典籍
投稿者: cakerun999 投稿日時: 2005/05/04 03:05 投稿番号: [8908 / 16409]
行く川の流れは絶えずして、
しかももとの水にあらず。
よどみにうかぶうたかたは
かつ消えかつ結びて、
久しくとどまりたる例(ためし)なし。
世の中にある人と栖(すみか)と、
又かくのごとし。
玉敷(たましき)の都のうちに、
高き卑しき人のすまひは、
世々(よよ)を経て
尽きせぬものなれど、
これをまことかと尋ぬれば、
昔ありし家は稀(まれ)なり。
或(ある)は去年(こぞ)焼けて、今年(ことし)作れり。
或(ある)は大家(おほいえ)ほろびて、小家(こいえ)となる。
住む人もこれに同じ。
所も変らず、人も多かれど、
いにしえ見し人は、二三十人が中(なか)に、
わずかに一人(ひとり)二人(ふたり)なり。
朝(あした)に死に、夕(ゆふべ)に生まるる習ひ、
ただ水の泡(あわ)にぞ似たりける。
知らず、生まれ死ぬる人、
何方(いずかた)より来(きた)りて
何方(いずかた)へか去る。
又知らず、仮の宿り、
誰(た)がために心を悩まし、
何によりてか目を喜ばしむ。
その主(あるじ)と栖(すみか)と無常(むじょう)を争うさま、
いはば朝顔の露に異ならず。
或(ある)は露落ちて花残れり。
残るといへども、朝日に枯れぬ。
或(ある)は花しぼみて
露なほ消えずといへども
夕(ゆふべ)を待つ事なし。
これは メッセージ 1 (topics_editor さん)への返信です.
固定リンク:https://yarchive.emmanuelc.dix.asia/552019566/bfoq_1/8908.html