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天声人語1

投稿者: isashi1243 投稿日時: 2003/02/22 09:51 投稿番号: [25 / 52541]
2003,02,01
一人暮らしをしている映画監督の進藤兼人さんが先日、ぼんやりしている時間の貴重さについてしみじみ語っていた。今日テレビ50年、ということでぼんやりテレビのことを考えていて、思った。このぼんやりの時間を奪ったのがテレビではないかと、と。
以前、本紙文化欄に「余白を語る」という題名でインタビューが連載された。例えば当時79歳の中村武志さんが語る。「今の僕の生活は余白だらけ。……退屈?それは全くない。……ぼんやり雲の流れを見ていても楽しく、時間を無駄にしているとは思わなくなった」。テレビは人生のそうした「余白」を奪ってきたともいえるだろう。
テレビはまた人生の余白を埋めてくれもした。田舎で暮らす高齢の女性がしみじみと語るのを聞いたことがある。「テレビの時代に生まれてよかった。テレビがなかったら、どうやって時間をつぶしていいのやら、本当にありがたい」。
NHKのテレビ視聴時間調査によると、80年代にいったん視聴時間が減り、その後90年代からまた上昇傾向にある。といっても平均でほぼ3時間から4時間の間におさまる。起きている時間の5分の1程度をテレビに費やしている。
テレビの功罪は数え上げればきりがない。依存症の人も少なくないだろうが、それでもテレビを消すことはできる。余白を自力で取り戻すことはできる。
このごろありがたいのは、テレビの視聴とぼんやりする時間が結構両立するようになったことだ。退屈な番組が多いということだが、製作者の配慮かどうかは知らない。
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