小泉首相の訪朝と課題について☆☆☆☆☆

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朝日新聞社説

投稿者: masa4618 投稿日時: 2003/05/28 02:39 投稿番号: [71617 / 232612]
■小型核兵器――百害あって一利なし



  冷戦が終わって間もなくのころ、米国の「水爆の父」と言われるエドワード・テラー博士は「研究が進めば小型の核兵器が開発され、通常兵器と変わらなくなるかも知れない」と予言した。まさか、というのが率直な感想だった。

  あれから10余年。テロとの戦いを重視する米国で、小型核の必要論が幅をきかせるようになった。博士の予言は決して見当違いではなかったのだ。

  米国が脅威とするテロ支援国家は、地下深くに核や生物化学兵器といった大量破壊兵器を隠し持っている恐れがある。独裁者が地下施設に潜む可能性もある。

  ならば、地中に潜った後で爆発する小型の核弾頭を使って地下施設を破壊すればいい。通常兵器と同じように簡単に使える小型の核でこそ、テロリストやテロ支援国家の無法な振る舞いに対処できる。そんな主張が勢いを増している。

  ちょうど10年前、米議会は、爆発力が5キロトンを下回る小型核の研究、開発を禁じる法案を可決した。米国が自制することで新たな軍拡競争や核拡散を封じる、という配慮からだった。

  ところが、状況はいまや様変わりだ。

  先週、米議会の上下両院が、小型核の研究を認める国防予算案を可決した。上院は議会の承認を条件に開発までも認めた。両院が法案の内容を一本化し、それにブッシュ大統領が署名する見通しだ。

  9・11を体験した米国がテロ防止に躍起なのはわかる。だが、小型核にまで手を伸ばすことが賢明とは、とても思えない。

  小型と言っても核は核だ。爆発力5キロトンの兵器なら、その破壊力は広島型原爆の3分の1もある。

  ひとつ間違えば地上に放射性物質が飛び散り、大きな被害をもたらす。過去の実験で、2・3キロトンの核を地下52メートルで爆発させたところ、半径2・5キロの一帯が高レベルの放射能で汚染されたこともある。

  しかも、小型核を完成させるには核実験が欠かせない。米国が93年以来停止してきた実験を再開すれば、中国やインド、パキスタンなども追随する恐れがある。軍拡競争の引き金を引きかねない。

  テロを支援するような独裁国家には、冷戦時代のソ連に効いたような大型の核による抑止は効きにくい。だから、小型核による攻撃を排除しないというのが、ブッシュ政権の新しい戦略だ。

  しかし、米国はすでにハイテクの通常戦力で圧倒的な優位に立ち、その優位は強まるばかりだ。いまさら、テロ支援国家への作戦にどうしても核を組み込まなければならない必要は認められない。

  ラムズフェルド国防長官は「研究するだけだ」と強調するが、小型核の開発、実験への誘惑が強まるのは想像に難くない。

  核と通常兵器の垣根を取り払おうという発想を、ただちに捨ててもらいたい。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html
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