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賢相・ヤマニ氏のインタビュー

投稿者: japan_koumei 投稿日時: 2003/03/16 15:08 投稿番号: [56081 / 232612]
ヤマニ元石油相   サウジアラビア

  ――イラク攻撃で原油はどうなるのでしょう。

  ◆いくつものシナリオが考えられる。戦争なしでフセイン政権が降伏し、米国が統治に成功すれば、油田の修復と開発が進み、価格は年内にも大幅に下落する。次に、短期戦でも、新政権樹立などで再建に手間取れば、イラクの輸出は当面途絶え、価格は高止まりする。第3はフセイン大統領が油田破壊に出るシナリオだ。キルクーク油田などで爆破準備をしているとの情報もある。原油は高騰し世界経済に大打撃となる。

  もっとひどいシナリオは、生物・化学兵器が近隣諸国に対し使用された場合だ。原油価格は1バレル=100ドルに急騰するかもしれない。そうなれば世界経済は恐慌に陥り、立ち直りには何十年もかかる。どのシナリオになるかわからないが、傲慢さからくる米国の自殺行為で世界が巻き添えになることを心配している。

  ――イラク攻撃の狙いが原油確保にあるとの説を米国政府は強く否定しています。

  ◆原油が最大の狙いだろう。米国は現在、必要量の4分の1をペルシャ湾岸に依存し、16.5%はサウジ原油だ。米政権はサウジや湾岸依存からの脱却を目指している。イラクにはそれを満たすだけの原油がある。クリントン政権時代、有力政治家10人がイラク侵攻と油田支配を促す書簡を大統領に送ったとの話がある。書いたのはチェイニー副大統領、ラムズフェルド国防長官らの今政権を動かしている人々だ。同時多発テロ以降、湾岸・サウジ依存からの脱却志向が本格化した。

  ――米政府はテロとの戦いも強調しています。

  ◆イラク攻撃こそ新たなテロを生み出す。将来、ビンラディン氏が天使に思えるくらい、比較にならない凶悪なテロリストが何百人も生まれる恐れがある。そうなれば米国の責任だ。

  ――親米に見えたロシアが、攻撃反対に回りました。姿勢転換は石油と関係がありますか。

  ◆ロシアは米国の経済技術支援のおかげで原油生産量を拡大してきた。米国はロシア原油を必要とした。もし、米国がイラク原油を手にしたら、ロシア原油の戦略的価値はゼロになる。戦争終結後、イラクで生産が本格化すれば原油価格が急落する。外貨収入を原油、天然ガスに頼っているロシアにとって、米国のイラク侵攻成功は経済的利益に反するのだ。ロシアは4カ月前の時点でそう認識していた。

  ――開戦で原油価格が急騰した場合、サウジの対応は?

  ◆日量1050万バレルもの原油を非常に高い値段で生産できることはサウジにとって幸運だ。(石油危機の起こった)70年代当時のもうけが期待でき、巨額の負債の返済にあてることができる。しかし、最終的に価格高騰は米経済を直撃し、世界的な恐慌を招く可能性がある。原油需要の急減、価格急落を引き起こし誰のためにもならない。

  ――戦後、親米政権が成立すれば、イラクはOPEC(石油輸出国機構)にとどまりますか。

  ◆利権は外資に開放され、石油会社は投資回収のため積極的に増産するのは確実だ。OPECの生産枠など守りたいはずがない。イラクがOPECにとどまる理由などない。そうなれば、原油が急落し、価格安定維持能力が失われ、OPECが崩壊する可能性が高い。
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