四川省大地震
投稿者: pink_diamond_pko 投稿日時: 2008/05/28 23:13 投稿番号: [69904 / 85019]
四川省で発生した大地震は悲しいニュースだったが これを奇貨として中国は国家の体質を変えようとしているかに見える
早急すぎる判断は「旧ソ連のグラスノスチ(情報公開)ペレストロイカ(改革)の中国版が胡錦濤の手でまもなく始まる」などと過重な期待も欧米の一部マスコミに顕著なことである
幻想に終わらなければ良いが、と思う。
まず地震情報を伝える視点が中国と日本と欧米でまるで異なった。最初にこの事実を比較しておきたい。
日本のマスコミは「パンダは大丈夫か」と第一報、それから軍と行政の救援活動が遅いとか、「テントと食料がたりない」と民衆の不満を中心に報じたが、神戸や新潟の被災報道を踏襲した情緒的なものだった。
中国のマスコミは「温家宝首相が現場入りして陣頭指揮」を大々的に報じ、ついで軍の大量投入を「英雄的救済活動」と宣伝をつづけた。挙げ句に「中華民族の団結」を謳って愛国キャンペーンにすり替えた。国民の不満の声は殆ど伝えられず、二次災害への警告も後手後手に回った。中国の情報公開は極めて限定的だったのである。
欧米マスコミの関心は「核兵器製造工場」と「原子炉」の安全だった。
ついでインターネットの書き込みで中国政府批判が意外と自由だった点、官製マスコミが日頃の統制を突破して、かなり奔放に被災地から報道した点をとらえ「百八十度の変化」と前向きに評価したメディアがあった。
▲「中華民族」は架空の概念ではなかったのか?
北京五輪ボイコットもチベット問題も画面から消え、中国への同情がわき上がった。
この機を逃さなかった中国共産党は外国の援助をはじめて受け入れ、日本、韓国、ロシア、台湾、シンガポールのチームが被災地へ乗り込んだ。
しかしながら中国人民解放軍はメンツにかけて日本チームを最も遠隔地の生存が絶望視される場所を意図的に指定し、民衆の歓迎反応とは別に「ありがた迷惑」という攘夷感情が露骨だった。
中国が北京五輪を前にして展開してきた官製の愛国キャンペーンがやらせの演出に近かったことに比べて、震災直後からの「助け合い」活動やボランティアの広がり、中央のテレビでは芸能人らのチャリティ合戦を目撃すると、これまでは架空の概念とされた「中華民族」が一般の民衆に届き始めたという意外な側面も観測できる。
つまり中国は漢族を中軸に少数民族への容赦なき弾圧による力の統合から、より広範な中華民族の団結を標榜し、近代的国民国家を明確に目指し始めたことが確認できる。
とはいうものの近代政治学における国民国家の成立は民主化とセットであり、一方でウィグルやチベットでは分裂や独立運動が地下に燻り続け、聖火リレー妨害のテロ(たとえば5月16日、温州でのバス爆破で16名が死亡)に見られるように中華思想への不信も甚だしい。「団結」はかけ声倒れに終わる可能性が高い。
中国で最も高価なタバコの銘柄は「中華」というブランドで一箱千円もする。日本人は「ピース」を煙にするように、中国人は「中華」を煙にしているようでもある。
(この文章は『北国新聞』のコラム「北風抄」に5月26日に掲載されました)。
早急すぎる判断は「旧ソ連のグラスノスチ(情報公開)ペレストロイカ(改革)の中国版が胡錦濤の手でまもなく始まる」などと過重な期待も欧米の一部マスコミに顕著なことである
幻想に終わらなければ良いが、と思う。
まず地震情報を伝える視点が中国と日本と欧米でまるで異なった。最初にこの事実を比較しておきたい。
日本のマスコミは「パンダは大丈夫か」と第一報、それから軍と行政の救援活動が遅いとか、「テントと食料がたりない」と民衆の不満を中心に報じたが、神戸や新潟の被災報道を踏襲した情緒的なものだった。
中国のマスコミは「温家宝首相が現場入りして陣頭指揮」を大々的に報じ、ついで軍の大量投入を「英雄的救済活動」と宣伝をつづけた。挙げ句に「中華民族の団結」を謳って愛国キャンペーンにすり替えた。国民の不満の声は殆ど伝えられず、二次災害への警告も後手後手に回った。中国の情報公開は極めて限定的だったのである。
欧米マスコミの関心は「核兵器製造工場」と「原子炉」の安全だった。
ついでインターネットの書き込みで中国政府批判が意外と自由だった点、官製マスコミが日頃の統制を突破して、かなり奔放に被災地から報道した点をとらえ「百八十度の変化」と前向きに評価したメディアがあった。
▲「中華民族」は架空の概念ではなかったのか?
北京五輪ボイコットもチベット問題も画面から消え、中国への同情がわき上がった。
この機を逃さなかった中国共産党は外国の援助をはじめて受け入れ、日本、韓国、ロシア、台湾、シンガポールのチームが被災地へ乗り込んだ。
しかしながら中国人民解放軍はメンツにかけて日本チームを最も遠隔地の生存が絶望視される場所を意図的に指定し、民衆の歓迎反応とは別に「ありがた迷惑」という攘夷感情が露骨だった。
中国が北京五輪を前にして展開してきた官製の愛国キャンペーンがやらせの演出に近かったことに比べて、震災直後からの「助け合い」活動やボランティアの広がり、中央のテレビでは芸能人らのチャリティ合戦を目撃すると、これまでは架空の概念とされた「中華民族」が一般の民衆に届き始めたという意外な側面も観測できる。
つまり中国は漢族を中軸に少数民族への容赦なき弾圧による力の統合から、より広範な中華民族の団結を標榜し、近代的国民国家を明確に目指し始めたことが確認できる。
とはいうものの近代政治学における国民国家の成立は民主化とセットであり、一方でウィグルやチベットでは分裂や独立運動が地下に燻り続け、聖火リレー妨害のテロ(たとえば5月16日、温州でのバス爆破で16名が死亡)に見られるように中華思想への不信も甚だしい。「団結」はかけ声倒れに終わる可能性が高い。
中国で最も高価なタバコの銘柄は「中華」というブランドで一箱千円もする。日本人は「ピース」を煙にするように、中国人は「中華」を煙にしているようでもある。
(この文章は『北国新聞』のコラム「北風抄」に5月26日に掲載されました)。
これは メッセージ 69902 (pink_diamond_pko さん)への返信です.
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