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「靖国」 と 中国の戦略  ①

投稿者: pichanneko 投稿日時: 2005/06/06 00:19 投稿番号: [205641 / 232612]
読売新聞地球を読む    岡崎久彦


政教分離貫く姿勢を


天安門事件で中国の民主化運動が抑圧されて以来、江沢民時代15年間の愛国主義、軍備拡張路線の結果中国は大きく変貌した。

中国が公表した数字だけとっても平和時にこれだけの長期間に亘っての軍備増強と言うのは歴史の上でも例が少ないのではないかと思う。比較できる例としては1887年に始まり1914年の第一次対戦まで続いたドイツの建艦時代がある。当時世界の覇権国であった英国ではドイツの勃興の戦略的意味が大いに議論された。

キッシンジャー米元国務長官が大著「外交」の中で、ビスマルク以降最高の分析ペイパーと呼んだ1907年のクロー覚書(英外交官エーア・クロー卿による)は次のように論じている。

「ドイツは覇権を目指し英国の脅威となるのだろうか?
それとも国際社会の中で正当な地位を占め、ドイツ文化の恩恵を広げるのが目的なのであろうか?

後者のシナリオはどの瞬間でも前者と合体することが出来る。またもし後者のシナリオが実現した暁には、ドイツは、それが意図するとしないとにかかわらず、周辺諸国にとって恐るべき脅威となるであろう」

つまりその意図がどうかということよりも、国の力が大きくなるということ自体が脅威だと言っているわけである。

情勢判断には常に楽観的シナリオと悲観的シナリオがあり、えてして平時には楽観的シナリオが優先する。それは悲観的シナリオはしばしば相手国にとって不信感を表明することになるので非礼となるからである。

しかし長期的戦略立案者の至上命令は国益であり、国民の安全と繁栄である。楽観的をとって国民の安全と繁栄を損なっては何にもならない。どうすれば年ごとに増大する中国の国力と圧力に対抗して国民の安全と繁栄を守ったらよいのかに集中して考えてみたい。ただ紙面が限られているので、長期的な政治安全保障戦略について論じるのは次の機会として、今回は靖国関連の問題を論じたい。

まず中国の戦略戦術を考えてみたい。
それは周到なものである。

靖国の例で見れば、まず過去十数年の教育広報で国内世論は完全に固めている。1985年に、当時は日本の朝日新聞主導で靖国問題が提起された時は、この問題についての中国国内世論などは全く無かったことを考えると、この10年以上の努力の成果である。そしていかなる対外説明においても国内世論を引用できる状態となっている。


つづく
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