イラク戦争

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「イラクはどこへ行くのか」酒井啓子①

投稿者: imonoyamashotengai 投稿日時: 2005/01/14 07:41 投稿番号: [4324 / 5091]
  「イラクはどこへ行くのか」酒井啓子(岩波ブックレット)480円+税

  <Ⅰ.治安の悪化は何が原因か>

  米兵の被害や駐留のコストをできるだけ削減するために、米英軍が責任の所在
をイラク人政治主体に押しつけた、といったほうがいいでしょう。

  注意すべきことは、イラクで少なくとも戦後一年半の間で発生した武力衝突や
大規模な暴力は、宗派対立を背景にしたものではない、ということです。
そもそもシーア派とスンナ派は、フセイン政権以前から共存関係が普通でした。
両派同士の婚姻も当たり前でしたし、大部族になれば部族内で宗派が違うことも
少なくありません。
  スンナ派もシーア派も、反米派の宗教勢力が「外国の武装勢力の介入は拒否す
る」といった声明を発出して、治安の回復を求めたことです。
宗派に関わりなく「イラクの統一、安定をテロ勢力に阻害されていはならない」
といった自覚が、この時点(主権移譲時)では明確にあったのです。

  (周辺アラブ諸国のイスラム原理主義過激派が)ろくな入国管理もなされない
ままイラクに入り込んでしまうことができるような、無秩序状態が戦争によって
発生してしまったことが問題なのです。
  こういた「外国から来た反米勢力」は、必ずしもイラク人社会の意向に沿って
望ましいイラク国家を建設しようといているのではありません。
  イラクが米国の支配下で発展すること、あるいは米主導の新政権が順調に国家
建設を行うこと自体に反対しているのです。
  そして、イラクで一定の権力を確立し、そこを拠点にとして周辺諸国に反米
活動を拡大していくことに、むしろ力点が置かれているのではないでしょうか。

  今起こっている反米活動は、フセイン政権期に一定の特権を得ていた軍将校や
治安関係者が、フセイン政権の復活ではなく自分の地位の回復、奪回を求めて、
主義主張を変えて反米活動に合流していると見たほうがいいのではないでしょう
か。

  フセイン政権崩壊後にできた権力の空白を埋めるためにイラク各地で自律的な
社会集団が自生的に生まれていった。その一種都市国家的な、解放区的な存在を
、暫定政府主導のもとに再び中央集権のなかに組み込もうという試みが、大規模
な軍事衝突となって繰り返されているということができます。
  (米英の占領後少なくとも一年間の)行政サービスの空白状況
米軍も暫定政府も介入できないような地方自治体が確立されてしまう。
しかし、米にとっては、どうもそこを拠点として、他の大都市にも米軍や政府を
狙った行動が広がっているように見える。そうした懸念から地方自治体を叩くの
ですが、結局軍事的には決着がつけられずに、あとの処理を地元社会に任せる。
となると、ますます地元の社会的自立性が強まる。その繰り返しです。

  治安の悪化の最大の原因は、戦後の政治的空白で成立してしまった地方の自律
的社会を政治的に取り込むのではなく、力で抑え込もうとしたがゆえに、かえっ
て反米勢力を全国に拡散させてしまったことだということができるでしょう。

  亡命イラク人政党は、ついイラク戦争前までは、イラク国内で反フセイン・
ゲリラ活動を行っていました。かつて民間人の犠牲も厭わぬ武装闘争を主導して
きた『元ゲリラ活動家』が、今では政権の座におさまっているのを見れば、ゲリ
ラと国軍の差がいかに相対的なものかは、イラク国民にとっては自明のことと
いえるでしょう。
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