イラクで日本人拘束

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政府は自己責任論をいう資格も根拠もない

投稿者: htk5346 投稿日時: 2004/10/30 16:35 投稿番号: [254338 / 280993]
イラクで武装グループに拉致された日本人の人質が無事解放されたと思ったら、今度は人質になった人たちに対する「自己責任論」が噴出している。政府・与党が震源地となって、一部マスコミが煽り、一般国民の中からもそんな声が起こっている。自衛隊をイラクに派遣した政府に、そんなことをいう資格はない。もとより法的な根拠もない。とくに、マスコミにもっとしっかりしてほしい、と言いたい。

  最初に人質になった3人の解放から一夜明けた16日、3人の自己責任を問う声が政府・与党から一斉に挙がった。自民党の額賀福志郎政調会長は与党対策会議で「渡航禁止について、法制化も含めた検討を行うべきだ」と提言、公明党も賛同した。また、公明党の冬柴鉄三幹事長は「政府は事件の対応にかかった費用を国民に明らかにすべきだ。費用の一部でも請求することで自由の裏返しに責任があることを知ってもらうべきだ」と強調した。自民党総務会でも「費用は堂々と請求すべきだ」(田村公平氏)などの声が相次ぎ、安倍晋三幹事長は「費用は精査する」と約束した。

  小泉純一郎首相は渡航禁止措置や費用負担については触れなかったが、解放された人の中にイラクでの活動を継続する希望があることについての感想を求められると、「いかに善意の気持ちがあっても、これだけの目にあい、これだけ政府や多くの人たちが救出に寝食を忘れて努力してくれているのに、なおかつそういうことをいうのかねえ。自覚というものを持っていただきたい」と、テレビカメラの前で迷惑論を力説した。

  渡航禁止措置は「移動の自由」を保障する憲法の趣旨に反する。また、外国での事件、事故などに対処するために政府が支払った費用を、被害者が一部負担することを定めた法律はない。あえて人質事件で政府が人質になった人に費用を一部負担させることができる法的根拠を探すとすれば、次の2つだろう。

  1つは、民法の「委任」あるいは「準委任」に該当する場合(643条〜656条)。委任は「当事者の一方が、法律行為をなす事を相手方に委託し、相手方がこれを承諾するにより」成立し(643条)、「受任者が委任事務を処理するに必要と認むべき費用を出したときは、委任者に対して、その費用の償還を請求することができる」(650条)とある。委任の対象が「法律行為」でなく、「事実行為」である場合を準委任と呼び、委任と同様に費用の償還を認めている(656条)。

  イラクの人質事件の場合、一方は人質になっているのだから、日本国政府との間に委任ー承諾の話ができようはずがない。たとえ親族が政府に「何とか助けてほしい」と懇請したとしても、それは政府に対する政府としての対応・行動を促したものであって、民法上の契約関係が成立したとみることはとてもできない。

  もう1つは、民法の「事務管理」に該当する場合(697条〜702条)。事務管理とは「義務なくして他人にために事務の管理を始めたる者は、その事務の性質に従い、最も本人の利益に適するべき方法によりて、その管理を為すことを要す」とされ(697条)、「管理者が本人のために有益なる費用を出したときは、本人に対して、その償還を請求することができる」(702条)。

  イラクの人質事件の場合、政府はそもそも「義務なき者」には該当しない。政府は「海外における邦人の保護」という義務を負っている。自らの義務を自らの費用で遂行するのは当然のことだ。「人質になった人にかかった費用を負担させる」などという議論は、邦人保護という政府の義務を自ら放棄するに等しい。

  しかも、今度の人質事件は政府の自衛隊派遣という政策が背景になって起こった。高遠菜穂子などは以前からイラクのストリート・チルドレンの世話をする活動を長期にわたり続けており、これまでは危険に晒されたことはなかった。その意味では人質になった人は政府の政策に伴う犠牲者という側面があり、政府が費用負担を請求するなどということは、自らの責任を他人に転嫁する以外の何物でもない。
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