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消化不良の天声人語

投稿者: nishibox 投稿日時: 2003/06/06 09:23 投稿番号: [1142 / 52541]
■《天声人語》   -- -朝日新聞   06月06日付


  「米国も米国人も好きではなかった」が「すっかり『親・米兵』になってしまった」。米軍と行動をともにした本紙の野嶋剛記者が『イラク戦争従軍記』(朝日新聞社)の「あとがき」にそう記している。

  戦争の大義には疑問を抱きつつも、寝食を共にする米兵たちとの間には友情も生まれる。彼らは敵から守ってくれる頼もしい味方でもある。そんな自然の感情が増す一方、戦場の悲劇から目をそらすわけにはいかない。

  日本人の妻を持つ二等軍曹ジムの話が悲しい。野嶋記者が、頼りにしていた彼に頼まれて奥さんあてに電子メールを送った。「ぼく大丈夫だから。心配しなくていい」。翌日ジムは自軍の車にひかれて死んだ。その数時間後「元気な知らせをきいて安心しました」と奥さんがメールを発信していた。

  紙面にも掲載されたこのできごとを野嶋記者は「記憶にないほどのショック」と振り返っている。イラク戦争では多くのジャーナリストが戦場に入り、なまなましい戦況を伝えた。ほとんどが米英軍側からの視線という限界を持つにせよ、どれもがこの戦争は何だったかをめぐる貴重な証言だ。野嶋記者の報告もその一つである。

  「私が身を置く戦場の現実と、外交の舞台でのロジックは、どうしても一本の線でつながらない」。米兵たちが「戦争という合法的な殺人の歯車であることと、彼らの善良さは、私のなかで今もうまく像を結ばないでいる」

  野嶋記者の「つながらない線と結ばない像」が、戦争につきまとう酷薄さだろう。きょう有事法制が成立する。


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たとえどんな状況に身を置こうとも、確固たる認識を持って取材をすれば
それなりの報道は出来るだろう。
逆に言えば、朝日が例え市民の側に身を寄せて取材をしたとしても
結局同じ報道になるに違いない。
要は現実を見る記者の目にかかっている。
その目が曇っているなら、例え戦場にいようとも
日本の本社で記事を書こうとも、期待できる記事は出来ない。
線がつながらなく、像が結ばないのは
お前につなげたり、結んだりする力がないからだ。
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