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『中有』

投稿者: battamama 投稿日時: 2005/03/23 01:59 投稿番号: [357 / 1657]
大学時代、埴谷雄高の『死霊』と、高橋克己の『悲の器』を読了することが、男子学生の間でステータスだった。
果たして、彼らのどれだけが、その本を読了し、理解したのだろうか?
若干20代前半で。。。。


『Credo, quia absurdum. 不合理ゆえに吾信ず 』より

    −生と死と。Pfui !
魔の山の影を眺めよ。
  悪意と深淵の間に彷徨いつつ
  宇宙のごとく
  私語する死霊達

  すべて主張は偽りである。
或るものをその同一のものとしてなにか他のものから表白するのは正しいことではない。

  −私が   《自同律の不快》と呼んでいたもの、それをいまは語るべきか。
  −さて、自然は自然に於いて衰頽することはあるまい。

  −凡てが許されるとしても、意識のみは許されることはあるまい。この悪徳め!

  −そこに曖昧なものなくして何らの断定も出来ないこと。
ここにもまた悪徳がある。

  −われわれがなんであれ、いずれにせよ、とにかくそれとは別のものなのだ。
  私は或る隠者の話を想い出そう。その隠者は自身を索めようとして先ず足を切った。更に索め得られる、そう呟きながら、次に手を切った。そして、次第に自身を切り刻んでいって、影も形もみとめられなくなったと云われる。《だが聞いてみろ。そこにはまだ呟きが聞こえるのだ。ほれ、聞こえる。非常にさだかならぬひそやかなところに−》まことそこに偽りなくしてなんらの論理もあり得ない。
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