イラクで日本人拘束

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★菜穂子の日記★<愛が足りない>

投稿者: weekend_ski_holiday 投稿日時: 2004/04/30 03:04 投稿番号: [148236 / 280993]
[ イラクまでの道のり ]

<愛が足りない>

3月20日に戦争が始まってしばらくすると、私はダライラマのティーチングには行かなくなってしまった。それは、戦争のことが頭から離れず私のキャパシティが説法どころではなくなってしまったこと。そして、説法の内容は別段目新しいことではなかったこと。なぜなら、ダライラマがやさしく説く生きる智恵の言葉は、子供時代に親や祖母から聞いた懐かしさがあったからだった。そして、カルカッタを出る直前にマザーテレサのお墓の手入れをするシスターが「マザーが病床で瞑想をした後に書いた詩よ」と言って私にくれた小さなカードに書かれた言葉が、今またこの仏教の説法の中で同じ響きを持って説かれていることに胸が高鳴るほどの感動を覚えたのである。その事実は私に再び「愛」に従い生きることを決意させた。と同時にそれは、今の私には「愛」が足りないことを自覚させるきっかけでもあった。

しばらくは一人で目を閉じる日々が続いた。宿もさらに静かな山奥に移った。「平和を祈る」ことすら無意味に思えてくるほどそこは静かでのどかで自然で、平和だった。一方でインターネットやメールで流れてくる情報には「人間の盾」という違和感のある言葉が頻繁に聞かれるようになっており、「戦争を止める」という「人間の盾」の人たちの声が私にはやけに遠くに聞こえてしまっていた。

私はイラクの人たちのために命を差し出せるほど「愛」で満ちてはいなかった。宗教や民族や言葉を超えてすべての人を愛したいと願うのに、私の心は明らかにイラクから遠く、「無敵の愛」に満たされないことに苛立っていた。

<ゴータマ・ブッダの言葉>

静けさを求めて移ったダラムコットの山間には2つの瞑想センターがあった。その一つが今年に入ってから会う人ごとに薦められていた「ヴィパッサナ瞑想」のセンターであった。確かに「なんちゃって瞑想」から少し進歩したいなぁ、という希望はあったのだけれど、会う人会う人がみなこの瞑想法があなたに合っていると言い、山奥で待ち構えていたかと思うほど眼前にそのセンターが現れ、私は笑ってしまうほどの即決でこの瞑想コースを申し込んでいたのである。

ウエイティングリストは参加希望者で埋まっていた。私の名前ももちろんそのリストに載せられた。私のウエイティングナンバーは19番で、参加できるかどうかは微妙だった。コースが始まるまで1週間ほどあり、その間にオリジナルの「なんちゃって瞑想」を続けて私のなりの結論が出れば、もしくはコースに参加できないのならばイラクに入ろうと考えていた。違和感はあるけれど「人間の盾」として。戦争が終わる気配どころか長引く様相を見せ始めた頃、焦っていた私はもうすぐにイラクに飛び込んでしまおうかと考えていた。でも、焦りと怒りの波が、生まれようとする「愛」をかき消していることは自分でもよく承知していた。

ゴータマ・ブッダは私の話をまずよく聞きなさい、とでも言うように私を瞑想コースに参加させた。そしてその日から厳しい瞑想の10日間が始まった。朝の4時半から夜の9時までひたすら瞑想。これは「心の大手術」と言われ、デリーの刑務所では社会復帰のために囚人全員がこの瞑想を実践しているという。外国人の囚人に至っては「この瞑想を知ることができてデリーの刑務所に入れたのは幸運なことかもしれない」とまで言っている。

瞑想の内容に関してはここでは省略するが、これが私の人生にとってどれほど大きな衝撃と自信を与えてくれたかということははっきりと言える。この体験で私は証拠をつかんだ。ゴータマブッダがいかに科学的で宇宙的で論理的であるかをまさに「体験」するのである。そして、ゴータマブッダはただの一度も「仏教」を説いていないという事実は私をとことん安心させたのであった。

9日目には体中が「愛」で満たされる事実を確認し、それを思い切り放出する喜びをかみしめ、やっとそこでこの戦争についてのスタンスが定まった。これで、行ける。イラクに行ける。瞑想コースのフィナーレはその想いでいっぱいだった。
2003/05/21(Wed)
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