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慰安婦と戦場の性:続き

投稿者: honto_gou 投稿日時: 2005/01/18 21:16 投稿番号: [2080 / 7270]
  慰安婦問題における朝日の独走態勢は、その後もつづくが、追随した各新聞のなかで、朝日を上まわる過激さを見せたのは英字新聞のジャパン・タイムズであった。

  たとえば一月十一日の夜、全国放送のテレビ番組に出演した渡辺美智雄外相は「五十年以上前の話で、はっきりした証拠はないが、何らかの関与があったということは認めざるを得ないと思う」一十二日付朝日一と語った。

  ところがジャパン・タイムズ紙は、この外相発言を紹介したのち「この発言は、政府の責任者が日本軍によって第二次大戦中に何十万人(hundreds of thousands)ものアジア人〈慰安婦〉に対する強制売春(forced prostitution)に加担したことを、初めて認めたもの」(十三日付、傍線は秦)と悪質な解説文を付け加えた。

  外相が言及せず朝日さえ認めていない「何十万人」とか「強制売春」を、さりげなく足したわけだが②、その後は各種のメディアが競合する形で、この方向へ報道と論調をエスカレートさせていく。

  一方、後手にまわって失点を重ねる政府の不手際も、やはりこの時から始まった。不意打ちを食った形であわてふためく当時の政府幹部には、戦場体験者がほとんどいなかった。日米開戦の年に大学を卒業して大蔵省に就職した宮沢喜一首相も、この世代には珍らしく従軍体験がなかった(3)。慰安婦や慰安所についての基本感覚が欠けていたので、反論はおろか、見当もつかぬまま日韓呼応しての奇襲攻勢に屈してしまったと言えそうだ。

  宮沢首相は早々と十四日の記者会見で「軍の関与を認め、おわびしたい」と述べ、十六日に「抗議のデモ相次ぐ」(十六日付毎日新聞)ソウルヘ向ったが、滞在中も、天皇の人形が焼かれたり、名のり出た元慰安婦が坐りこむなど、反日デモが荒れ狂った。

  挺身隊と慰安婦をとりちがえて「小学生まで慰安婦に・・・」と報道する新聞の熱気に押されたか、韓国教育省が全国二千の小学校に学籍簿の調査を指示する険悪な空気のなかで、宮沢首相は日韓首脳会談や韓国国会での演説で「謝罪」をくり返し、「真相究明」を約東して帰国する。

  毎日新聞ソウル支局の下川特派員は、のちに現場の空気を回想して、次のようにレポートした。④

  宮沢前首相が青瓦台(大統領官邸)の記者会見場で、卑屈な表情を浮かべている姿が記憶に生々しい・・・一時間二十五分の首脳会談で、宮沢首相は八回も謝罪と反省を繰り返した・・・。韓国の大統領首席補佐官は、韓国人記者たちに謝罪の回数まで披露した。こんな国際的に非礼な記者発表は見たことがない。

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①   朝日新聞の辰濃哲郎記者が、吉見から情報を入手したのは十二月二十四日頃なので、発表まで二週間以上も寝かされていたものと推定される。
②   ジャパン・タイムズの偏向姿勢は、外国新聞の東京支局を通じて流れ、この問題の海外における初期イメージを定着させたようである(『諸君!』一九九二年八月号の佐瀬昌盛稿参照)。
③   一九四一年十二月に卒業し、翌年一月に大蔵省へ採用された高文官僚は二十七人だが、多くは軍務につき、戦時中を大蔵省勤務で終始した人は宮沢をふくめ五人しかいない。
④   毎日新聞の下川正晴による「記者の目 ── 日韓関係」(一九九三年九月九日付)
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