右や左の旦那様ぁ
投稿者: battamama 投稿日時: 2005/03/27 05:43 投稿番号: [67877 / 118550]
河童は我々人間の真面目に思うことを可笑しがる。同時に我々人間の可笑しがることを真面目に思う――こういうとんちんかんな習慣です。
たとえば、我々人間は正義とか人道とか云うことを真面目に思う。しかし河童はそんなことを聞くと、腹を抱えて笑い出すのです。
トックという詩人の河童が訊いてきた。
「時に君は社会主義者かね?」
僕が「qua(河童語で「然り」)」と答えると、
「では百人の凡人の為に甘んじて1人の天才を犠牲にすることも顧みない筈だ。」
「では君は何主義者だ?」
「僕か?
僕は超人だ(直訳:超河童だ)」
トックは昂然と言い放ちました。
トックの信ずる所によれば、芸術は何ものの支配をも受けない、芸術のための芸術である。
従って、芸術家たる者は何よりも先に善悪を絶した超人でなければならぬと云うのです。
ガラス会社の社長のゲエルは資本家中の資本家だ。
そのゲエルから、河童の国にも戦争があったことを知りました。隣国のある限りは戦争はなくならず、河童はいつもカワウソを仮想敵にしていると云うことです。
河童の国にも「近代教」、別名「生活教」という宗教があって、その大寺院の長老によると、「食えよ、交合せよ、旺盛に生きよ」というのがその教えだそうです。聖徒として、あらゆるものに反逆したストリントベリイ、超人に救いを求めたニイチェ、誰よりも苦行をしたトルストイなどがまつられていました。
(芥川龍之介「河童」より、一部抜粋)
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人間社会を魚眼レンズで見ると、案外こんなものかも・・・。
これは メッセージ 1 (topics_editor さん)への返信です.
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