自衛隊標的:分かりにくい抗議の意味
投稿者: silverlining430 投稿日時: 2005/06/24 22:32 投稿番号: [1630 / 1657]
今回のサマワで活動する陸自を狙った爆発の件ですが…。
爆発の威力が意図的に抑えられていたようですし、確かにあの程度の爆発では実質的な被害が出にくいであろうことは一目瞭然でした(事件直後サマワ入りしたジャーナリストの不肖宮嶋氏が、ぱっと見の印象では対戦車地雷ほどの威力もない爆発規模だったといったような発言をどこかでしていましたが)ので、この事件は、我々日本人からしてみると込められている意味を読み取るのが困難な抗議形態の典型の一つかもしれないと思っています。
こういうことの解説については、アセアンさんやトミーさんの方がお詳しいでしょうけど。
まず犯行者がサドル派であるかどうかについては、サドル派である可能性が高いと思っています。まぁ、同派の幹部はライターさんご紹介の記事にあるように否定するでしょうけどね。
難しいのは、シスタニ師派とサドル派の間におそらく構築されているであろう「役割分担」による協力関係をどう見るのか?――ということですね。
シスタニ師は、米軍をはじめとする多国籍軍による占領統治に対しては穏健路線を貫いているであろうと解釈できます。スタンスとしては「いつになったらイラクから出ていくのかと占領者に常に問い続けている限り、占領者と協力してもよい」――という感じでしょう。
ただ、こうした穏健路線に満足できないイラクの人たちも当然多い。イラク統一同盟に参加しているイラク人ですらそうです。イラク統一同盟から離脱した南部の湿原地帯でのゲリラ指導者だったヒスボラのアブドルカリーム・ムハンマダーウィなんてそうでしょう。
ましてや失業状態に陥り、通常生活もままならない若くて血気盛んなイラク人ともなると、占領状態への不満を募らせて当然です。
ここにサドル派の存在意義があり、占領状態に不満たらたらでどうにも行き場を失ったイラク人の受け皿的な役割をサドル派をはじめとするシーア派の中でも原理主義派閥が担っていることになっていると思われます。
サマワのあるムサンナー県の人口はおおよそ60万人で、そのうちサドル派はわずか数十人にすぎませんが、おそらくは失業状態なんかに陥っているイラク人が取り込まれ、同派の中で統制は十分に取れるわけではないが、数としての規模は以前より大きくなっていると考えられます。そうとはいえ、相当の少数派ですので、この地域の支配権限を持つことは不可能ですが。
かといって、サマワではシスタニ師の地域代表が自衛隊の活動を守るファトワさえ出していますので、自衛隊に危害を加えたイラク人は確実に罪を問われることになりますし、村八分にされ、そのイラク人はもうその地域で生活ができなくなる。そうかといって、米軍をはじめとする占領統治者に自衛隊が協力していることは確かであり、占領状態に不満を持つイラク人の感情のはけ口は必要でもある。
そのはけ口に占領状態への穏健路線をとっているシスタニ師側はなりにくいので、強硬路線を取るサドル派にそうしたはけ口として一役買ってもらう。ただし、サドル派幹部の意向に反し、不満を持つ血気盛んなイラク人の若者が暴走しだし、収拾がつかなくなってきたら、シスタニ師側が仲介に登場し、権威を示す――そういう形のきわめて老獪な役割分担と協力関係が成立していると見受けられます。
サドル派もサドル派でこの役割分担を理解しているようで、選挙後シスタニ師の立場を尊重し、移行政府への批判をしばらく控えてきたのはそのためなのでしょう。
おそらく今回の自衛隊を狙った爆破事件も、サドル派の反占領抗議の一環で、ちょいもう少し突っ込んだ過激なことをしてみたくなったが、あまりやりすぎるとムサンナー県で自衛隊を守るという合意を取り極めた地元有力者の介入を招き、自分たちが地域から抹殺されかねない。
しかも自衛隊は直接の治安任務関係は一切担っていないので武装闘争やテロまがいのことをする理由がつくれない。
あれこれ思案して最終的にああいう実質被害はおそらく出ないであろうが抗議としてのインパクトがある形で、反占領を訴えられるというやり方をした結果だと思います。
こうした彼らなりの思案を無視すると、反イラク人感情がいたずらに盛り上がってしまいますし、Quick Impact Projectとしての必要性と意義は取り敢えず認められる自衛隊の活動の不本意な撤退論だけが先行してしまうことになると思います。
ぶっちゃけ言ってしまえば、ノー・プロブレム。実はたいした話じゃないと思います。
爆発の威力が意図的に抑えられていたようですし、確かにあの程度の爆発では実質的な被害が出にくいであろうことは一目瞭然でした(事件直後サマワ入りしたジャーナリストの不肖宮嶋氏が、ぱっと見の印象では対戦車地雷ほどの威力もない爆発規模だったといったような発言をどこかでしていましたが)ので、この事件は、我々日本人からしてみると込められている意味を読み取るのが困難な抗議形態の典型の一つかもしれないと思っています。
こういうことの解説については、アセアンさんやトミーさんの方がお詳しいでしょうけど。
まず犯行者がサドル派であるかどうかについては、サドル派である可能性が高いと思っています。まぁ、同派の幹部はライターさんご紹介の記事にあるように否定するでしょうけどね。
難しいのは、シスタニ師派とサドル派の間におそらく構築されているであろう「役割分担」による協力関係をどう見るのか?――ということですね。
シスタニ師は、米軍をはじめとする多国籍軍による占領統治に対しては穏健路線を貫いているであろうと解釈できます。スタンスとしては「いつになったらイラクから出ていくのかと占領者に常に問い続けている限り、占領者と協力してもよい」――という感じでしょう。
ただ、こうした穏健路線に満足できないイラクの人たちも当然多い。イラク統一同盟に参加しているイラク人ですらそうです。イラク統一同盟から離脱した南部の湿原地帯でのゲリラ指導者だったヒスボラのアブドルカリーム・ムハンマダーウィなんてそうでしょう。
ましてや失業状態に陥り、通常生活もままならない若くて血気盛んなイラク人ともなると、占領状態への不満を募らせて当然です。
ここにサドル派の存在意義があり、占領状態に不満たらたらでどうにも行き場を失ったイラク人の受け皿的な役割をサドル派をはじめとするシーア派の中でも原理主義派閥が担っていることになっていると思われます。
サマワのあるムサンナー県の人口はおおよそ60万人で、そのうちサドル派はわずか数十人にすぎませんが、おそらくは失業状態なんかに陥っているイラク人が取り込まれ、同派の中で統制は十分に取れるわけではないが、数としての規模は以前より大きくなっていると考えられます。そうとはいえ、相当の少数派ですので、この地域の支配権限を持つことは不可能ですが。
かといって、サマワではシスタニ師の地域代表が自衛隊の活動を守るファトワさえ出していますので、自衛隊に危害を加えたイラク人は確実に罪を問われることになりますし、村八分にされ、そのイラク人はもうその地域で生活ができなくなる。そうかといって、米軍をはじめとする占領統治者に自衛隊が協力していることは確かであり、占領状態に不満を持つイラク人の感情のはけ口は必要でもある。
そのはけ口に占領状態への穏健路線をとっているシスタニ師側はなりにくいので、強硬路線を取るサドル派にそうしたはけ口として一役買ってもらう。ただし、サドル派幹部の意向に反し、不満を持つ血気盛んなイラク人の若者が暴走しだし、収拾がつかなくなってきたら、シスタニ師側が仲介に登場し、権威を示す――そういう形のきわめて老獪な役割分担と協力関係が成立していると見受けられます。
サドル派もサドル派でこの役割分担を理解しているようで、選挙後シスタニ師の立場を尊重し、移行政府への批判をしばらく控えてきたのはそのためなのでしょう。
おそらく今回の自衛隊を狙った爆破事件も、サドル派の反占領抗議の一環で、ちょいもう少し突っ込んだ過激なことをしてみたくなったが、あまりやりすぎるとムサンナー県で自衛隊を守るという合意を取り極めた地元有力者の介入を招き、自分たちが地域から抹殺されかねない。
しかも自衛隊は直接の治安任務関係は一切担っていないので武装闘争やテロまがいのことをする理由がつくれない。
あれこれ思案して最終的にああいう実質被害はおそらく出ないであろうが抗議としてのインパクトがある形で、反占領を訴えられるというやり方をした結果だと思います。
こうした彼らなりの思案を無視すると、反イラク人感情がいたずらに盛り上がってしまいますし、Quick Impact Projectとしての必要性と意義は取り敢えず認められる自衛隊の活動の不本意な撤退論だけが先行してしまうことになると思います。
ぶっちゃけ言ってしまえば、ノー・プロブレム。実はたいした話じゃないと思います。
これは メッセージ 1628 (lighter101rethgil さん)への返信です.
固定リンク:https://yarchive.emmanuelc.dix.asia/552019567/a5a4a5ia5affql1ldbj_1/1630.html