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山本七平著「私の中の日本軍」

投稿者: black_nis 投稿日時: 2003/07/09 16:23 投稿番号: [1769 / 52541]
かねてから読みたかった、
故山本七平氏の「私の中の日本軍」を読んでいる。

この本は、横井氏や小野田寛郎氏発見の時期と前後
して書かれている。

評論家として名高い故山本七平氏は小野田寛郎氏ら
とともにフィリピン戦線に将校として投入され、本
隊全滅後、小野田さん同様、ジャングルにひそんで
遊撃戦に参加。終戦後捕虜になり、連合国による日
本人捕虜の虐殺事件"アパリの地獄船"事件を体験。

小野田氏発見以前に書かれた項には、「銃殺されて
も殺されてもいいからとにかく出て来い」という命
令だけが、"ジャングル内の異常心理状態"にある小
野田氏を投降させる唯一の方法と断言しているだけ
でも相当な洞察力の持ち主であることがうかがえる。

故山本七平氏の体験にもとづいたたゆみなき理性は、
本多勝一のカビ臭い書斎で生まれたそれと対照的だ
ろう。毛沢東やレーニンを賛美する著作の語感に機
敏に、第二次大戦下の軍事統制社会の著作物と同じ
臭いをかぎとる感性もまた、イデオロギーに踊った
戦後世代のインテリの痴呆症的無警戒と対照的で、若
々しさに満ちている。

この本を貫くのは、右と左に激しく揺れる日本の軽
薄で恥知らずな知識人やマスコミへの「抑えがたき
怒り」であり軽蔑の念である。

戦争に参加したという罪を背負った世代の人間が、
「百人斬り」「南京大虐殺」「戦場訓神話」といっ
たウソ伝説の類を放置し、真実を語らないことによ
って第二の罪をおかしているという危機感である。

この本でもっとも印象的なのは、戦後我々が日本軍
について誤解している事、つまり日本軍が破竹の勢
いで進撃し、勇敢に日本刀をふりかざして敵を斬り
まくり、敵を完全に包囲して全滅させたという神話
が全てウソであるということである。

戦時中に朝日のような新聞に書かれた事、破竹の進
撃、日本刀での斬りこみ、完全な包囲、戦場訓で超
人化した兵士。

事実は、大陸を戦国時代と同じ徒歩で遅々として行
軍、日本刀は3人斬れば鍔元から曲がって斬れなく
なり、斬ったと思った敵も背後で起き上がる。完全
な包囲など物量をもっても不可能。戦場訓など、誰
も読まなかった。などなど。
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