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毎日新聞から

投稿者: natunomisaki727 投稿日時: 2006/02/15 23:20 投稿番号: [25893 / 52541]


揺れる日米中

小泉外交・光と影/6止   財界「靖国より国益」   通商チャンネル阻害
  「靖国?   うーん、それはノーコメント」

  宮原賢次住友商事会長が急に言葉を濁した。昨年9月30日、北京で行われた奥田碩・日本経団連会長と胡錦濤・中国国家主席の秘密会談。経済協力が議題の中心だったとされるこの会談で、靖国問題はどう扱われたのか。日本経団連の政治担当副会長として同席した宮原氏はじめ、関係者のガードはいまだに堅い。

  無理もない。異例ずくめの会談だった。奥田氏が日中経済協会代表団のトップとして温家宝首相と会談したのが、そのわずか4日前。いったん帰国して隠密に再び北京に戻り、胡主席との極秘会談に臨んだ。かん口令が敷かれ、メディアが会談の事実のみ確認して報じたのが10月22日。小泉純一郎首相が通算5度目の靖国神社参拝に踏み切って間もなくだった。

  当の奥田氏は2日後の定例会見で会談の事実を認めた。同じ日、小泉首相も「報告は受けている。中身は言わないことになっている」と記者団に語った。

  日中財界外交は目新しいものではない。中曽根康弘首相が初の靖国神社公式参拝に踏み切って中国の反発を招いた1985年、当時の稲山嘉寛経団連会長が訪中してひそかに中国首脳部と接触、その情報を中曽根氏に伝えた。報告を受けた中曽根氏は、参拝を継続すれば中国共産党内の改革開放派の要で親日派だった胡耀邦総書記の立場を弱くし、保守派に巻き返しの口実を与えるとの判断を固め、翌年以降の参拝を中止したとされる。

  中国側が21年前の経験に学ぼうとしたかどうかはわからない。ただ、日本の財界がこの問題に強い関心を持たざるを得ないこと、中国側がそれを利用しようとしているのだろうということは十分推測できる。

  それというのも、日中間の貿易総額は1680億ドル(04年統計、以下同)で、日本の貿易総額に占める割合は対米貿易の18・6%に次ぐ16・5%で2位。日本経済がバブル崩壊後の「失われた10年」から立ち直れた理由の一つに「中国特需」があったことを否定する経済人はいない。

  そんな中、気になる動きも出ている。昨年12月、中国の浙江省でデジタルカメラに対する抜き打ち検査が行われ、ソニーの6機種が「不合格」のらく印を押された。理由は品質不良や機器の不具合でなく、高性能機種を基準にして「液晶画面の明るさが足りない」としていた。値段なりに性能の優劣があるのは当然で、ソニー側も理不尽に感じたが、現地紙が大々的に報じる中、消費者の問い合わせが相次ぎ「混乱を避ける」ため不合格機種の販売自粛を決めた。

  実は、不合格はソニーだけでなく、日韓の他の大手電機メーカーの製品も含まれていたようだが、中国当局が公表したのはソニーだけ。なぜだったのか、いまなお真相は分からない。ある大手メーカーの幹部が声を潜めて慨嘆した。

  「中国とのトラブルで日本政府に泣きついても、通商外交チャンネルが目詰まりしているから解決は望めない」

  デジカメ不合格事件と冷え切った首脳関係との関係は明確ではない。近ごろ、財界人は「カネの亡者」批判を恐れて口ごもりがちだ。財界首脳の一人は匿名を条件に「一国の総理には個人の信条よりも国益を考えていただきたい」と首相の靖国参拝への不満を語り、ポスト小泉については「アジア外交のポリシーがある人」と強調した。

  揺れ動く日米中。日本外交の正念場はまだまだ続く。=おわり<コラージュ・日比野英志>
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