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執筆姿勢が見事な田中明の韓国論

投稿者: honkytonk_2002_x 投稿日時: 2004/11/22 15:18 投稿番号: [15877 / 49973]
執筆姿勢が見事な田中明の韓国論

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韓国ものを本格的に読み始めた頃、本書に出合った私は「こういう人がいたのか」と驚いた。拓殖大教授の韓国研究者・田中明氏の『韓国の民族意識と伝統』がそれである。

  特に冒頭の文章「『いい日本人』に化けたくない」は熟読玩味されてよい。「べらべらと心地よく朝鮮に対する贖罪の言葉を連ね」、「日帝36年に対する反省」を語る日本人が多いが、自分は「いい日本人」に化けたりしないとの姿勢を述べている。そんなことは、「良心的怠惰」を生むだけで、何ももたらさないという。朝鮮半島をめぐる言論は奇妙な状況が長く続いているが、立派な姿勢を貫く人もいたのだ。

  言論がデリケートになりやすいのは、国際的な「情報宣伝戦」がからんでいるためだ。日本を舞台に、韓国・北朝鮮だけでなく、在日朝鮮・韓国人がからみ、しかも韓国系は体制派・反体制派に分かれ、三つ巴ならぬ五つ巴の宣伝戦になっている。これではどこかに身を寄せ、「いい日本人」になりたがる輩が多いのも当然だろう。

  だが、小中学生時代を「入植者(コロン)の息子」としてソウルですごし、「韓国について何かを書くとき」は、知人の面差しを「常に念頭に浮かべて書いてきた」著者は、そういう連中とはまったく異なる。

  へつらいがないだけではない。居直りとも無縁で、淡々と書くだけだ。「お前も堕落したな」といわれるようなものだけは書くまいというのが、「突っかい棒」だったという。

  こういう人の書く朝鮮・韓国論、在日論、教科書問題論が面白くないはずはない。例えば1981年の文章にはこうある。「70年代に入って在日朝鮮人はしきりと韓国の民主化を叫んだ」が、なぜ「在日朝鮮人社会の民主化」という「身近な問題」を避けるのか、と疑問を呈する。四半世紀を経ていよいよ輝きを増す文章の一例だ。

  原本は1984年に出た単行本で、最初、『韓国の「民族」と「反日」』と改題されて朝日文庫に入り、昨年、表題の下、岩波現代文庫で復刊された。両出版社のイメージとは異なる書物といってよいだろうが、まだまだ気骨のある編集者がいるということなのか。

http://www.kyoto-keizai.co.jp/search/view.phtml?report_no=925
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