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京劇と日舞のコラボ

投稿者: aki_kaze_u_ru_ru 投稿日時: 2010/05/27 12:20 投稿番号: [2239 / 3699]
中国でやっつけられる日本〜鈍感な日本人観客
【コラム】 2010/05/26(水) 14:48

MAO的コラム   中国語から考える   第103回−相原茂

   京劇と日舞のコラボレーションと銘打って、「西遊記」の中から「三蔵絶体絶命」という演目の公演があった。ベースはもちろん京劇である。

   天竺への旅を続ける三蔵法師一行に妖怪が襲いかかるというよくある話だ。これを日中が協力して、配役もさることながら、日舞のスタイルを取り入れて舞台に乗せた。知り合いの誰彼も出演するし、友人も見に行くからと誘われて出かけることにした。しかも無料である。

   三蔵法師一行は、三蔵法師の他に、孫悟空、猪八戒、沙悟浄の3人が知られているが、実はもう1人いる。孫悟空の後に三蔵法師のお供となった「白龍馬」で、この馬、前身は西海龍王の太子であったが、天帝の宝物を燃やしてしまったとかいう罪で地上に落とされた。この白龍がまだ龍の身でいるときに、自分のテリトリーにやってきた三蔵を食おうとし、それを孫悟空が成敗するという一節がある。

   この妖怪「白龍」役を日本舞踊のほうで担当した。妖怪を歌舞伎の衣装のようなものを着た日本人が演じた。歌舞伎の早変化などをとりいれ、なかなか面白い見せ場も多いのだが、最後は孫悟空にやっつけられるという役どころだ。つまり日本が中国に成敗されるとも見ることができるわけだ。さらに、心を入れ替えたこの妖怪、白馬になって、三蔵一行に奉仕するのである。

   観客はすなおに「京劇と日舞」のコラボを楽しんでいるのだが、私は思った。中国でこの逆の配役が演じられたらどうだろう。つまり妖怪を中国風にして、三蔵法師一行を日本風にやるのである。おそらく上演は無理であろう。中国的妖怪が日本的三蔵一行にやっつけられるという構図は、普通の庶民が見ても、反発が起きるだろう。そのぐらいの政治的感覚は働く。少しでも政治的な地位のある人なら即ダメ出しをするだろう。

   しかし、日本はこういう感性がきわめてにぶい。みんな平気で見ている。

   帰り道、一緒に行った女性たちにわたしの感覚を話すと、そんなことは少しも気にならなかったという。「言われてみれば、そうもとれるけどねえ」

   冷静に考えてみると、孫悟空や三蔵法師を日舞でやるというのもおかしいだろうから、妖怪の方を歌舞伎的演出で見せる、というのは仕方がないだろう。それに孫悟空には日本人の石山雄太さんが扮していた。ただ、彼は完全に京劇風だから、日本対中国という図式では中国と見なされてしまう。

   ではどうすればよかったのか、わたしに良案があるわけではない。妖怪対孫悟空だから、壮絶な戦いの末、妖怪がやっつけられるというのはやむを得ない。見事に散る、というのは良い。しかし、その後で「馬」となって三蔵を乗せて貢献するというところはいただけない。これでは日本が「犬馬の労」をとるということではないか。

   私の感覚では「犬馬の労」は勘弁して欲しい、というものだ。まあ、ちょっと大人げないかもしれないが、言いたいことは、日本人はこういう感覚にちょっと疎いのでは、ということだ。

   この催しは中国は北京でも上演されたという。日本人は、こういうのに抵抗がないのか、何とのんびりした、与しやすい民族だ、ぐらいには思われるだろうなあ。
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