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誠実さ欠く隠し撮り 読売(映画評)

投稿者: bakapon007 投稿日時: 2010/07/03 12:22 投稿番号: [83 / 1618]
「誠実さ欠く隠し撮り」

カメラに撮られたくないものを撮るには、どうすればいいか。撮られるべきであることを理解してもらうには、どうすべきか。

  まずは、時間をかけて、撮影対象との間に必要な関係性を築かねばならない。映画作家としてのノウハウ以上に、映画作家としての誠実さが問われるところだ。

  しかし、この映画を見る限り、作り手たちがそのような過程を経たとは想像しにくい。

  保護活動家の主張に沿って、和歌山県太地町のイルカ漁を告発するドキュメンタリー映画。クライマックスは漁師たちがイルカを殺し、血で海が赤く染まるシーンだが、漁師たちは撮影を拒絶している。ルイ・シホヨス監督ら撮影クルーは、夜間、入り江に忍び込んで隠しカメラを設置し、現場の撮影に成功する。

  彼らは、まるで、秘境に挑む探検隊のように勇ましい。音楽が鳴り、ナレーションやセリフがかぶさる。エンターテインメントとしての高揚感は感じるが、対象に向き合う誠実さは感じられない。

  もちろん、公益性があり、他に手段がなければ、隠し撮りが許される場合もあるだろう。が、漁は毎年行われている。優れたドキュメンタリー作家なら、土地に住み着き、対象者と長い時間を共にした後、ようやくカメラを彼らに向けたはずだ。本作のクルーにそんな時間があっただろうか。

  誠実さを欠いた映画を元に、イルカ漁の是非について冷静に語れるのか。ただ、それでも、本作は上映され、批判や賛辞をきちっと受けるべきだろう。1時間31分。渋谷・シアター・イメージフォーラム。(近藤孝)

(2010年7月2日 )
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