「スジ屋」論を比較する
投稿者: popopoakapoppo 投稿日時: 2005/05/19 17:19 投稿番号: [17942 / 28311]
猪瀬直樹メルマガ「MM日本国の研究」
05/05/19
より
「効率と安全 対立しない/尼崎脱線事故」
ああ、またかと思った。JR福知山線の快速電車脱線事故が起きると、効率を追求するあまり安全が軽視されている、という見方が主流になりはじめる。JRと私鉄の乗客争奪戦が惨事をまねいた、と原因を競争のせいにする。
だがよく考えてみよう。スピードアップは技術力の成果だし、快速電車を増発したのも顧客のニーズがあったからだ。旧国鉄時代なら、競合する阪急宝塚線が混み合い通勤苦が発生していても、我関せずでいたに違いない。
効率の追求と安全を対立させる議論は極めて観念的なのだ。効率と安全は、顧客の利益という面でも、現場で働く者にとっても、両立するからである。無駄な在庫を省き整理整頓された工場では事故が少ない。
二つの誤解がある。しばしば取り沙汰されるのがイギリスの国鉄民営化の失敗例だ。90年代半ば、イギリスの国鉄が民営化されると事故が相次いだ。信号や線路など鉄道施設を管理するレイルトラック社と、列車を運行させる25社とに分割された。運行会社が支払う施設利用料は、施設の良し悪しに応じ増減する仕組みではなかった。その結果、レイルトラック社は短期的な収益を優先し、施設への投資をおろそかにし、老朽化しても改良しない。事故の多発は民営化ではなく、民営化の仕組みが間違っていたせいだ。
JRの場合、地域別に分割されたが、運行と施設管理は一体的に行われている。道路4公団も料金徴収と建設、施設管理は民営化された会社が行うのであり、英国鉄道の「上下分離式」とは異なる。
もうひとつの誤解は、過密ダイヤに対してだ。パリであっても、モスクワであっても地下鉄は分刻みでホームに進入してくる。短時間に大量の人員を輸送するのは国鉄であろうと私鉄であろうと、先進国の都市鉄道の宿命である。
事故の背景に過密ダイヤがあるのは事実だが、もう一歩、踏み込んで考察しなければいけない。我われ自身の姿、日本人の長所と欠点が見えて来れば処方箋が見つかる。
職人的なものづくりでは日本が世界一である。大田区の町工場然り。あまり知られていないが、列車のダイヤ編成も完璧すぎるぐらいに精密で他国の追随を許さない。パリやモスクワでは、たしかに分刻みで列車は運行されているが、時刻表通りではない。例えば都内なら渋谷発の路線バスをイメージしてもらおう。来たときに乗ればよい。
日本の鉄道にはスジ屋と呼ばれるダイヤ編成の職人がいる。大田区の町工場がミクロン単位の誤差でさえ把握するように、15秒単位の運行表を作成する。時速270キロで走る新幹線が1分の遅れもなく、10センチも狂わず停車する。外国人は、効率と安全が高度に両立する姿を目の当たりにして驚嘆する。
脱線事故の運転士は伊丹駅で40メートルほどオーバーランし、車掌に口裏合わせを頼んだ。車掌は8メートルほど行き過ぎた、と指令所に無線で報告した。運転士は心理的に追い詰められていた。ホームの所定位置に戻すために生じた90秒のタイムロスを取り返さなければいけない……。格闘していたのは、単に運行表との間に生じたわずかな隙間ではない。職人失格の烙印を押される強迫観念だった。
23歳で職人としては経験不足の未熟な運転士を、なぜ通勤・通学の時間帯に配置したか。責任は、民営化されたのに未だに役所的お座なりの人事管理システムしかつくれなかったJR官僚にある。
(5月5日付読売新聞「論点」)
猪瀬直樹の公式ホームページはこちら。 http://www.inose.gr.jp/
2005年05月19日 紅声チョンP語
http://logloglog.seesaa.net/article/3741024.html
■2005/05/19 (木) 尼崎脱線事故で、今一つ
http://www2.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=119209&log=20050519
「効率と安全 対立しない/尼崎脱線事故」
ああ、またかと思った。JR福知山線の快速電車脱線事故が起きると、効率を追求するあまり安全が軽視されている、という見方が主流になりはじめる。JRと私鉄の乗客争奪戦が惨事をまねいた、と原因を競争のせいにする。
だがよく考えてみよう。スピードアップは技術力の成果だし、快速電車を増発したのも顧客のニーズがあったからだ。旧国鉄時代なら、競合する阪急宝塚線が混み合い通勤苦が発生していても、我関せずでいたに違いない。
効率の追求と安全を対立させる議論は極めて観念的なのだ。効率と安全は、顧客の利益という面でも、現場で働く者にとっても、両立するからである。無駄な在庫を省き整理整頓された工場では事故が少ない。
二つの誤解がある。しばしば取り沙汰されるのがイギリスの国鉄民営化の失敗例だ。90年代半ば、イギリスの国鉄が民営化されると事故が相次いだ。信号や線路など鉄道施設を管理するレイルトラック社と、列車を運行させる25社とに分割された。運行会社が支払う施設利用料は、施設の良し悪しに応じ増減する仕組みではなかった。その結果、レイルトラック社は短期的な収益を優先し、施設への投資をおろそかにし、老朽化しても改良しない。事故の多発は民営化ではなく、民営化の仕組みが間違っていたせいだ。
JRの場合、地域別に分割されたが、運行と施設管理は一体的に行われている。道路4公団も料金徴収と建設、施設管理は民営化された会社が行うのであり、英国鉄道の「上下分離式」とは異なる。
もうひとつの誤解は、過密ダイヤに対してだ。パリであっても、モスクワであっても地下鉄は分刻みでホームに進入してくる。短時間に大量の人員を輸送するのは国鉄であろうと私鉄であろうと、先進国の都市鉄道の宿命である。
事故の背景に過密ダイヤがあるのは事実だが、もう一歩、踏み込んで考察しなければいけない。我われ自身の姿、日本人の長所と欠点が見えて来れば処方箋が見つかる。
職人的なものづくりでは日本が世界一である。大田区の町工場然り。あまり知られていないが、列車のダイヤ編成も完璧すぎるぐらいに精密で他国の追随を許さない。パリやモスクワでは、たしかに分刻みで列車は運行されているが、時刻表通りではない。例えば都内なら渋谷発の路線バスをイメージしてもらおう。来たときに乗ればよい。
日本の鉄道にはスジ屋と呼ばれるダイヤ編成の職人がいる。大田区の町工場がミクロン単位の誤差でさえ把握するように、15秒単位の運行表を作成する。時速270キロで走る新幹線が1分の遅れもなく、10センチも狂わず停車する。外国人は、効率と安全が高度に両立する姿を目の当たりにして驚嘆する。
脱線事故の運転士は伊丹駅で40メートルほどオーバーランし、車掌に口裏合わせを頼んだ。車掌は8メートルほど行き過ぎた、と指令所に無線で報告した。運転士は心理的に追い詰められていた。ホームの所定位置に戻すために生じた90秒のタイムロスを取り返さなければいけない……。格闘していたのは、単に運行表との間に生じたわずかな隙間ではない。職人失格の烙印を押される強迫観念だった。
23歳で職人としては経験不足の未熟な運転士を、なぜ通勤・通学の時間帯に配置したか。責任は、民営化されたのに未だに役所的お座なりの人事管理システムしかつくれなかったJR官僚にある。
(5月5日付読売新聞「論点」)
猪瀬直樹の公式ホームページはこちら。 http://www.inose.gr.jp/
2005年05月19日 紅声チョンP語
http://logloglog.seesaa.net/article/3741024.html
■2005/05/19 (木) 尼崎脱線事故で、今一つ
http://www2.diary.ne.jp/logdisp.cgi?user=119209&log=20050519
これは メッセージ 1 (gesogeso1032 さん)への返信です.