>問われるアメリカの責任能力:各論(1)
投稿者: etranger3_01 投稿日時: 2004/06/01 12:08 投稿番号: [41775 / 118550]
RE:(1)テロリズムは刑事犯罪ではナイ
●はじめに
「根本」編で述べたとおり、私はテロで行われる一連の行為は刑法上の犯罪行為では“あるが”国際法において厳密に「テロリズム」という犯罪は規定されていないので、それがまず問題であるという認識です。すなわち国際テロを扱う上では、911が示したようにそれは“国際的”でかつ“広範に被害が及ぶ破壊行為”なのですから、アメリカ一国の刑法あるいは政策上の決定に倣って国際テロに対する扱いを各国で一元化することはできないという考えです。
これは、アメリカだけでなく各国に主権があり、独自の司法管轄権、法体系があることをまず尊重する必要があるからです。でなければ、各国に一連の司法システムの改革を迫ることになり、国際協定などによる同意のない強制は主権侵害に当たります。主権はアメリカだけのものではないのです。そこに、国際協調の必要性が生じます。各国の主権を守らなければならないからです。
●国際/国内法におけるテロの扱いの問題
テロの扱いの問題については、911以降、この定義を確定するための協議が国連総会で何度か行われましたが、イスラム諸国の反対多数でいずれも草案は採択に至りませんでした。結果、いま現在に至っても国際的に合意にあるテロの定義というものは存在せず、テロに関連する犯罪も、各国の国内刑法の範疇でのみ扱われます。すなわち厳密にテロリズム自体が国際犯罪として定義されていないということです。
この事実により、「テロリズム」を構成する一連の行為が依然国内刑法の範疇にあるため、手続き上、カカシさんが仰るようにテロリストたちの人権が配慮されなければいけないという課題が生じます。しかも、事実上テロリストたちの大半が“国外犯”であるため、司法管轄権上の問題なども生じます。場合によっては、犯罪人引渡し協定を結んでいない国に対しては米政府は引渡しの義務を負わないという国際法上の穴による対応のムラも生じます。つまり、包括的にテロリストたちの扱いを規定する協定が現時点で国際社会に存在しないことによって、各国が独自でテロリストたちの扱いを個々に対処するしかなくなるわけです。
●アメリカ独自の対応
そこでアメリカは、アフガン攻撃を機にグアンタナモに収容した捕虜の扱いを「戦争捕虜」とはせず「不法戦闘員」として扱うことで、ジュネーブ条約などに規定される人道的配慮を回避しようと試みました。これは現行の戦時国際法ではつまりテロリストたちをゲリラと順当に扱うという判断を、アメリカが国家として行ったことになります。この判断については、アメリカがアメリカの国防上の理由で「テロリスト=ゲリラ=人道的配慮の必要なし」と判断したので、これはアメリカの国家主権を尊重せざるを得ません。
しかしそのような独自の解釈の適用が許されたのは、911のようにアメリカ本土が「不法戦闘員」という非対称的な存在による直接的攻撃を受けて両者が戦争状態に陥ったという前提があるからです。だからこそ、ジュネーブ条約を適用しないといういわば超法規的な解釈も順当と判断されました。イラクに関しては、すなわちアブグレイブ刑務所などにおいては、この論理は適用できません。それは、(1)イラクが国家という対照的な存在であること、(2)イラクがジュネーブ規程の批准国であること、そして(3)アメリカが占領国としての履行責任を持つからです。
(つづく)
●はじめに
「根本」編で述べたとおり、私はテロで行われる一連の行為は刑法上の犯罪行為では“あるが”国際法において厳密に「テロリズム」という犯罪は規定されていないので、それがまず問題であるという認識です。すなわち国際テロを扱う上では、911が示したようにそれは“国際的”でかつ“広範に被害が及ぶ破壊行為”なのですから、アメリカ一国の刑法あるいは政策上の決定に倣って国際テロに対する扱いを各国で一元化することはできないという考えです。
これは、アメリカだけでなく各国に主権があり、独自の司法管轄権、法体系があることをまず尊重する必要があるからです。でなければ、各国に一連の司法システムの改革を迫ることになり、国際協定などによる同意のない強制は主権侵害に当たります。主権はアメリカだけのものではないのです。そこに、国際協調の必要性が生じます。各国の主権を守らなければならないからです。
●国際/国内法におけるテロの扱いの問題
テロの扱いの問題については、911以降、この定義を確定するための協議が国連総会で何度か行われましたが、イスラム諸国の反対多数でいずれも草案は採択に至りませんでした。結果、いま現在に至っても国際的に合意にあるテロの定義というものは存在せず、テロに関連する犯罪も、各国の国内刑法の範疇でのみ扱われます。すなわち厳密にテロリズム自体が国際犯罪として定義されていないということです。
この事実により、「テロリズム」を構成する一連の行為が依然国内刑法の範疇にあるため、手続き上、カカシさんが仰るようにテロリストたちの人権が配慮されなければいけないという課題が生じます。しかも、事実上テロリストたちの大半が“国外犯”であるため、司法管轄権上の問題なども生じます。場合によっては、犯罪人引渡し協定を結んでいない国に対しては米政府は引渡しの義務を負わないという国際法上の穴による対応のムラも生じます。つまり、包括的にテロリストたちの扱いを規定する協定が現時点で国際社会に存在しないことによって、各国が独自でテロリストたちの扱いを個々に対処するしかなくなるわけです。
●アメリカ独自の対応
そこでアメリカは、アフガン攻撃を機にグアンタナモに収容した捕虜の扱いを「戦争捕虜」とはせず「不法戦闘員」として扱うことで、ジュネーブ条約などに規定される人道的配慮を回避しようと試みました。これは現行の戦時国際法ではつまりテロリストたちをゲリラと順当に扱うという判断を、アメリカが国家として行ったことになります。この判断については、アメリカがアメリカの国防上の理由で「テロリスト=ゲリラ=人道的配慮の必要なし」と判断したので、これはアメリカの国家主権を尊重せざるを得ません。
しかしそのような独自の解釈の適用が許されたのは、911のようにアメリカ本土が「不法戦闘員」という非対称的な存在による直接的攻撃を受けて両者が戦争状態に陥ったという前提があるからです。だからこそ、ジュネーブ条約を適用しないといういわば超法規的な解釈も順当と判断されました。イラクに関しては、すなわちアブグレイブ刑務所などにおいては、この論理は適用できません。それは、(1)イラクが国家という対照的な存在であること、(2)イラクがジュネーブ規程の批准国であること、そして(3)アメリカが占領国としての履行責任を持つからです。
(つづく)
これは メッセージ 41494 (oxnardnokakashi さん)への返信です.
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