アフリカ

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明際交流こそ平和の砦

投稿者: nanisun_dung 投稿日時: 2005/07/31 13:47 投稿番号: [1379 / 1408]
  いつも陽気な彼は、その時は違っていた。首を左右に振りながら、右手で作ったこぶしを上に挙げ、ゆっくりと自分の左手に向かって投げ下ろしてみせた。「あなたの気持ちは?」の問いに対する彼の回答。

  アフリカのタンザニア出身の彼は、鹿児島に来て3年。技師として大学院で学ぶ。雰囲気を和ますのは天性で、その日も参加者の笑いを終始誘っていた。そんな彼が一瞬みせたやり場のない怒り。

  時は、今年の多国籍合宿。留学生、大学生、一般市民の総勢400人以上が集う場。全国探しても、このような合宿は、鹿児島を除いて他に無い。柳田国男に習えば、国対国の「国際」交流に対し、こちらは民と民を結ぶ「民際」交流だ。

  「アフリカのイメージと真実」と題する分科会で、彼は写真を紹介していった。登場するのは、貧しい子どもと母親、飢えた子ども、子どもの兵士、戦争で傷ついた子ども、そして、もちろん野生のライオンだ。これらの写真は、海外の主要なメディアが流しているアフリカのイメージである。

  一方、「アフリカの真実は?」というと、まず彼は、野生のライオンを見たことがないそうだ。理由は単純で、野生のライオンを見るためには、入場料を支払って国立公園に行かねばならない。その入場料でなんと数十キロの米が買える。つまり、野生のライオンを見ることは、ぜいたくな娯楽なのだ。

  そもそもアフリカ大陸には、全部で54の国がある。そのうち実際に内戦状態の国は4つ程度。それ以外の国といえば、元気にサッカーを楽しむ子どもたち、食べ物があふれる市場、車の行き交う大都市。日本の日常と変わらない光景が、そこには映し出されていた。

  アフリカは、確かに貧困、飢餓、内戦など深刻な問題がある。だが、アフリカは一枚岩ではない。多様な民族と文化、豊かな資源と自然条件、異なる政治経済状況が、織りなす人びとの暮らしがある。にもかかわらず、なぜアフリカというと、ステレオタイプのイメージしか私たちは描けないのか。

  彼の問題提起は、さらに強烈だった。なぜ、メディアはアフリカの「問題」ばかりを取り上げるのか。アフリカには希少な資源も含め、今日の工業化社会を支える豊かな資源が眠る。その資源を制する者こそ、今日の富を支配することに通ずる。

  コンゴの内戦を取り上げながら、操作されたアフリカのイメージの問題を喚起したかった彼。体格のよい彼をアフリカから来たと信じようとしなかった、日本で出会った女性。鹿児島で暮らしながら、その偏見に憤る。

  タンザニアは決して貧しくはない。そう断言したのは、鹿児島に留学する新妻に会いに来ていたタンザニアの若い弁護士。所得は少ないかもしれない。しかし、自然が豊かだ。人びとの心も豊かだ。我々は飢えを知らない。

  だが、国連開発計画が毎年順位付けをする、国の豊かさを測る人間開発指数は、177カ国中タンザニアは下から16番目。国の豊かさとはいったい何なのか。誰が何を持って判断すべきことなのか。

  一つの解は、民際交流を通して創出されるものとはいえないか。国境の垣根はますます低く、政治、経済、文化のどれをとっても、国家間の相互依存が強まる近年。暮らしに直接影響を与えあう国々の「真実」を、私たちはもっと学ぶ必要があろう。

(7/30)
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