることも厳然たる事実なので、
現状ではやむをえないと思います。
何故、ここまで悪化してしまったのかが問題ですが。
親族が女性を「名誉の殺人」で殺害する社会。
戦いで土地を接収することにより支配権を獲得していく社会。
部族ごとに支配地域が変動していく社会。
まるで日本の戦国時代によく似ているような気もします。
しかし、それでも、21世紀の現代社会なのです。
21世紀現代にも、色濃く残る『封建遺制』ですね。
人々は、日々電化製品を使用し、衛星放送、携帯電話も使用します。
紛れもなく現代社会人でもあるのです。
政党、政治組織というと個人単位で、イデオロギーや政策の一致で成立する
というのが本来の姿だと思うのですが、クルドでは、部族単位なのですね。
近代市民革命を経て、近代的自我の確立を前提としていないクルド社会で、
個人の自我の確立をも同時並行的に推進しながら、近代化へと進むのでなければ
ならないと思います。
KDPは、部族長を支持基盤とし、大土地所有制度を肯定しているのに対して、
PUKは、大土地所有制度に反対し、都市知識人層を支持基盤としています。
その中には、元イラク共産党員達や、各種のアラブ民族主義達などの世俗派が
多いと思います。
筆者はクルドを部族制のみで分析していますが、それは一面的です。
「「人道」を基準として、中立を唱えるNGOでも、現実はその支援自体が
紛争を助長したり紛争当事者に利用されたりということもあり」
「政治的駆け引きの「駒」にされることもありました」
湾岸戦争後の国連による経済封鎖と、フセイン政権による物理的な封鎖という
二重の経済封鎖の為、クルド自治区の経済は壊滅的な打撃を受けました。
中産階級から一挙に貧困層へと転落した人々も多かったのです。
自治区人口四百万人の60%が貧困層であり、その内20%は年間200ドル以下
という極貧層を強いられました。
「政党は土着の部族によって構成されています。特定地域を支配する部族同士が
抗争や同盟をくり返し、政党というものが成立しています。
クルド人の内戦は土地を接収することにより支配権を獲得していくという
傾向を持っていて、その地域に住む人々は生活のため、好むと好まざるとに
かかわらず地域を支配する部族を支援しなければなりませんでした。つまり、
国内避難民とは、敗北した部族や政党の支持者ということになるのです。
その支援は、敗北した部族・政党の基盤を修復させ更なる紛争を生む可能性も
あったわけです」
トルコ国境地域を支配するクルド労働者党(PKK)、ハラブジャ以北のイラン
国境地域を拠点としていたクルド・イスラム運動(IMK)の支配地域から逃れて
きた国内避難民への支援は、KDPやPUKによって監視・制限されていました。
PUKからは敵対派の村民を懐柔する為に、わざとゲリラ組織から奪回した
地域で支援活動をするように要請されることもしばしばだったそうです。
「クルド人の男性は日本人と違って、嘘をつくことや敵を前にして逃げることを
男性としてまったく恥ずかしいこととは考えません」
「男性医師が女性患者を診察することはほぼ不可能。
特に農村部ではその傾向が強く、女性医師ですら、患者の夫もしくは
父親の同意がないと女性の体に触れることもできないという状況でした」
「イスラム社会では、結婚前に性的交渉を持つことは死罪にあたり、
一族の恥とみなされるので、父親や兄弟といった男性親族が彼女を殺すことが
認められているのです」
「クルドでは、あまりにも政党の影響が強く、家柄やコネのない人間は
勉強も出世もできず、優秀な人材が育ちにくい状況でした」
「イラクの法律下では、子どもでも九歳以上は刑事処罰の対象になり、
保護や更正といった考えは非常に乏しい状態です。
店先で鍋ひとつ盗んだだけでも、半年から一年の服役が科せられます」
「ミサイルの下には市民がおり、人からの伝聞程度の情報で右往左往し、
食糧と寝る場所の確保に狂奔している。その中に身をおいていると、
戦場とは、人間が殺されていくところではなく、人間が生き抜くために
奮闘しているところだということがよくわかります。
そしてなにより、その苦労を強いているのが彼ら一般市民ではなく、
アメリカなどの外部の一握りの政府役人なのです」
武装NGOという批判も受けたそうですが、現状のイラクでは、
ソフト・ターゲットも狙われていることも厳然たる事実なので、
現状ではやむをえないと思います。
何故、ここまで悪化してしまったのかが問題ですが。
親族が女性を「名誉の殺人」で殺害する社会。
戦いで土地を接収することにより支配権を獲得していく社会。
部族ごとに支配地域が変動していく社会。
まるで日本の戦国時代によく似ているような気もします。
しかし、それでも、21世紀の現代社会なのです。
21世紀現代にも、色濃く残る『封建遺制』ですね。
人々は、日々電化製品を使用し、衛星放送、携帯電話も使用します。
紛れもなく現代社会人でもあるのです。
政党、政治組織というと個人単位で、イデオロギーや政策の一致で成立する
というのが本来の姿だと思うのですが、クルドでは、部族単位なのですね。
近代市民革命を経て、近代的自我の確立を前提としていないクルド社会で、
個人の自我の確立をも同時並行的に推進しながら、近代化へと進むのでなければ
ならないと思います。
KDPは、部族長を支持基盤とし、大土地所有制度を肯定しているのに対して、
PUKは、大土地所有制度に反対し、都市知識人層を支持基盤としています。
その中には、元イラク共産党員達や、各種のアラブ民族主義達などの世俗派が
多いと思います。
筆者はクルドを部族制のみで分析していますが、それは一面的です。
これは メッセージ 80799 (imonoyamashotengai さん)への返信です.
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