小泉首相の訪朝と課題について☆☆☆☆☆

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手嶋龍一VS佐藤優(2)

投稿者: komash0427 投稿日時: 2006/08/24 22:51 投稿番号: [229094 / 232612]
     北朝鮮による
        「弱者の恫喝」は成功している

佐藤   北朝鮮は7月7日に、朝鮮外務省スポークスマン声明というものを出しています。この声明では、今後他国から出てくるような議論を一つ一つ丹念に叩き潰しているんです。ミサイル発射の正当性のみならず日朝平壌宣言(2002年9月)にも踏み込んでいます。われわれは「拉致問題」を完全に解決してやった。かぎ括弧で「拉致問題」という言葉を使っているんです。それにもかかわらず、日本側はわれわれの善意につけこみ、かつての対決路線に戻った。だからミサイルを発射したと。最後のところで、われわれは6カ国協議で問題を対話で解決していくということに関しては一度も外れたことがない、とゲームのルールを全部提示しているんです。

  こうしたメッセージは北朝鮮のサイト『ネナラ(わが国)・朝鮮民主主義人民共和国』で読むことができます。このサイトはほぼ毎日更新されているんですが、7月5日にそれが止まり、7月15日夜になって更新されているんです。G8サミット(7月15日〜17日)を睨んでのことです。朝鮮中央通信や労働新聞には最新データが出ているんですが、どうも日本側はそのあたりの情報収集・分析ができていない。それで15日に更新されたサイトを英語版、ロシア語版と比べると、日本語は量が3分の1くらいなんです。ここが重要なポイントだぞ、とピンポイントで日本がわかるように出してくれているんです。これは情報の世界の感覚からすると、大分なめられている話しなんです。

手嶋   今、幾つか非常に重要なことを指摘されましたが、北朝鮮のミサイル発射については、その実験が成功したとか失敗したとか、技術的な議論に傾きがちです。それよりも一連のメッセージを考慮すれば、彼らの政治的狙いは半ば達成されたと見ていい。つまり、アメリカは中東にずっと足を搦めとられ、関心もイラク、イラン、レバノンにいっていたところを自分たちに引き戻しましたよね。北朝鮮としては、米朝の2国間対話に持ち込み、体制を保全したい。米朝直接対話はこれからですけれども、初期の段階では・・・・・。

佐藤   成功しているんですよ。

手嶋   そうですね、残念ながら。

佐藤   つまり、こういうことなんですね。同じクラスに好きな女の子がいる。とりあえず消しゴムを投げていたけど相手にされない。だからスカートめくりをしてみた。それでも全然こっちを振り向いてくれない。だから、その女の子の椅子の上に画びょうをおいた。そうしたら、ギャッと叫んで「何するの!」とこっちのほうに言ってきた。チャンスだ、こういう感じですよね。ですから、弱者の恫喝外交は、振り向かせるというところまでは成功しているんですね。

手嶋   ええ、よく瀬戸際外交といわれますが、正しくは弱者の恫喝と呼ぶべきです。一方で、ワシントンを見るとブッシュ政権は「2重構造」と呼べる状況に陥っています。

  どういうことかと言えば、ブッシュ大統領の主観的な意図として、自分たちはまずイラクの秩序を回復し、そしてイランの核開発を押し潰して見せる。したがって、朝鮮半島はとりあえず放っておく、予防的先制攻撃はしない、と考えています。

  しかしながら、巨視的にブッシュ政権のおかれた立場を見ると、結局イラクでのつまずきがあまりにも深く、大きく、超大国アメリカといえども、中東と東アジアで2正面作戦を同時に遂行し得るだけの余力はない。したがて北朝鮮に対して、アメリカのような超大国としては極めて珍しいことに、ミリタリーオプションを用意していない。そのことを北朝鮮はわかっている、だから全然言うことを聞かない。6者協議に戻ってこないし、国連非難決議も45分後に全否定しました。

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