イタイ人発見
投稿者: jgeilsbandfreek 投稿日時: 2007/11/16 07:18 投稿番号: [39411 / 43168]
きれいの先にあるもの:世界で一番美しい女=光野桃
「今人気のある女優さんというのは」
と若い編集者の女性が言う。
「努力のあとが見える人なんですよね」
「ええ、そうなの? 少し前まで、努力って格好悪いことじゃなかったっけ。努力しているとイタイとか言われたりしたんじゃなかったかしら……」
「そうなんです。それが、変わってきたんです。やっぱり自分を磨いているひとに、共感が集まっているんですよね」
「たとえば?」
「藤原紀香さんとか倖田來未さんとか、君島十和子さんとか」
なるほど、と思う。藤原紀香さんは、ファッションショーでランウェイを挟んで真向かいに座ったことがあったが、そのあまりにつややかで完璧(かんぺき)ともいえる美しさに釘(くぎ)付けになり、モデルの姿がまったく目に入らなかった。
倖田來未さんは明るく努力して自分を律している感じがするし、そのたおやかな風貌(ふうぼう)とはまた違って君島十和子さんは「男前」の精神をもっていることが発言などに感じられ、これも格好いいと思う。
彼女たちが支持されるのはとてもうなずける。実際には表に見えているところの何倍も努力しているのだろうし、彼女たちの「努力している姿」そのものが突出した格好良さやさわやかさでひとの心を掴(つか)むのだろう。
「ミツノさんは、そう思わないですか?」
編集者の彼女はすべすべした頬(ほお)を少しだけ膨らまして言う。
「そうねえ。わたしが美しいと思う女性像は、すこし違うの」
「どういう女性像ですか」
勢い込んで彼女は訊(き)く。
私が世界で一番美しいと思う女性は、女優でもなければ歌手でもセレブでもない。この世に存在していない女。その名は「ハンニャ・ハラミータ女神」。ジャカルタの国立博物館にある仏像である。
過去には日本にもやって来たこともあるが、残念ながら実物を見たことはない。しかし図録などにあるこの女神の美しいお顔に、完全に虜(とりこ)になってしまったのだ。サイトでも「Prajana Paramita」と打ち込んでみると、いくつかの画像を見ることができる。
14世紀の東ジャワのものとされるこの仏像の名前、「ハンニャ・ハラミータ」は、根源的な英知という意味だそうだ。つまり、英知そのものを体現している女神様なのである。結跏趺坐(けっかふざ)をして、しなやかな指先で印を結び、目は半眼に、額には松ぼっくり型の第三の目がしっかりと形作られている。
そのお顔の静けさ、奥深さ、優雅さ、崇高さ、優しさ、穏やかさ、そして知的さ。なにより惹(ひ)きつけられるのは「顕示的」な要素が一切ない、ということだ。そんな美しさがとても新鮮かつ鮮烈な印象なのだった。
もう「見て見て、私を見て」という気持ちではいたくない。かつて心の美しさを謳(うた)った国民性はすっかり逆転して、いまは外見の美しさこそが人生を勝利に導くと誰もが信じて疑わない。しかし時代はそろそろ、次の成熟の時に差し掛かりつつあるような気もするのである。内面から立ち上る美の時代が……。(作家)
毎日新聞 2007年11月15日 東京朝刊
>「藤原紀香さんとか倖田來未さんとか、君島十和子さんとか」
君島十和子なんて一般には過去の人というか無名人だど。
あとも・・・・
「今人気のある女優さんというのは」
と若い編集者の女性が言う。
「努力のあとが見える人なんですよね」
「ええ、そうなの? 少し前まで、努力って格好悪いことじゃなかったっけ。努力しているとイタイとか言われたりしたんじゃなかったかしら……」
「そうなんです。それが、変わってきたんです。やっぱり自分を磨いているひとに、共感が集まっているんですよね」
「たとえば?」
「藤原紀香さんとか倖田來未さんとか、君島十和子さんとか」
なるほど、と思う。藤原紀香さんは、ファッションショーでランウェイを挟んで真向かいに座ったことがあったが、そのあまりにつややかで完璧(かんぺき)ともいえる美しさに釘(くぎ)付けになり、モデルの姿がまったく目に入らなかった。
倖田來未さんは明るく努力して自分を律している感じがするし、そのたおやかな風貌(ふうぼう)とはまた違って君島十和子さんは「男前」の精神をもっていることが発言などに感じられ、これも格好いいと思う。
彼女たちが支持されるのはとてもうなずける。実際には表に見えているところの何倍も努力しているのだろうし、彼女たちの「努力している姿」そのものが突出した格好良さやさわやかさでひとの心を掴(つか)むのだろう。
「ミツノさんは、そう思わないですか?」
編集者の彼女はすべすべした頬(ほお)を少しだけ膨らまして言う。
「そうねえ。わたしが美しいと思う女性像は、すこし違うの」
「どういう女性像ですか」
勢い込んで彼女は訊(き)く。
私が世界で一番美しいと思う女性は、女優でもなければ歌手でもセレブでもない。この世に存在していない女。その名は「ハンニャ・ハラミータ女神」。ジャカルタの国立博物館にある仏像である。
過去には日本にもやって来たこともあるが、残念ながら実物を見たことはない。しかし図録などにあるこの女神の美しいお顔に、完全に虜(とりこ)になってしまったのだ。サイトでも「Prajana Paramita」と打ち込んでみると、いくつかの画像を見ることができる。
14世紀の東ジャワのものとされるこの仏像の名前、「ハンニャ・ハラミータ」は、根源的な英知という意味だそうだ。つまり、英知そのものを体現している女神様なのである。結跏趺坐(けっかふざ)をして、しなやかな指先で印を結び、目は半眼に、額には松ぼっくり型の第三の目がしっかりと形作られている。
そのお顔の静けさ、奥深さ、優雅さ、崇高さ、優しさ、穏やかさ、そして知的さ。なにより惹(ひ)きつけられるのは「顕示的」な要素が一切ない、ということだ。そんな美しさがとても新鮮かつ鮮烈な印象なのだった。
もう「見て見て、私を見て」という気持ちではいたくない。かつて心の美しさを謳(うた)った国民性はすっかり逆転して、いまは外見の美しさこそが人生を勝利に導くと誰もが信じて疑わない。しかし時代はそろそろ、次の成熟の時に差し掛かりつつあるような気もするのである。内面から立ち上る美の時代が……。(作家)
毎日新聞 2007年11月15日 東京朝刊
>「藤原紀香さんとか倖田來未さんとか、君島十和子さんとか」
君島十和子なんて一般には過去の人というか無名人だど。
あとも・・・・
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