小泉首相の訪朝と課題について☆☆☆☆☆

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無事を祈って(1) 娘と孫の姿をダブらせ

投稿者: sa_bo_ten_02 投稿日時: 2003/09/11 21:35 投稿番号: [86298 / 232612]
無事を祈って(1) 娘と孫の姿をダブらせ
投稿者 trycomp 投稿日時 2003-9-11 16:33:35 (38 ヒット)


  澄んだ空が、どこまでも高かった。昨年十月二十五日、JR川崎駅前の百貨店。二人は、カジュアル服売り場にいた。会話が弾む。
  「マフラーがいいよ」
  横田滋(七〇)は、相好を崩した。
  「でも、あちらは寒いから。これがいい。この色、似合うかな」
  妻の早紀江(六七)は、自分の好きなワインカラーのセーターに目を留めた。
  「うん、いいね」
  滋は、笑ってうなずいた。北朝鮮にいる孫娘、キム・ヘギョン(一五)のために、初めて買った贈り物だった。
 
夫が買い物を楽しむ姿を見るのは、久しぶりだった。早紀江は二十五年前まで娘、めぐみ=失踪(しつそう)当時(一三)=のものを、滋がこうやってうれしそうに買ってあげていたことを思いだした。
  「男親にとって女の子は特別みたい。ヘギョンちゃんにも、何でも買ってあげたくて仕方がないのよ」
 

前月(九月)の十七日。小泉純一郎首相が平壌に飛んで行われた日朝首脳会談。日本で見守る拉致被害者の家族には、長い長い一日だった。
 
雲が重く垂れ込め、外は大雨。外務省・飯倉公館で永い陰鬱(いんうつ)な時間が流れた。
 
滋と早紀江、それにめぐみの双子の弟、拓也(三五)、哲也(三五)は並んで腰をかけて、朗報をひたすら待ち続けた。四人は、別室に呼ばれた。外務省の植竹繁雄副大臣(当時)は、こう告げた。
  「残念ながら、お嬢さんは亡くなっておられました。結婚していて、女のお子さんが一人いらっしゃいます」
  「死亡宣告」。同時に、娘が異郷の地で育てた、新しい命の存在を知らされた。約一カ月後、帰国した五人から、北朝鮮での娘の暮らしぶりが断片的に伝えられた。
  「母乳が出ないので、ミルクで育てていた」
  「『ミシンを買ったけど、操作が分からないので教えてほしい』といわれた」
  記憶の中の娘は、あどけなさが残る少女だったが、妻となり、母となっていた。
 
「たった一人で十三歳から忍耐し続け、わが子を育てるまでになっためぐみの心情を思い、言いようのない悲しみを覚えた」
  嫁ぐ前に、母から娘へ伝えられたであろう家庭のささやかな営みすら知らない娘が不憫(ふびん)だった。
 
愛らしい孫の姿がテレビ画面に流れたときには、娘の体に宿った命が元気に育っていたことに感動し、命の不思議さを感じた。
  「ヘギョンちゃんがいたことで、めぐみが本当に北朝鮮にいる確証が得られた。どんなことがあっても、お母さんが探し出してあげる」
 
画面の孫は、涙を流して訴えた。
  「おじいさま、おばあさまにお会いしたい。こちら(北朝鮮)に来てほしい…」
母親とは五、六歳のときに死別し、よく覚えていないという孫。早紀江は、いたいけな少女までも利用する北朝鮮に怒りを覚えた。
 
でも、孫に会いたい。焦がれる思いが募る。とくに、滋の思慕は強かった。昨年暮れ、滋は記者会見で訪朝の意向を明らかにする。
 

さらに今年一月、東京都港区の友愛会館で開かれた家族会。滋は、めぐみの夫とされるキム・チョルジュが日本政府の調査団に託した「こちらへ来てくれるなら、会って話したい」という手紙に触れ、「訪朝することでプラスもあるだろうし、最悪でもゼロと思う」と口火を切った。
 
「いやマイナスかダブルマイナスだ。それでは姉のことを家族があきらめたことになる。北朝鮮の思うつぼだ」
  拓也が強硬に反対した。
  「でも行きたい。家族会が何でも一枚岩である必要はないと思う。個別のケースが配慮されてもいいはずだ」
  滋は引き下がらない。
  「いい加減に分かって」
  ついに拓也は大声をあげた。早紀江をはじめ、会議に出席した全員が反対した。
  「反対を押し切ってまで行くわけにはいかない…」。滋は、はやる気持ちを抑え、「家族会」の意見を尊重した。
 
首脳会談後、川崎市の自宅の居間に娘と孫娘の写真が並んで飾られるようになった。孫娘の写真立ては、めぐみの小学校の同級生とその親から「めぐみちゃんが帰ってきたら家族全員で撮った写真を飾って」と贈られたものだ。
  「かれんな蝶々(ちょうちょう)の飾りが付いていて、ヘギョンちゃんの写真を飾るのにちょうどいいかなと思って」
 
母から娘、孫をつなぐ目に見えない紐帯(ちゅうたい)。早紀江は、五人が羽田空港に降り立った昨秋の感動的な場面に、娘と孫の姿をダブらせて言った。
 
「めぐみとヘギョンちゃんの二人が仲良く腕を組んで、タラップから下りてくる姿を一日も早く見たい」
    産経新聞   9/11朝刊


(電脳補完禄
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