一年前の記事だが・・
投稿者: dorawasabi5001 投稿日時: 2005/07/09 00:03 投稿番号: [74506 / 118550]
日本の【アルカイダグループ】とされたこの人たちの消息はいかに?
メディアもすっかり【この事件】を忘れたふり?
【大田昌国】さんの【現代企画室】から・・・
★人びとの「錯覚」を誘発する情報操作
「派兵チェック」141号(2004年6月15日発行)掲載
太田昌国
まさか、と思いつつも、一瞬の間そう思った。正確に言えば、思った一秒後には、いやそう思ったとほとんど同時にそれを打ち消す感情ははたらいていた。「篠山紀信がアルカイダを撮った」というものである。
昨年末か今年はじめ、某週刊誌の新聞広告にあった大見出しを見ていて、そう思った。目の錯覚であって、よくよく見ると、「篠山紀信 アカルイハダカ」であった。これには、後日談がある。
ある週刊誌の四コマ漫画である。「日本でいつテロが起こるかと思うと、心配で、心配で……」とか言って、机に「テロ」や「アルカイダ」の大仰な文字が躍るスポーツ新聞や週刊誌を積み上げて、深刻気な顔つきで読んでいる人物がいる。
そこには「アカルイハダカ」の週刊誌もあって、件の男は「心配なんだ」と言いながら、そのグラビア頁に見入っている、という風刺画である。
一瞬にせよそんな錯覚に誘われた人間はほかにもいるはずで、篠山紀信や某週刊誌編集部にすれば、してやったり、とでもいうところだろう。
しかし、こんな単純で、ばかばかしい話ではなく、「アルカイダ」を、世にも恐ろしいものの記号として使って、脅しによって社会世論を組織しようとしている者がいる。
それは、もちろん、公安警察である。批判精神のかけらもないままに、警察の垂れ流し情報をトップニュースや大見出しで流しているマスメディアが、それに荷担している。
去る5月19日、メディアは公安当局の発表に基づいて、「殺人容疑で国際手配を受けていた人物で、昨年末ドイツで逮捕された、アルカイダのメンバーとされるアルジェリア系フランス人の男が、02年から03年にかけて新潟に潜伏していた」と報じた。
前夜18日の発表当日は、どのメディアもおそらく独自に取材する時間も方法もないままに、公安警察の情報のみに基づいて報道するしかなかっただろう。
どのメディアも見出しや主な項目では「アルカイダ・メンバー」と断定しており、中身では「メンバーとされる」とか「幹部とされる」という逃げを打つものもあった。
警察官殺害容疑で97年ボスニア・ヘルツェゴビナの法廷に立つ同人の写真や、新潟「潜伏」中に住んでいたマンションの写真が大きく添えられていて、記事の体裁はいかにも整えられているように見える。
また数日を経ると、同人の国籍があるフランスや逮捕されたドイツに駐在している特派員からの情報も付け加えられて、慎重にも世界的な取材網が出来上がっているかに見える。
だが、いかんせん、記事・ニュースの文体が一貫して脆弱である。警察に名指されている者が、本当に、アルカイダのメンバーであるかどうかは、報道を見る限り、いまの時点では十分に疑わしい。
その人物がベルギー国境に近いフランス最北部・ルーベ市のキリスト教徒の中流家庭に生まれたとしながら、別な箇所では「アルジェリア系フランス人」と表現している根拠は何か。中古車輸出業を営んでいたからにはそれ相当の経済活動があり得ただろうが、日本に設けた預金口座に1年で50回の出入金があったことを理由に、アルカイダの「資金調達担当か」と記す根拠はどこにあるのか。
中古車市場の活況を思えば、金高・回数ともに相当の取引があり得るという正常な判断が、第一義的にあるべきである。疑問を呈するのは、それからでも遅くはない。新潟からマレーシアなどに、たかが(!)27万円の送金をしていたことが、なぜ、社会面の見出しを飾って、「怪しげさ」が演出されるのか。
いずれも、「国際テロ組織=アルカイダ」と聞くだけで人びとが怖気づく風潮を利用し、疑わしき者は裁判以前に社会的に抹殺し、危機の煽動によって民衆意識を組織したい公安警察の発表そのままに報道しているから、それだけでは論理的な正しさが証明されていない情報が、あふれ出るのである。
さまざまな情報を総合すると、この人物に関しては、せいぜいのところ、ルーベ団なるフランス国内のイスラーム系組織のメンバーであるという事実を出発点にして、地道な報道を心がけるのが順当である。
彼が90年代前半のボスニア民族紛争にムジャヒディンとして参加していたという経緯からは、当時の米国が対セルビア戦を意識してイスラーム「過激派」戦士を援助していた秘史が、何度でも想起されるべきであろう。
メディアもすっかり【この事件】を忘れたふり?
【大田昌国】さんの【現代企画室】から・・・
★人びとの「錯覚」を誘発する情報操作
「派兵チェック」141号(2004年6月15日発行)掲載
太田昌国
まさか、と思いつつも、一瞬の間そう思った。正確に言えば、思った一秒後には、いやそう思ったとほとんど同時にそれを打ち消す感情ははたらいていた。「篠山紀信がアルカイダを撮った」というものである。
昨年末か今年はじめ、某週刊誌の新聞広告にあった大見出しを見ていて、そう思った。目の錯覚であって、よくよく見ると、「篠山紀信 アカルイハダカ」であった。これには、後日談がある。
ある週刊誌の四コマ漫画である。「日本でいつテロが起こるかと思うと、心配で、心配で……」とか言って、机に「テロ」や「アルカイダ」の大仰な文字が躍るスポーツ新聞や週刊誌を積み上げて、深刻気な顔つきで読んでいる人物がいる。
そこには「アカルイハダカ」の週刊誌もあって、件の男は「心配なんだ」と言いながら、そのグラビア頁に見入っている、という風刺画である。
一瞬にせよそんな錯覚に誘われた人間はほかにもいるはずで、篠山紀信や某週刊誌編集部にすれば、してやったり、とでもいうところだろう。
しかし、こんな単純で、ばかばかしい話ではなく、「アルカイダ」を、世にも恐ろしいものの記号として使って、脅しによって社会世論を組織しようとしている者がいる。
それは、もちろん、公安警察である。批判精神のかけらもないままに、警察の垂れ流し情報をトップニュースや大見出しで流しているマスメディアが、それに荷担している。
去る5月19日、メディアは公安当局の発表に基づいて、「殺人容疑で国際手配を受けていた人物で、昨年末ドイツで逮捕された、アルカイダのメンバーとされるアルジェリア系フランス人の男が、02年から03年にかけて新潟に潜伏していた」と報じた。
前夜18日の発表当日は、どのメディアもおそらく独自に取材する時間も方法もないままに、公安警察の情報のみに基づいて報道するしかなかっただろう。
どのメディアも見出しや主な項目では「アルカイダ・メンバー」と断定しており、中身では「メンバーとされる」とか「幹部とされる」という逃げを打つものもあった。
警察官殺害容疑で97年ボスニア・ヘルツェゴビナの法廷に立つ同人の写真や、新潟「潜伏」中に住んでいたマンションの写真が大きく添えられていて、記事の体裁はいかにも整えられているように見える。
また数日を経ると、同人の国籍があるフランスや逮捕されたドイツに駐在している特派員からの情報も付け加えられて、慎重にも世界的な取材網が出来上がっているかに見える。
だが、いかんせん、記事・ニュースの文体が一貫して脆弱である。警察に名指されている者が、本当に、アルカイダのメンバーであるかどうかは、報道を見る限り、いまの時点では十分に疑わしい。
その人物がベルギー国境に近いフランス最北部・ルーベ市のキリスト教徒の中流家庭に生まれたとしながら、別な箇所では「アルジェリア系フランス人」と表現している根拠は何か。中古車輸出業を営んでいたからにはそれ相当の経済活動があり得ただろうが、日本に設けた預金口座に1年で50回の出入金があったことを理由に、アルカイダの「資金調達担当か」と記す根拠はどこにあるのか。
中古車市場の活況を思えば、金高・回数ともに相当の取引があり得るという正常な判断が、第一義的にあるべきである。疑問を呈するのは、それからでも遅くはない。新潟からマレーシアなどに、たかが(!)27万円の送金をしていたことが、なぜ、社会面の見出しを飾って、「怪しげさ」が演出されるのか。
いずれも、「国際テロ組織=アルカイダ」と聞くだけで人びとが怖気づく風潮を利用し、疑わしき者は裁判以前に社会的に抹殺し、危機の煽動によって民衆意識を組織したい公安警察の発表そのままに報道しているから、それだけでは論理的な正しさが証明されていない情報が、あふれ出るのである。
さまざまな情報を総合すると、この人物に関しては、せいぜいのところ、ルーベ団なるフランス国内のイスラーム系組織のメンバーであるという事実を出発点にして、地道な報道を心がけるのが順当である。
彼が90年代前半のボスニア民族紛争にムジャヒディンとして参加していたという経緯からは、当時の米国が対セルビア戦を意識してイスラーム「過激派」戦士を援助していた秘史が、何度でも想起されるべきであろう。
これは メッセージ 1 (topics_editor さん)への返信です.
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