真水不足からの畜産縮小は時間の問題。
投稿者: toripan1111 投稿日時: 2010/08/17 20:44 投稿番号: [12004 / 15828]
先の「エコノミスト」記事からもう少し紹介しておきましょう↓。
地下水は長年にわたって大量に汲み上げられ、食糧生産大国の米国を支えてきたといえる。登録された井戸は約13万基にのぼり、灌漑用にポンプで汲み上げた量は、49年と2000年を比較すると約5倍に増えたという。しかし、地下水位はここ半世紀の間に平均約30メートル下がるなど、オガララ帯水層の枯渇が危惧されている。とくに、テキサス州など南部での地下水位低下が大きいという。
塩分集積という環境破壊
灌漑水は農地に撒かれると土の中に浸透し、やがて排水され、また川に戻っていく。そのときには土壌のミネラル塩層を透過しているので、排水には塩分が増える。米国西部の水資源開発を描いたマーク・ライナー『砂漠のキャデラック』(改訂版は93年刊、日本語版は99年刊)には、コロラド川から取水の際は塩分濃度が約200ppmだが、排水時は6500ppmになっていると記述があるほど、塩分濃度は高いようだ。
乾燥地を流れる河川水には塩分が多く、耕作に使い続けると農地に塩分が集積されていく。さらに、排水の仕組みを造らないで灌漑を続けると、作物に利用されなかった灌漑水が地下にたまり、地下水位が上がっていく。灌漑水が混じった地下水には土壌から溶けた塩分がすべて含まれており、作物の成長が阻まれてしまう。
灌漑による耕地への塩分集積は、滞水(水が溜まること)とともに起こるので、作物は塩害と湿害を同時に受けることになる。そして、いったん塩分が集積すると、洗い流すのは難しいとされる。米国では灌漑に大量の水を使用し、高濃度化する塩分を排水しているようだが、塩分が溜まったまま放置されることによる荒廃放棄地も問題になってくる。
灌漑農業の現状を、カリフォルニア州中央部のサンウォーキンバレーなどで長年調査してきた、地元のK・タンジ名誉教授(カリフォルニア大デイビス校)にチュラ湖などを案内してもらった。チュラ湖は、かつて13万ヘクタールあった閉鎖湖だった。流入河川の上流部にダムが設けられ、湖の干上がったところを農地にした。その付近でも灌漑農業が盛んになっていった。
しかし近年では、灌漑排水による塩分集積がひどくなった。春まき小麦や綿花などから耐塩性があるトウモロコシ、アーモンド、ピスタチオなど、作物を多様化させることで対応しているという。ただ灌漑排水は、近くの蒸発池に捨てるしかない。灌漑排水を流し込んでいる蒸発池も見たが、異臭を放っていた。この池には渡り鳥も来なくなってしまったという。
このような灌漑による耕地への塩分集積は、近代農業による環境破壊ともいえる。米国ではカリフォルニア州の大農業地帯サンウォーキンバレーをはじめ、西部では深刻になっている。さらに、旧ソ連のカザフスタン、オーストラリアなど、世界各地でも同様の問題が起きている。
この帯水層の水が減り始めていることが、最近問題とされている。年によって異なるが、年間に数十センチから場所によっては2メートルも地下水面が降下しているという。理由は、降雨がしみ込んで地下水を涵養する速度よりももっと速い、自然に涵養される速度の何倍もの速度で水を吸い上げているからである。この勢いで下がり続けると、70メートルの帯水層は数十年で汲み尽くしてしまう。
すでに、カンザス州などでは、水不足から離農する農家が出始めている。地下水の水位が下がり、揚水に要するエネルギー費用がまかない切れない。そこに、農産物の価格下落が追い討ちをかけたといわれる。
日本の食糧輸入の最大相手国は米国である。米国からの食糧輸入の中心は肉と飼料穀物で、輸入量のなかで小麦の55%、大豆の75%、トウモロコシに至っては95%以上を米国に依存している。
将来、水不足や水質規制から、オガララ帯水層の地下水による農業生産が大幅に減少すれば、米国の食糧輸出量が大きな割合で減る可能性もある。その場合、米国の穀物価格は高騰し、日本はより安価な他国に、その輸入先を急速にシフトする。その過程で食糧供給が政治・社会問題化して、思わぬ摩擦やパニックなどが起きぬよう、日本としてもオガララ帯水層を含めて、多角的な面から安定的な食糧供給の検討をしておくことが必要である。
地下水は長年にわたって大量に汲み上げられ、食糧生産大国の米国を支えてきたといえる。登録された井戸は約13万基にのぼり、灌漑用にポンプで汲み上げた量は、49年と2000年を比較すると約5倍に増えたという。しかし、地下水位はここ半世紀の間に平均約30メートル下がるなど、オガララ帯水層の枯渇が危惧されている。とくに、テキサス州など南部での地下水位低下が大きいという。
塩分集積という環境破壊
灌漑水は農地に撒かれると土の中に浸透し、やがて排水され、また川に戻っていく。そのときには土壌のミネラル塩層を透過しているので、排水には塩分が増える。米国西部の水資源開発を描いたマーク・ライナー『砂漠のキャデラック』(改訂版は93年刊、日本語版は99年刊)には、コロラド川から取水の際は塩分濃度が約200ppmだが、排水時は6500ppmになっていると記述があるほど、塩分濃度は高いようだ。
乾燥地を流れる河川水には塩分が多く、耕作に使い続けると農地に塩分が集積されていく。さらに、排水の仕組みを造らないで灌漑を続けると、作物に利用されなかった灌漑水が地下にたまり、地下水位が上がっていく。灌漑水が混じった地下水には土壌から溶けた塩分がすべて含まれており、作物の成長が阻まれてしまう。
灌漑による耕地への塩分集積は、滞水(水が溜まること)とともに起こるので、作物は塩害と湿害を同時に受けることになる。そして、いったん塩分が集積すると、洗い流すのは難しいとされる。米国では灌漑に大量の水を使用し、高濃度化する塩分を排水しているようだが、塩分が溜まったまま放置されることによる荒廃放棄地も問題になってくる。
灌漑農業の現状を、カリフォルニア州中央部のサンウォーキンバレーなどで長年調査してきた、地元のK・タンジ名誉教授(カリフォルニア大デイビス校)にチュラ湖などを案内してもらった。チュラ湖は、かつて13万ヘクタールあった閉鎖湖だった。流入河川の上流部にダムが設けられ、湖の干上がったところを農地にした。その付近でも灌漑農業が盛んになっていった。
しかし近年では、灌漑排水による塩分集積がひどくなった。春まき小麦や綿花などから耐塩性があるトウモロコシ、アーモンド、ピスタチオなど、作物を多様化させることで対応しているという。ただ灌漑排水は、近くの蒸発池に捨てるしかない。灌漑排水を流し込んでいる蒸発池も見たが、異臭を放っていた。この池には渡り鳥も来なくなってしまったという。
このような灌漑による耕地への塩分集積は、近代農業による環境破壊ともいえる。米国ではカリフォルニア州の大農業地帯サンウォーキンバレーをはじめ、西部では深刻になっている。さらに、旧ソ連のカザフスタン、オーストラリアなど、世界各地でも同様の問題が起きている。
この帯水層の水が減り始めていることが、最近問題とされている。年によって異なるが、年間に数十センチから場所によっては2メートルも地下水面が降下しているという。理由は、降雨がしみ込んで地下水を涵養する速度よりももっと速い、自然に涵養される速度の何倍もの速度で水を吸い上げているからである。この勢いで下がり続けると、70メートルの帯水層は数十年で汲み尽くしてしまう。
すでに、カンザス州などでは、水不足から離農する農家が出始めている。地下水の水位が下がり、揚水に要するエネルギー費用がまかない切れない。そこに、農産物の価格下落が追い討ちをかけたといわれる。
日本の食糧輸入の最大相手国は米国である。米国からの食糧輸入の中心は肉と飼料穀物で、輸入量のなかで小麦の55%、大豆の75%、トウモロコシに至っては95%以上を米国に依存している。
将来、水不足や水質規制から、オガララ帯水層の地下水による農業生産が大幅に減少すれば、米国の食糧輸出量が大きな割合で減る可能性もある。その場合、米国の穀物価格は高騰し、日本はより安価な他国に、その輸入先を急速にシフトする。その過程で食糧供給が政治・社会問題化して、思わぬ摩擦やパニックなどが起きぬよう、日本としてもオガララ帯水層を含めて、多角的な面から安定的な食糧供給の検討をしておくことが必要である。
これは メッセージ 12002 (toripan1111 さん)への返信です.
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