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ドキュメント「風刺画事件を追って」

投稿者: fyojizzzz 投稿日時: 2007/12/25 13:30 投稿番号: [3009 / 3876]
NHK BSで放送していたドキュメンタリー「風刺画事件を追って」(原題は"
Bloody Cartoons")を見ました。

もう2年近く前になりますね。デンマークの新聞ユランスポステンが預言者ムハンマドを風刺する画数枚を掲載したことから、イスラム諸国からの怒りと抗議を巻き起こし、欧州との間で「表現の自由 vs 宗教の尊厳」論争を引き起こした、あの事件です。

「なぜムスリムは怒ったのか?」、怒りの本当の理由を知りたい、との思いからデンマーク人の監督は、事件の当事者たちを探し当てて、本人たちのナマの声を聞き、問題の深層に迫ろうと試みている、非常に興味深いドキュメントとなっていました。

取材対象は、風刺画を描いた画家、それを依頼し、新聞に掲載した編集者、最初に抗議の声をあげたムスリムやデンマークのイスラム組織、イスラム諸国会議でこの問題をとりあげ、問題の国際化を招いたトルコの役人、カタールの宗教指導者などなど多岐に渡っているのですが、イランに関する部分も興味深いものでした。

番組のナレーションによれば、(イスラム諸国のなかでは)「一番最後に、しかし最も激しい抗議行動が起こったイラン。」(デンマーク大使館焼き討ち)

テヘランにある宗教グッズの店では、以前は預言者ムハンマドの肖像画が何種類も売られていたそうだが、監督が店を訪れた時には1枚だけ、ポスターが残されていました。もっとも今ではスンニー派に配慮して、ムハンマドの絵の販売は禁止されているとのことですが。

イランの反デンマーク・デモを指導した人物を探っていくと、アリ・バクシというカラジに住む老人に行き当たった。彼は民兵組織バシージのメンバーで、デモ活動のプロという。迷彩服に身を包んだバクシ氏ははじめは、こわおもてで、いかにもという雰囲気であったが、話していくうちに、彼自身、兄弟と2人の息子を対イラク戦争中に亡くしており、自らの信念を打ち明ける率直な人物として共感さえ感じられるようになる。

ところで、バクシ氏は問題になったムハンマドの風刺画を見たことがないという。監督がターバンに爆弾を隠し持ったような風刺画を見せると、驚いた表情で「これがムハンマドとは思えない、まるでインドのシーク教徒のようだ」とつぶやいたりする。

一見、頑固だが、善良で敬虔なムスリムのバクシ氏。彼のような「普通の」市民がバシージという組織を率いて、非寛容な「反イスラム」の弾圧に手を貸す。そこが怖いところだろうか。

それはともかく、周知のように、イランではある新聞社が、対抗措置として、ホロコーストの風刺画コンテストを主催した。これに呼応する形で、デンマークのユランスポステン紙編集者も、ホロコースト画像の同時掲載を企画したそうだ。欧州ではタブーはない、表現の自由が絶対だとしょうめいするために。しかし、新聞社に世界中から抗議が殺到し、結局かの編集者は辞任に追い込まれていまった、とか。

ドキュメントの方は、表現の自由と宗教の尊厳、どちらが正しいのか結論を出せぬままに終わるが、ヨーロッパでは過度なイスラム批判を自粛する動きが広がったそうだ。

最後の言葉。表現の自由は大切だ。だが限界もある。
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