記者の目
投稿者: r13812 投稿日時: 2010/09/05 19:49 投稿番号: [47347 / 62227]
記者の目@紀州:追い込み網漁
実情見て議論を
/和歌山
http://mainichi.jp/area/wakayama/news/20100905ddlk30040193000c.html
◇伝統と誇り受け継ぐ太地の鯨漁師
400年続く古式捕鯨発祥の地・太地町で1日、鯨類追い込み網漁が解禁された。今年の米アカデミー賞を受賞した米ドキュメンタリー映画「ザ・コーヴ」の舞台として、これまで以上に注目された今年の漁。昨年まで同町漁協は初漁日しか取材を認めていなかったが、それ以外でもケース・バイ・ケースで受け入れることを、初めて決めた。私は漁の本当の姿を知りたいと、同町を訪れた。【藤顕一郎】
追い込み漁に携わるのは太地いさな組合(23人)。9〜4月の漁期は、10隻前後で午前5時過ぎに出港し、熊野灘から同町の畠尻湾にバンドウイルカなどを追い込む。
「うちには子どもを抱えた20〜30代の若い漁師もいる。彼らを養うためには、漁をやめるわけにはいかん」。脊古(せこ)博文組合長(59)は、赤く焼けた顔をなでながら淡々と話す。代々続く鯨漁師の家に生まれ、10代から船に乗った。3年前からは、長男(25)も漁に加わった。漁師たちは海を離れても共に食事をとる機会が多く、互いの家族の成長も見守ってきた。「伝統の灯を自分の代で消せない」。脊古組合長は語気を強める。
映画では、銛(もり)で突かれたイルカが流した血で海面が赤く染まる様子、海外の記者が漁協関係者に胸ぐらをつかまれる場面、漁を隠し撮りした映像などを交え、漁や漁師らを批判的に描いている。そして同町を「大きな秘密を隠す小さな町」と伝える。
映画に対し、同町は「反捕鯨をビジネスにしている。漁は法に基づく正当なものだ」と訴え、当初は関係者に箝口(かんこう)令を敷いた。同町漁協の杉森宮人参事は「食べていくために生業(なりわい)として鯨を追っている。無用な混乱や負担をかけたくなかった」と説明する。
同町漁協によると、鯨漁の売上高は年7000万〜8000万円で、漁協全体の収益の3割を占める。水族館や博物館などに販売するための生け捕りができる追い込み漁は比較的安定している。
だが、町民約3500人のうち、加工業者などを含めても鯨類にかかわる人口は1割にも満たず、食べる人も減ってきた。「鯨は一部の人間のもの」との意見も出る。しかし、杉森参事は「捕獲数が制限されて消費も減った。漁師の存在感は薄れているかもしれないが、町の産業を長年支えてきた」と反論する。
自分たちの仕事が、突然批判の対象となる−−。漁師たちの怒りやいらだちは当然のように感じる。「漁期の今、頭の中は鯨のことでいっぱい。話をしても漁師にしか分からん」と、外部への不信感をのぞかせる漁師もいた。
今回、私の滞在は4日間。つぶさに取材できたわけではないが、海面を赤く染めるような漁は、少なくとも今はしていない。漁協が取材への協力姿勢を見せたことで、漁の姿は徐々に伝えられていくだろう。議論は、イメージより事実を基にすべきだ。
「初漁日は緊張する。うまく群れを探せるかどうか」。漁の初日、空が少し白み始めたころ、漁港で缶コーヒーをすすりながら若い漁師がつぶやいた。伝統の灯を守り、誇りをもって仕事を続ける漁師たち。漁を取り巻く人と歴史、文化や産業をもっと深く理解したいと思った。
毎日新聞 2010年9月5日 地方版
http://mainichi.jp/area/wakayama/news/20100905ddlk30040193000c.html
◇伝統と誇り受け継ぐ太地の鯨漁師
400年続く古式捕鯨発祥の地・太地町で1日、鯨類追い込み網漁が解禁された。今年の米アカデミー賞を受賞した米ドキュメンタリー映画「ザ・コーヴ」の舞台として、これまで以上に注目された今年の漁。昨年まで同町漁協は初漁日しか取材を認めていなかったが、それ以外でもケース・バイ・ケースで受け入れることを、初めて決めた。私は漁の本当の姿を知りたいと、同町を訪れた。【藤顕一郎】
追い込み漁に携わるのは太地いさな組合(23人)。9〜4月の漁期は、10隻前後で午前5時過ぎに出港し、熊野灘から同町の畠尻湾にバンドウイルカなどを追い込む。
「うちには子どもを抱えた20〜30代の若い漁師もいる。彼らを養うためには、漁をやめるわけにはいかん」。脊古(せこ)博文組合長(59)は、赤く焼けた顔をなでながら淡々と話す。代々続く鯨漁師の家に生まれ、10代から船に乗った。3年前からは、長男(25)も漁に加わった。漁師たちは海を離れても共に食事をとる機会が多く、互いの家族の成長も見守ってきた。「伝統の灯を自分の代で消せない」。脊古組合長は語気を強める。
映画では、銛(もり)で突かれたイルカが流した血で海面が赤く染まる様子、海外の記者が漁協関係者に胸ぐらをつかまれる場面、漁を隠し撮りした映像などを交え、漁や漁師らを批判的に描いている。そして同町を「大きな秘密を隠す小さな町」と伝える。
映画に対し、同町は「反捕鯨をビジネスにしている。漁は法に基づく正当なものだ」と訴え、当初は関係者に箝口(かんこう)令を敷いた。同町漁協の杉森宮人参事は「食べていくために生業(なりわい)として鯨を追っている。無用な混乱や負担をかけたくなかった」と説明する。
同町漁協によると、鯨漁の売上高は年7000万〜8000万円で、漁協全体の収益の3割を占める。水族館や博物館などに販売するための生け捕りができる追い込み漁は比較的安定している。
だが、町民約3500人のうち、加工業者などを含めても鯨類にかかわる人口は1割にも満たず、食べる人も減ってきた。「鯨は一部の人間のもの」との意見も出る。しかし、杉森参事は「捕獲数が制限されて消費も減った。漁師の存在感は薄れているかもしれないが、町の産業を長年支えてきた」と反論する。
自分たちの仕事が、突然批判の対象となる−−。漁師たちの怒りやいらだちは当然のように感じる。「漁期の今、頭の中は鯨のことでいっぱい。話をしても漁師にしか分からん」と、外部への不信感をのぞかせる漁師もいた。
今回、私の滞在は4日間。つぶさに取材できたわけではないが、海面を赤く染めるような漁は、少なくとも今はしていない。漁協が取材への協力姿勢を見せたことで、漁の姿は徐々に伝えられていくだろう。議論は、イメージより事実を基にすべきだ。
「初漁日は緊張する。うまく群れを探せるかどうか」。漁の初日、空が少し白み始めたころ、漁港で缶コーヒーをすすりながら若い漁師がつぶやいた。伝統の灯を守り、誇りをもって仕事を続ける漁師たち。漁を取り巻く人と歴史、文化や産業をもっと深く理解したいと思った。
毎日新聞 2010年9月5日 地方版
これは メッセージ 47242 (r13812 さん)への返信です.
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