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トピずれ四日付の産経新聞コラム「正論」

投稿者: guiseinoyuu 投稿日時: 2004/11/05 01:58 投稿番号: [1157 / 15709]
中国古代史ファンのわたしの憤りも含めて。

余りに相手知らぬ対中外交の危うさ
              譲歩も弱みと見る交渉に無防備

やり切れぬ倫理の浅薄さ
靖国神社の御祭神の中、東京裁判のA級被告だつた昭和殉難者の霊璽を取下げて
他へ移せとの暴論が一部の政界の元老から出されてゐた。
その謬妄を厳しく批判し、どうやら沈黙せしめ得たと思つてゐた所、最近同様
の要請が我国の財界とそれを代弁する一部のジャーナリズムから又しても提出
されてゐるのを見、その発想と倫理の浅薄に何ともやりきれない思ひである。
取下げ論のみならず小泉首相の靖国神社参拝に対して加へてくる中共政府の
内政干渉に対し、講義するどころか此に相呼応して総理の信条に非難を向ける
新聞さへゐるのだから、この国の精神状態はいったいどうなつてゐるのだろう。
中共政府の干渉を我々がどの様に受止め、対処すべきかについて、十月十四日付
の本欄で加地伸行氏が「靖国カードは中国の打ち出の小槌」と題して正に正論を
述べてをられる。
加地氏と同じく、筆者も実にうんざりする思ひで、既に何度も書いたことを茲に
反復する。
〈彼を知り己を知らば百戦して殆からず〉は余りにも有名な『孫子』謀攻篇の
一章だが、実はこの章は、この命題の裏である〈彼を知らず己を知らざれば戦ふ
毎に必ず殆し〉なる一句で結ばれてゐる。
日本の対中外交が今陥つてゐる状況は正にこれである。話は「戦ひ」ではないと
いふかもしれないが、所詮知恵と力の競ひ合ひである外交交渉には、実践よりも
更によくこの訓戒があてはまる。

洋の東西問わぬ実態認識
現今の日本人は国際交渉の場に立つて、己に本来どれほどの力があるのか、又
その力をどの様に活用すべきであるのかを知らなさすぎる。その具体的詳細は
この紙面では到底意を尽くせないので省略に従ひ、今は〈彼を知らざる〉危険
について一言しておく。
今日の論壇に、日中関係における所謂「政冷経熱」の膠着をどう打開するかに
ついて(筆者自身は当方から打開をはかる必要なしと断言するものであるが)、
お互ひが半歩譲る必要がある、日本が靖国問題で半歩譲歩すれば、相手も現在の
険悪な反日・侮日行動を緩めるだらう、と論ずる気楽な意見がある。迷妄の
最たるものである。無知愚昧は普通道徳的欠陥とはみなさないが、それでも度を
越せば、しかも公に発言権を持つ立場でそんな風であれば、世を謬る点に於いて
犯罪的である。
今我々が当面してゐる相手は、此方が半歩譲れば、すかさずそれに乗じて二歩も
三歩も踏み込んでくる、毫も「交譲の精神」無き手合いなのだ。
〈悪魔に毛を三本渡すと魂まで攫って行かれる〉といふ古い西洋の諺も既に何度
か引用した記憶があるが、その通り、一寸でも譲歩の気配を見せたならば、その
時が交渉での敗北が決定する時点である。

利こそが最大の行動尺度
煮ても焼いても食へない、恐るべき彼国人の実態を認識するために有用な文献は、
現在我々の周囲に十分豊かに提供されてあるのだが、たださうした「彼を知る」
ための良書の著者の多くが筆者の知友であるために、それらの名を挙げて江湖に
薦める事が党派的言辞の如くに解されると不本意である。そこで敢へてそれを
避け、謂はば第三者の立場から書かれ、最近翻訳刊行された一書を挙げておく。
それはラルフ・タウンゼント原著『暗黒大陸・中国の真実』(原題は正しくは
「暗黒の道・支那をめぐる真実」)である。著者は昭和六年から八年にかけ上海
と福州で副領事として過し、アメリカに帰国して直ぐに本書を著してゐる。
ジョン・マクマリーの『平和は如何に失われたか・大戦前の米中日関係』は筆者
にとつて極東現代史についての啓示の書であつたが、このメモが書かれたのは
昭和十年で、タウンゼントのそれと近い時期の観察の所産であるが、両者は互い
に相識る仲ではなかつたらしい。だが両者の考察の結論が、当時の支那大陸の
現状を総合的に判断して、民主党政権の親中反日路線は誤りである、との真剣な
警告となつてゐる所、今日なほ日米両国の知識人が熟読玩味するべき洞察である。
具体的な細部でも、例へば、中国人は相手が少しでも下手に出ると忽ちつけ上が
つて傲慢になる、相手が譲歩の姿勢を見せれば、それは弱みがあるせゐだとて
冷笑するだけである―といつたあたりは実に符節を合せた如き共通体験の叙述で
ある。終りに、タウンゼントが、中国人の行動尺度には義もなければ理もない、
彼等を動かしてゐるのは唯「利」だけである、と深刻なる軽蔑をこめて記して
ゐる、その姿に現在の我国の媚中派財界人は極めて似てきてゐるのではないで
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