ハンセン病控訴断念社説:コメント
投稿者: rykutukgi 投稿日時: 2001/05/24 23:51 投稿番号: [862 / 28311]
ハンセン病についての読売と朝日の社説です。
・読売
「ハンセン病 原告の立場に配慮した控訴断念」
「2つの争点について、このまま熊本地裁判決を確定させないで、控訴審の判断を仰ぎたいという「法律論」の立場はそれなりに理解できるものだった。
「原告の立場を考えれば、控訴は人道上許されないことだった。法律上の問題点を明言した上で、訴訟を断念する。小泉首相がぎりぎりでした英断だったと言える。併せて救済策も示された。後は、社会が元患者を広く受け入れることだ。」
今回の読売の社説も意外性のない当たり前の流れとなっています。法律上の問題点を指摘し、それを乗り越えての小泉首相の英断を名指しで評価。そのうえで、社会に元患者を呼びかけるという、またしてもすなおなデキスギ君の文章です。
・朝日
「控訴断念 これを機に全面解決を」
「政治家が指導力を発揮することの重要性が唱えながら、はき違えた言動が目についてきただけに、首相の今回の対応に政治の変化を実感した人は少なくないのではないか。控訴断念をねばり強く訴え続けた元患者らの声があったからこそ「異例の判断」であることは言うまでもない。」
「進行中の他のハンセン病訴訟も早期に終結させる事が必要だ。...一時金のみならず、医療福祉体制の一層の充実など、高齢化し将来に不安を抱える人々の意向を最大限ふまえた施策を講じてもらいたい。」
「長年の「罪」が消えるわけではない。法制定時に近い将来の見直しを付帯決議でうたいながら。内閣から廃止法案が提出されるまでの40年もの間、何の行動も起こさなかったのはなせか、...教訓を今後に生かさなければならない。」
「予防法を存続させた責任は医学界にも法曹界にもある。メディアも批判を免れない。それぞれが目を光らせ、連携を取って声をあげていくことが大切だ。」
「(政府を野放しにした)自覚と反省を一人一人が胸に刻み国の有り様を変えてゆく。そこまで歩を進めなければ、元患者らが突きつけた問題に本当にこたえたことにはなるまい。」
ハンセン病控訴断念自身はマスコミとして歓迎すべき記事です。政府の間違った政策により不当に苦しめられてきた弱者保護の視点から勧善懲悪のストーリーが描け、多くの読者が強い同情をしめしてくれまます。元患者を美化し支援することは正義なのです。しかし、小泉首相が決断したとなるとこれはやや複雑です。小泉首相は人気絶頂とは言いつつ、ここでは「悪」である政府の一員であり、小泉首相が「善」になると、このストーリーから悪役が消えてしまい、マスコミがかっこよく中立を装いつつ悪を戒める正義のペンになれなくなってしまいます。政府を悪役に仕立ていかにストーリーを作るか、その点に工夫があるのが今日の社説です。
朝日の読売との顕著な違いは、読売は今回の控訴断念でこの問題に政府としては一区切りついたとしていますが、朝日は問題が全て解決していないとしている点です。また、解決の方法も、読売は社会に元患者を広く受け入れるように呼びかけていますが、朝日はあくまで政府が金と施設を与えるべきという論調になっている点です。読者一人一人には元患者の思いやりは求めませんが、悪役政府は長年の罪を償うために金を払えと言う論調は読んでてきもちのいいものです。もちろん、この金の出所が読者の払う税金だ、などと言ってはいけません。そんなことを言うと読者の高揚した偽善の心は急にしぼんでしまうことでしょう。
また、今回特にそのことは関係ないのですが、「はき違えた言動が目について」と政治家を性悪説的に批判する姿勢には好感が持てます。朝日として首相をほめることはできません。かといって今回の英断から首相をはずすことはあまりに不自然です。「首相の今回の対応に政治の変化を実感した人は少なくないのではないか」という記述が今回の首相に対しての朝日のコメントとなっています。これなら、朝日が小泉首相の提灯と見られなくてすみます。
「メディアも批判を免れない」他人事のようにといっていますが、具体的に朝日がどのように責任をとるのか言及していないところがポイントです。言うだけで責任を負わないのはマスコミの特権です。政府は責任を取って金を払うが、自分たちはかっこのいい論説で読者を引きつけ、売り上げ向上のネタにできればいいのです。「自覚と反省を一人一人が胸に刻み国の有り様を変えてゆく」といいながら、具体的にどう変えるのか言及しないでエンディング。かっこよく無意味な言葉は心に残ります。
今日の社説も朝日は心にしみる奥の深いものでした。
・読売
「ハンセン病 原告の立場に配慮した控訴断念」
「2つの争点について、このまま熊本地裁判決を確定させないで、控訴審の判断を仰ぎたいという「法律論」の立場はそれなりに理解できるものだった。
「原告の立場を考えれば、控訴は人道上許されないことだった。法律上の問題点を明言した上で、訴訟を断念する。小泉首相がぎりぎりでした英断だったと言える。併せて救済策も示された。後は、社会が元患者を広く受け入れることだ。」
今回の読売の社説も意外性のない当たり前の流れとなっています。法律上の問題点を指摘し、それを乗り越えての小泉首相の英断を名指しで評価。そのうえで、社会に元患者を呼びかけるという、またしてもすなおなデキスギ君の文章です。
・朝日
「控訴断念 これを機に全面解決を」
「政治家が指導力を発揮することの重要性が唱えながら、はき違えた言動が目についてきただけに、首相の今回の対応に政治の変化を実感した人は少なくないのではないか。控訴断念をねばり強く訴え続けた元患者らの声があったからこそ「異例の判断」であることは言うまでもない。」
「進行中の他のハンセン病訴訟も早期に終結させる事が必要だ。...一時金のみならず、医療福祉体制の一層の充実など、高齢化し将来に不安を抱える人々の意向を最大限ふまえた施策を講じてもらいたい。」
「長年の「罪」が消えるわけではない。法制定時に近い将来の見直しを付帯決議でうたいながら。内閣から廃止法案が提出されるまでの40年もの間、何の行動も起こさなかったのはなせか、...教訓を今後に生かさなければならない。」
「予防法を存続させた責任は医学界にも法曹界にもある。メディアも批判を免れない。それぞれが目を光らせ、連携を取って声をあげていくことが大切だ。」
「(政府を野放しにした)自覚と反省を一人一人が胸に刻み国の有り様を変えてゆく。そこまで歩を進めなければ、元患者らが突きつけた問題に本当にこたえたことにはなるまい。」
ハンセン病控訴断念自身はマスコミとして歓迎すべき記事です。政府の間違った政策により不当に苦しめられてきた弱者保護の視点から勧善懲悪のストーリーが描け、多くの読者が強い同情をしめしてくれまます。元患者を美化し支援することは正義なのです。しかし、小泉首相が決断したとなるとこれはやや複雑です。小泉首相は人気絶頂とは言いつつ、ここでは「悪」である政府の一員であり、小泉首相が「善」になると、このストーリーから悪役が消えてしまい、マスコミがかっこよく中立を装いつつ悪を戒める正義のペンになれなくなってしまいます。政府を悪役に仕立ていかにストーリーを作るか、その点に工夫があるのが今日の社説です。
朝日の読売との顕著な違いは、読売は今回の控訴断念でこの問題に政府としては一区切りついたとしていますが、朝日は問題が全て解決していないとしている点です。また、解決の方法も、読売は社会に元患者を広く受け入れるように呼びかけていますが、朝日はあくまで政府が金と施設を与えるべきという論調になっている点です。読者一人一人には元患者の思いやりは求めませんが、悪役政府は長年の罪を償うために金を払えと言う論調は読んでてきもちのいいものです。もちろん、この金の出所が読者の払う税金だ、などと言ってはいけません。そんなことを言うと読者の高揚した偽善の心は急にしぼんでしまうことでしょう。
また、今回特にそのことは関係ないのですが、「はき違えた言動が目について」と政治家を性悪説的に批判する姿勢には好感が持てます。朝日として首相をほめることはできません。かといって今回の英断から首相をはずすことはあまりに不自然です。「首相の今回の対応に政治の変化を実感した人は少なくないのではないか」という記述が今回の首相に対しての朝日のコメントとなっています。これなら、朝日が小泉首相の提灯と見られなくてすみます。
「メディアも批判を免れない」他人事のようにといっていますが、具体的に朝日がどのように責任をとるのか言及していないところがポイントです。言うだけで責任を負わないのはマスコミの特権です。政府は責任を取って金を払うが、自分たちはかっこのいい論説で読者を引きつけ、売り上げ向上のネタにできればいいのです。「自覚と反省を一人一人が胸に刻み国の有り様を変えてゆく」といいながら、具体的にどう変えるのか言及しないでエンディング。かっこよく無意味な言葉は心に残ります。
今日の社説も朝日は心にしみる奥の深いものでした。
これは メッセージ 857 (sagam_2001 さん)への返信です.