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韓流にそむく鬼才が描く

投稿者: ryuhei_sprite 投稿日時: 2006/10/02 18:30 投稿番号: [1094 / 2503]
韓流にそむく鬼才が描く…詩的な純愛映画「弓」

韓国の映画監督、キム・ギドク(46)の名を聞いてピンと来る方は相当な通だ。鬼才と評するファンも少なくない。どんな人物なのか。

  これまでの作品を振り返ると、「魚と寝る女」(99)では、孤独な男女の関係をサディスティックな性描写で見せ、「悪い男」(02)では、相手を痛めつけることでしか愛情を表現できない歪んだ愛のカタチが、観客の度肝を抜いた。

  批評家から“猟奇的”“サイコ”との批判にもさらされてきた。

  ベルリン国際映画祭銀熊賞(04)など欧州では評価を得ているものの、韓国ではいまだ評判が芳しくない。

  本人が心境を語る。

  「私の映画というのは多くの人から拍手をもらえる作品ではない。韓国では、私のことを嫌っている監督もいるし、私の作品の批評を書くのを恐れる批評家も少なくない。それはたぶん私の映画を理解できないから」

  さらに、ギドクが高校卒業後、自己流で撮影術を体得してきたことを学歴偏重の韓国映画界は認めたがらない。テーマも儒教の国にそぐわない。

  「韓国で最高とされる映画の基準は、とにかくトップスターが出ていて、多くのお金を稼ぎ出す作品。でも、先日、日本でビデオショップに行ったら、私の作品が5本置いてあった。私の作品を見てくださる日本の観客がいるということはとてもうれしい」

  こう語る鬼才が贈る最新作「弓」は、船の上を舞台に描かれる。

  60歳の男と16歳の少女は、ふたりっきりで暮らしている。そこに、ひとりの若い釣り人が現れ、年老いた男との生活に何の疑問も抱いていなかった少女が、次第に若い男に興味を持ち始める…。

  「この映画を見て、世の中というのは非常に神秘的で美しいものだということを感じてほしい。こんなことが現実にあるとか、ないとか、どっちが善でどっちが悪なのかとか、そういう見方をしてほしくない」

  セリフはほとんどない。微妙な気持ちの揺れは表情で物語る。少女役を演じるハン・ヨルムは決して有名女優ではないが、みずみずしい美しさが印象に残る。

  「これまでの作品で多かった暴力的な表現はやわらぎ、詩的な世界観に仕上がっている。閉ざされた世界に暮らす老人と少女のありえない関係を、最後には、これもひとつの“純愛”かと思えるほどに昇華させている。さすがギドク」と映画ライターの折田千鶴子さんも納得の出来だ。

  東京・渋谷のBunkamuraル・シネマ、大阪・テアトル梅田で公開中。
(夕刊フジ) - 10月2日17時0分更新
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