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朝日新聞が輝いていた頃

投稿者: ahosola_h 投稿日時: 2003/08/07 13:18 投稿番号: [11130 / 28311]
天声人語はこんなに読ませるものでした。

それが今は・・・・・

深代惇郎の天声人語   1973年8月19日

▼金大中氏はソウルで「日本の世論が私の命を救ってくれた」と、日本人記者に語っていた。
「国際世論」というのは、あるようでないようで、まことに頼りないが、それが大きな力に
なるときもある。

▼ソ連の作家として、国際的に評価の高いソルジェニーツィン氏は、国内では異端者である。
政府からは「反ソ的」のラク印を押され、ノーベル文学賞を受けながら、その授賞式に
出席できなかった。それでも彼は「検閲制度や政治弾圧」について、激しい政府攻撃を
やめない。もしスターリン時代だったら、とうの昔に粛清されていただろう。

▼当時とくらべれば、ソ連の体質も変わった。しかしこの作家が体制批判をつづけて
いられる最大の理由は、欧米のジャーナリズムが粘り強く、詳細に彼の言動を
報道しているからだ。ソルジェニーツィンの安否は、もはや一作家の問題ではなく、
欧米人の良心に直接結びついている。

▼もう一つの例をあげよう。昨年、ギリシャ政府がアマリア・フレミングという老婦人を
逮捕した。彼女はペニシリンの発見者である英人A・フレミングの未亡人で、ギリシャ国籍の人。
容疑は、軍事独裁に反対して捕まった政治犯の脱獄を助けて、失敗したためだった。

▼ヨーロッパで、夫人釈放の世論はわき上がった。その強さに、政府は刑を科すことが
できず、仕方なく「亡命してほしい」と頼みこみ、やっと英国に立ち去ってもらった。
この二つの事件には、ひとりの人間の自由を執拗(しつよう)に追うジャーナリズムの
良心があり、それを支える大衆の国境を越えたヒューマニズムがあった。

▼金大中事件もまた、日本の主権無視という民族感情の問題だけではない。政治信条と
言論の自由をどれだけ大切なものと考えているか、というわれわれ自身の問題であろう。
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