北朝鮮

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『ブラザーフッド』

投稿者: lilasnosakukoro 投稿日時: 2004/07/09 20:44 投稿番号: [19982 / 44985]
  今日、『ブラザーフッド』を観てきました。
  良い俳優さんと骨太の脚本、しっかりした時代考証のもとに造られた大変良い映画と思います。

  何度も泣きそうになり、1度は本当に泣きました。戦争がいかに敵味方至近の距離で行なわれる陰惨なものかも感じました。そして、不謹慎かもしれませんが、ふとしたカットでの男優さんたちのカッコよさにうっとりもしました。
  『シルミド』は一見の価値ある作品ですが、『ブラザーフッド』はぜひ映画館で観るべき作品だと思います。

  その上で本音を吐きます。
  『シルミド』を観たときからかすかに頭の片隅に違和感のようなものを感じていたのですが、『ブラザーフッド』でその正体をつかんだように思います。それは、両作品とも民族の悲劇を扱いながら徹頭徹尾韓国がわの視点でのみ描かれている、ということです。韓国映画なのだから当然なのですが。

  そのことに気がついたのは、第二次世界大戦が始まったときスターリン統治下のソ連ではむしろほっとしたような空気が広がったという昔読んだ記述を思い出したからです。
  徹底的な抑圧下にある国民は戦争の勃発によりその統制が幾分でも緩むことにほっとする、という悲劇がこの世にはあるのだ。だとしたら、当時の北朝鮮がわではどんな思いで人々は戦争開始を迎えたのだろう?   当時の朝鮮労働党の政治体制は、今ほどには劣悪ではなかったのだろうか?   だとしたら、北の兵士は南の人民を「傀儡政権」から解放し半島を統一するために使命感に燃えて従軍したのだろうか?   それとも、今日に続く北朝鮮の悲劇はすでにはじまっていて、国民は戦争開始をソ連でのようにほっとした思いで迎えたのか?   あるいは、当然考えられるように、先行きへの不安が一番大きかったのか?

  韓国の人々が朝鮮戦争や歴史の闇に埋もれさせようと権力が企んだ事件に対してどう臨んだかは、映画の題材となり、世界中に配信されます。チャン・ドンゴンやウォンビンといったスター俳優、あるいはソル・ギョングやアン・ソンギのような名優たちの優れた演技のおかげで、世界中に彼らの思いが広まります。
  でも、北朝鮮の一般の人々の思いは?   それが伝えられるのはいったいいつになるのでしょう?   現体制がつづく間は、絶対にその声を世界が知ることはありません。

  それを考えるとき、
「苛政は虎よりも猛し」
という孔子の言葉には迫真の響きを感じます。そして、
「力なき正義は無力なり」
という、少林寺の開祖宗道臣の言葉にも。(この前段に、「正義なき力は暴力なり」とあるのも、もちろん知っていますが)

  苛政というものそれ自体も、かなり相対的なものではないかと思います。名君、名政治家と呼ばれる人々のなかにかなりの数、一方では独裁者であった人もいますから。
  私たちは人類は、「苛政」というものとそれぞれがどう対峙すべきなのか世界的なコンセンサスを得るまでに、今後も多くの悲劇を繰り返すでしょう。
  そしてそれらの悲劇の最大のものが戦争である、とは断言できないと確信しています。目のまえに、「北朝鮮国民」という厳然とした証拠があるのですから。
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