父恋しと思はば
投稿者: mutekinozerosen 投稿日時: 2003/12/06 22:26 投稿番号: [94936 / 232612]
本日奥大使ならびに井ノ上一等書記官のご葬儀が営まれました。井ノ上書記官には身重の奥様と、幼いお子様を残してのこと、いかばかり心残りであられたか。井ノ上書記官と同じ年齢・ご家族であったと思われる英霊の言の葉を見つけましたので、謹んで掲載させていただきます。どうかお安らかに
出撃に際して倫子、生まれる愛子へ
陸軍少佐 渋谷健一命
特別攻撃隊振武隊隊長 山形県松峯町出身
三十ーオ
父は選ばれて攻撃隊長となり、隊員十一名、年歯僅か二十才に足らぬ若桜とともに決戦の先駆となる。死せずとも戦に勝つ術あらんと考ふるは常人の浅はかなる思慮にして、必ず死すと定まりて、それにて全軍敵に総体当りを行ひ、尚且つ、現戦局の勝敗は神のみぞ知り給ふ。真に国難といふべきなり。父は死にても死するにあらず、悠久の大義に生るなり。
一、寂しがりやの子に成るべからず母あるにあらずや、父も幼少にて父母を病に亡したれど決して明るさを失はずに成長したり。まして戦に出て壮烈に死すと聞かば日の本の子は喜ぶべきものなり。父恋しと思はば、空を視よ、大空に浮ぶ白空にのりて父は常に微笑で迎ふ。
二、素直に育て、戦勝つても国難は去るにあらず、世界に平和がおとづれて万民大平の幸をうけるまで懸命の勉強をすることが大切なり。二人仲良く母と共に父の祖先を祭りて明るく暮らすは父に対して最大の孝養なり。
父は飛行将校として栄の任務を心から喜び、神明に真の春を招来する神風たらんとす。皇恩の有難さを常に感謝し世は変るとも忠孝の心は片時も忘るべからず。
三、御身等の母はまことに良き母、父在世中は飛行将校の妻は数多くあれども、母程日本婦人としての覚悟ある者少し。父は常に感謝しありたり。
戦時多忙の身にして真に母を幸福にあらしめる機会少く、父の心残りの一つなり。御身等成長せし時には父の分まで母に孝養つくさるべし。之父の頼みなり現時敵機爆撃の為大都市等にて家は焼かれ、父母を亡ひし少年少女数限りなし。之を思へば父は心痛極りなし。御身等は母、祖父母に抱れて真に幸福に育ちたるを忘るべからず。
書置く事は多かれど、大きくなつたる時に良く母に聞き母の苦労を知り決して我儘せぬやう望む。
角川書店
櫻井よしこ編
「戦士たちの遺した手紙」より
これは メッセージ 1 (mitokoumon_2002 さん)への返信です.
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