神谷不二さん、吼える
投稿者: jgeilsbandfreak 投稿日時: 2008/02/20 09:34 投稿番号: [1117 / 2701]
【正論】慶応大学名誉教授・神谷不二
66歳になった金正日氏の今
2008.2.20 03:08
■日米と「独裁」、いぜん不透明な関係
≪ブッシュ政権の失敗≫
このところメディアへの出現度は低下気味だが、北朝鮮の「核」と「拉致」をめぐるワシントン・東京・平壌のトライアングルは、いまどのようになっているのだろうか。
ブッシュ政権の北朝鮮政策は失敗だった。第1期には内外に強硬策を誇示したものの、第2期には一転して融和策に陥り、金正日の思うツボにはまった。かつて公的には「暴君」と呼び、私的には「ピグミー」とまでののしった平壌の独裁者に対して、ブッシュは昨年末「親愛なる委員長殿」と呼びかける親書さえ出した。
「検証可能で、後戻りできない、完全な廃棄」を求めていた核政策が、いつしか「無能力化」という曖昧(あいまい)な線に後退し、それすら「(2007)年内」には達成できなかった。「6カ国協議」をわがもの顔に操って、一時は得意顔だったクリストファー・ヒル(米国務次官補)も、いまでは、遠からぬ辞任の時期を模索中とさえ報じられている。
ブッシュの核攻撃とスクラムを組んで拉致征伐の大なたを振りかざした安倍内閣の対北政策も、竜頭蛇尾に終わった。その強硬姿勢は確かに多くの国民にアピールした。だがそれは、日本人の情緒を捕らえるには十分だったけれど、国際的支持からは遠かった。
私は年来、拉致問題と北方領土問題には重大な共通項があることを指摘してきた。共通項とは、ズバリ、日本の孤立である。北方領土の要求は年とともに色あせている。日本の主張を支持する国は、遺憾ながらほとんどない。同様に、まこと言うにはしのびないものの、日本の拉致強硬策を全面的に支持する国もきわめて少ない。
≪どうなる拉致強硬策≫
国際的に孤立しては、問題解決の現実的可能性が薄い。ことに、核強硬策と拉致強硬策でギリギリ調和を保ってきた日米同盟が、アメリカの融和策によって調和を失えば、日本が拉致強硬策を堅持するのは困難になる。日本の対北路線は大きな関頭に立たされている。
安倍から福田への転換が拉致政策の緩和につながらないという保証はない。
さて、ワシントンと東京の対北政策をこのように分析するとき、そこに見えてくるのは、わがこと成れりとほくそ笑む平壌の独裁者の顔であろうか。
彼はこの16日で満66歳になったが、「6カ国協議」での核論議で一時は孤立に追い込まれていた北が、いまでは、核の「無能力化」や「完全かつ正確な申告」の約束などどこ吹く風の振る舞いである。韓国の大統領選挙で10年続いた「太陽政策」候補が惨敗しても、慌てる様子もない。
このまま推移すれば、非核化の約束を北が守らないままアメリカがテロ支援国家指定の解除に踏み切り、日本は打つ手もなく傍観を余儀なくされるおそれさえなくはない。
以上のように論じはしたが、しかし、私は米日の失敗だけを指摘して悲観論にふけるのではない。
≪「北」の表に出ない弱点≫
北のペースがとかく目立ち、米日が後手後手に回っているかに見えるのは確かだろう。だが深層を探れば、北こそ実は表面に現れている以上に根本的な弱点を抱えていることがわかる。われわれはそれを十分見きわめ、それをいつでも効果的に衝(つ)くことができるよう、不断の準備を整えねばならぬ。その効果はやがて表れるにちがいない。
朝鮮戦争終結(1953年)後20年間、北は経済力でも軍事力でも韓国を上回っていた。朴正煕政権の国家目標は、北に追いつけ、追い越せだった。朴政権はそれを達成した。以後35年間、韓国の対北優位は拡大の一途をたどり、南北の国民1人当たりGDP格差は、今日10対1にまで開いている。
極端な独裁制に固有の脆弱(ぜいじゃく)性も、北の秘められた弱点である。過日の大統領選挙で韓国は、10年続いた左傾偏向を一挙にくつがえし、柔構造社会の民主的回復力を見事に立証した。それに比べて、独立後60年間一貫する北の剛構造体制に、回復の余力はない。一旦亀裂が生じたとき、剛構造社会は柔構造よりはるかに脆(もろ)いのだ。
独裁者はそれをよく心得ている。それを知る彼は、万一の場合を考えて、心静かな安眠の夜とてないかもしれぬ。ジャンパーからマスゲームにいたる独善のスタイルに国際社会が説得された時代は、とうに過ぎ去っている。
最後に指摘すべきは、独裁制は強固になればなるほど崩壊の危機に近づくという事実であろう。ローマの昔以来の数々の独裁制の歴史は、その鉄則を立証している。(かみや ふじ)
>米日の失敗だけを指摘して悲観論にふけるのではない。
「米日」って、この人何者?
2008.2.20 03:08
■日米と「独裁」、いぜん不透明な関係
≪ブッシュ政権の失敗≫
このところメディアへの出現度は低下気味だが、北朝鮮の「核」と「拉致」をめぐるワシントン・東京・平壌のトライアングルは、いまどのようになっているのだろうか。
ブッシュ政権の北朝鮮政策は失敗だった。第1期には内外に強硬策を誇示したものの、第2期には一転して融和策に陥り、金正日の思うツボにはまった。かつて公的には「暴君」と呼び、私的には「ピグミー」とまでののしった平壌の独裁者に対して、ブッシュは昨年末「親愛なる委員長殿」と呼びかける親書さえ出した。
「検証可能で、後戻りできない、完全な廃棄」を求めていた核政策が、いつしか「無能力化」という曖昧(あいまい)な線に後退し、それすら「(2007)年内」には達成できなかった。「6カ国協議」をわがもの顔に操って、一時は得意顔だったクリストファー・ヒル(米国務次官補)も、いまでは、遠からぬ辞任の時期を模索中とさえ報じられている。
ブッシュの核攻撃とスクラムを組んで拉致征伐の大なたを振りかざした安倍内閣の対北政策も、竜頭蛇尾に終わった。その強硬姿勢は確かに多くの国民にアピールした。だがそれは、日本人の情緒を捕らえるには十分だったけれど、国際的支持からは遠かった。
私は年来、拉致問題と北方領土問題には重大な共通項があることを指摘してきた。共通項とは、ズバリ、日本の孤立である。北方領土の要求は年とともに色あせている。日本の主張を支持する国は、遺憾ながらほとんどない。同様に、まこと言うにはしのびないものの、日本の拉致強硬策を全面的に支持する国もきわめて少ない。
≪どうなる拉致強硬策≫
国際的に孤立しては、問題解決の現実的可能性が薄い。ことに、核強硬策と拉致強硬策でギリギリ調和を保ってきた日米同盟が、アメリカの融和策によって調和を失えば、日本が拉致強硬策を堅持するのは困難になる。日本の対北路線は大きな関頭に立たされている。
安倍から福田への転換が拉致政策の緩和につながらないという保証はない。
さて、ワシントンと東京の対北政策をこのように分析するとき、そこに見えてくるのは、わがこと成れりとほくそ笑む平壌の独裁者の顔であろうか。
彼はこの16日で満66歳になったが、「6カ国協議」での核論議で一時は孤立に追い込まれていた北が、いまでは、核の「無能力化」や「完全かつ正確な申告」の約束などどこ吹く風の振る舞いである。韓国の大統領選挙で10年続いた「太陽政策」候補が惨敗しても、慌てる様子もない。
このまま推移すれば、非核化の約束を北が守らないままアメリカがテロ支援国家指定の解除に踏み切り、日本は打つ手もなく傍観を余儀なくされるおそれさえなくはない。
以上のように論じはしたが、しかし、私は米日の失敗だけを指摘して悲観論にふけるのではない。
≪「北」の表に出ない弱点≫
北のペースがとかく目立ち、米日が後手後手に回っているかに見えるのは確かだろう。だが深層を探れば、北こそ実は表面に現れている以上に根本的な弱点を抱えていることがわかる。われわれはそれを十分見きわめ、それをいつでも効果的に衝(つ)くことができるよう、不断の準備を整えねばならぬ。その効果はやがて表れるにちがいない。
朝鮮戦争終結(1953年)後20年間、北は経済力でも軍事力でも韓国を上回っていた。朴正煕政権の国家目標は、北に追いつけ、追い越せだった。朴政権はそれを達成した。以後35年間、韓国の対北優位は拡大の一途をたどり、南北の国民1人当たりGDP格差は、今日10対1にまで開いている。
極端な独裁制に固有の脆弱(ぜいじゃく)性も、北の秘められた弱点である。過日の大統領選挙で韓国は、10年続いた左傾偏向を一挙にくつがえし、柔構造社会の民主的回復力を見事に立証した。それに比べて、独立後60年間一貫する北の剛構造体制に、回復の余力はない。一旦亀裂が生じたとき、剛構造社会は柔構造よりはるかに脆(もろ)いのだ。
独裁者はそれをよく心得ている。それを知る彼は、万一の場合を考えて、心静かな安眠の夜とてないかもしれぬ。ジャンパーからマスゲームにいたる独善のスタイルに国際社会が説得された時代は、とうに過ぎ去っている。
最後に指摘すべきは、独裁制は強固になればなるほど崩壊の危機に近づくという事実であろう。ローマの昔以来の数々の独裁制の歴史は、その鉄則を立証している。(かみや ふじ)
>米日の失敗だけを指摘して悲観論にふけるのではない。
「米日」って、この人何者?
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