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ナガスに沈められた日本海賊捕鯨船

投稿者: aguatibiapy 投稿日時: 2009/06/13 22:01 投稿番号: [35803 / 62227]
ナガス・マデイラ・不法捕鯨・日本と重なると昔の話を思い出した。
参考までに貼っておく。

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海賊捕鯨船としてはシエラ号と姉妹船に当たるトンナ号はもっと考えられないような運命を辿った。   シエラ号のスリップウェイが小さかったので、持ち主は北大西洋の巨大なナガス鯨を処理するため更に大きい船を手当てした。   日本の元トロール船である春陽丸は林兼造船所で母船/キャッチャー兼用船に仕立てられた。   林兼は大洋漁業の子会社であり春陽丸はそこで1966年に進水したのであった。

トンナ号と改名し蘭領アンティル諸島の旗を掲げたこの大洋漁業の新しい海賊船は、1978年4月に西アフリカで最初の航海を行い、シエラ号が仕留めた鯨を処理する母船として働いたのである。   たった42日間で102頭のイワシクジラが捕獲されトンナ号は432トンの冷凍肉を積み込んだ。   2隻の船は荷卸と補給のためカナリア諸島のラスパルマスに向った。   そこでトンナ号の舳にはノルウェイ製のがっしりした新しい捕鯨砲が据え付けられた。

シエラ号が未だ港で修理中であったが、トンナ号はナガスクジラを求めてスペイン・ポルトガルの西方海域に向け出発した。   ひと月もしない内にシロナガスの次に大型のナガスクジラが38頭捕獲され後部甲板で解体された。   7月22日までに冷凍倉庫は450トンの肉で満載になりトンナ号は船足も重くカナリア諸島に向かって南に方向を変えた。

トンナ号の船長、クリストフ   ベステルヘイムは熟練したクジラ捕りであったが、欲も深かった。彼とその士官達は肉1トン当たり2.5ドルのボーナスを受け取っていた。   一頭の大きなナガスクジラを正面に認めた時、彼等はここでもう少しのおまけを稼ごうと決定した。

鯨は銛を撃たれ、大きなウィンチは70トンもあったであろう20メートルの巨体をスリップウェイを通じて船の後部に引き上げた。   ポルトガル沖200海里のその付近では当日海は静かに凪いでいた。   ところがやがて午後のスコールが吹き船を揺らし始めた。
風と波がトンナ号を翻弄し、鈍く光る鯨は左舷に滑り寄り、船は急激に傾いた。   改造漁船であるこの船は自ら傾斜を回復することが出来なかった。   波はデッキを洗い開口部やハッチに達した。   海水はエンジンルームに滝のように流れ込んだ。   配電盤はショートして火花を発し、通路に嫌な臭いのする煙が流れ出した。
トンナ号の船員達は船を傾ける鯨を解き放そうと試みた。   しかし電動ウィンチは凍りついていたし、鯨を牽引するケーブルは素早く切断するには硬すぎた。   ベステルヘイム船長は鯨を切断して舷側から投げ捨てろと大声で命じた。   三人の日本人の解体職人は狂ったように鯨体に挑み始めた。
この上もなく皮肉な光景の中でトンナ号は銛を打たれた鯨のようによろめいた。

波は冷酷に海賊捕鯨船を呑み込もうとしていた。   7時40分にトンナ号の緊急用ラジオは遭難信号を発信した。   大部分が南阿人で構成されていた42人の乗組員は救命ボートに乗り移った。
しかしハーマン   メルビルの小説のシーンそっくりに、ベステルヘイム船長は船と共に沈む決心をした。   屈辱に耐えながらであろうか、彼はデッキから乗組員達に手を振った。   そしてトンナ号はもう一頭の白鯨に引きずられて船尾から深い海底に沈んで行った。

乗組員全員はその夜、通りかかったギリシャの貨物船に無事救助された。   最寄のマデイラで官憲の取調べを受けた乗組員達は口を揃えて彼等が「日本人のために」捕鯨を行っていたと述べた。   三人の熟練した解体職人であった新川勇/斉藤達秀/柴田正吉は以前大洋漁業の捕鯨船に乗り組んでいたのであった。

大洋漁業は1970年代そして80年代に、この他にも多くの海賊捕鯨船を運用していた。   Cape Fisher・・・Susan   ・・・Teresa・・・Paulmy Star No. 3・・・Sea Bird.などがそれである。   その総てが便宜的な旗を掲げ、IWC非加盟国を基地としていた。   その所有関係はオフショウの港のダミー会社の影に隠されていた。   その総てで日本人が重要な役割を担い、総ての鯨肉は日本の大洋漁業に送られていた。
大洋漁業は数年前にマルハと改名した。   日本の会社の中にあってさえ悪名高いこの会社は、多分その鯨に対する罪悪を覆い隠すためそうしたのであろう。

げんた
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