サンデー時評:街の声
投稿者: tamakochan184 投稿日時: 2004/05/04 22:14 投稿番号: [164603 / 280993]
サンデー時評:
「いくら払ったんだ」という街の声
15日夜、東京・世田谷の行きつけの居酒屋に入ったとたん、
〈3人の日本人人質解放……〉
の速報テロップが店のテレビ画面に映された。
「おっ」
と驚く私に、客から声が飛んだ。「いくら払ったんだ。あんた知ってるんだろ」「そんなこと、知るわけないよ」「1人1億円か。家族に払わせればいいんじゃないの」「……」 そのうちに、3人の晴れやかな映像が映しだされると、「冗談じゃない。おまえら英雄じゃないんだぞ」「凱旋(がいせん)将軍みたいに帰ってきたら承知せんからな」 などと穏やかでない。 居酒屋のこうした厳しい反応は、街の平均的な空気を映しだしているとみていい。今回の人質事件ほど建前と本音が鋭く乖離(かいり)したのは、最近ではめずらしいことだった。人質救出の大合唱の一方で、だれもがどこかで本音をしゃべりたい。
犯人グループから24時間以内の釈放声明が出た直後、同僚とタクシーに乗って、「釈放されると、次は家族批判があちこちから出るんだろうなあ」「まあ、ねえ。政府は何してるんだ、自衛隊を直ちに撤退させろ、と家族は激しくやった。しかし、世間は、ちょっと違うんじゃないか、と思いながらも、黙ってたわけだから」
などとやりとりしていると、運転手君がすぐに割り込んできた。
「そりゃそうですよ。お客さんは10人が10人、おかしい、と言ってます」
この時期、タクシーだけじゃない。会社の食堂といい居酒屋といい、どこもこの一点に絞られている印象だった。しかも、たとえ話がやたら多かった。
「遊泳禁止区域と知りながら、悪がきが泳いでおぼれかけたのを、親が『けしからん』といって市役所に怒鳴り込むような話じゃないの」
と憤慨しているのを聞いた。もうひとつぴったりこないが、子供の非に目をつぶって責任を他に転嫁する親の身勝手に怒っている。あるいは、
「車に乗っていて死傷事故を起こした。車さえなければこんなことにはならないんだから、車の製造をやめさせろ、と騒いでいるのと同じことだよ」
というたとえも耳にした。とっぴなようでもあるが、自衛隊さえ派遣しなければ人質事件は起きていないのだから、犯人グループの要求どおり撤退させてくれ、という家族の発言の筋違いと似ていないでもない。
家族側が、
「小泉首相に会わせろ」
と執拗(しつよう)に求めたのも、矢も盾もたまらない気持ちから出たものだから分からないではないが、被害者の権利意識のようなものがむきだしになりすぎていて
やはり違和感があった。
続く
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/iwami/sunday/news/20040421org00m070059000c.html
「いくら払ったんだ」という街の声
15日夜、東京・世田谷の行きつけの居酒屋に入ったとたん、
〈3人の日本人人質解放……〉
の速報テロップが店のテレビ画面に映された。
「おっ」
と驚く私に、客から声が飛んだ。「いくら払ったんだ。あんた知ってるんだろ」「そんなこと、知るわけないよ」「1人1億円か。家族に払わせればいいんじゃないの」「……」 そのうちに、3人の晴れやかな映像が映しだされると、「冗談じゃない。おまえら英雄じゃないんだぞ」「凱旋(がいせん)将軍みたいに帰ってきたら承知せんからな」 などと穏やかでない。 居酒屋のこうした厳しい反応は、街の平均的な空気を映しだしているとみていい。今回の人質事件ほど建前と本音が鋭く乖離(かいり)したのは、最近ではめずらしいことだった。人質救出の大合唱の一方で、だれもがどこかで本音をしゃべりたい。
犯人グループから24時間以内の釈放声明が出た直後、同僚とタクシーに乗って、「釈放されると、次は家族批判があちこちから出るんだろうなあ」「まあ、ねえ。政府は何してるんだ、自衛隊を直ちに撤退させろ、と家族は激しくやった。しかし、世間は、ちょっと違うんじゃないか、と思いながらも、黙ってたわけだから」
などとやりとりしていると、運転手君がすぐに割り込んできた。
「そりゃそうですよ。お客さんは10人が10人、おかしい、と言ってます」
この時期、タクシーだけじゃない。会社の食堂といい居酒屋といい、どこもこの一点に絞られている印象だった。しかも、たとえ話がやたら多かった。
「遊泳禁止区域と知りながら、悪がきが泳いでおぼれかけたのを、親が『けしからん』といって市役所に怒鳴り込むような話じゃないの」
と憤慨しているのを聞いた。もうひとつぴったりこないが、子供の非に目をつぶって責任を他に転嫁する親の身勝手に怒っている。あるいは、
「車に乗っていて死傷事故を起こした。車さえなければこんなことにはならないんだから、車の製造をやめさせろ、と騒いでいるのと同じことだよ」
というたとえも耳にした。とっぴなようでもあるが、自衛隊さえ派遣しなければ人質事件は起きていないのだから、犯人グループの要求どおり撤退させてくれ、という家族の発言の筋違いと似ていないでもない。
家族側が、
「小泉首相に会わせろ」
と執拗(しつよう)に求めたのも、矢も盾もたまらない気持ちから出たものだから分からないではないが、被害者の権利意識のようなものがむきだしになりすぎていて
やはり違和感があった。
続く
http://www.mainichi-msn.co.jp/seiji/iwami/sunday/news/20040421org00m070059000c.html
これは メッセージ 1 (topics_editor さん)への返信です.
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