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ナチスと動物(青土社)

投稿者: ichiro_55a 投稿日時: 2009/09/20 09:39 投稿番号: [38086 / 62227]
ナチスと動物(青土社)ボリア・サックス著から抜粋


■P163■
ナチスは人間と動物のあいだの分割ラインを軽視し、病弱と健康体の間のそれを過大視した。

■P61■ナチスは、自然保護とロマン的主張という伝統を継承するが、そこにはただ一点、重要な本質がひそんでいた。人間中心ではないという本質である。ナチスは、対象が人間でも、それ以外でも、平等という概念はほとんどあるいは全く持ち合わせていなかった。
■P62■動物保護に関するナチスの評価は、人間中心構図の拒否−動物は人間の利益のためではなく、動物それ自体のために保護すべきという考え方−で明快を極める。
■P63■スターリンとその一統が「落ちこぼれ者」の名で殺戮したとすれば、ナチスは動物と風景を呼び出し【自然界】の名で殺戮した。
■P183■
  1942年2月25日、ユダヤ人にペットの所有を禁ずる通達が出された。(Wippermann,P.196)ナチスはユダヤ人を性格的に動物に残酷と決め込んでいる。この通達は、後のユダヤ人の強制収容所送りの最初のステップとなる。




■P134■膨大な量の研究にもかかわらず、ヒトラーには謎の部分が多い。しかし、その態度を推し量る最良の手がかりは不用意に周囲に洩らした言葉の端々である。ヒトラーと犬の関係でもっとも強く印象に残るのは、ほとんど病理学的な嫉妬心である。ヒトラーは生涯の終わり頃、信頼できるのは犬のブロンディとガールフレンドのエヴァだけだと言っていた。他人と親しい関係を築くことが出来ないヒトラーは、長い時間犬と過ごした。生涯の終わり頃、地下壕で彼は毎日犬舎に身を運び、誰にも触れることを許さなかった子犬ウォルフを愛撫し続けた。


■P143■
アウシュビッツの責任者ルドルフ・ヘスは、責任の重圧で気が高ぶると夜を待って馬小屋を訪れ、「わが愛する馬たちとの一時の安らぎ」を求めるのを常とした。(Glaser,   P239)


■P176■
  内容を子細に検討すると、この輸送に関する各条項の背後からは奇怪な実態が浮かび上がる。すなわち、ここには家畜飼育場と強制収容所のあいだの心理的連想が繁栄されている。法律全体に流れるアイロニー―動物に対する異常な配慮と人間に対する過酷な扱いの対比―がこの輸送条項には特に露骨に露呈している。ドイツ軍の将校は、動物に虐待の行為があった場合、部下の責任を徹底的に追求した。一方、彼らは動物輸送の法律ではとても許可されないような極端なすし詰めの状態で、ユダヤ人などを強制収容所へトラックや列車で輸送した。(Goldhagen,P269-70,328)


■P186■
  ナチスの党員が動物に親切だったことを疑う理由はまったくない。ウィーンで青年時代を過ごしたヒトラーは、朝食で余したパンを公園でリスやカラスに与えるのを常とした(Waite,P.41)。ナチス政権の他の幹部クラスの多くもペットを飼っていた。多くのナチス党員にとって、動物を可愛がることは、他人とのあいだに親密感や友情を築きあげることの不器用さや適正の欠如と心理的に結びついていた。ヒトラーは友人が死亡してもほとんどあるいはまったく感情を示さなかったが、飼っていたカナリアが死ぬと涙を流した。また、人間が殴打されたり殺される映画を見ると楽しむ風情だったが、動物が同じ目に遭うと我慢できない様子を示した。(Victor,P.62)親衛隊の隊長ヒムラーも、侍医の言葉によると、狩猟に対し「陽性ヒステリー」の反応を示した。強制収容所のすべてを最高レベルで差配したこの人物が、渋面をつくってこう述べたと伝えられる。「森のへりを無垢で無防備で、何の疑いも抱いていない哀れな動物が駆け抜けようとする。これを狙い撃ちで射殺する。それがそんなに楽しいのかね?人殺しそのものではないか!」(Fest,P.111)


■P221■
  ナチスのプロパガンダ映画『放浪のユダヤ人』では屠殺される時に羊や牛が苦痛にもがく陰惨なシーンが延々と続く。ユダヤ人のげらげら笑いが大写しになる。
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